2.色々お世話になってるし
.....もしもーし。おはよ、お兄さん。え?今......?八時だけど。夜じゃないよ朝だよ。寝ぼけてんのか。ああー、そっか。言ってなかったけど、僕、昼夜逆転生活やめたんだ。だって、身体に悪いし。......お兄さんの生活リズムに......合わせたいし――あッそうだ、朝ごはん食べてなかったなあ。おなかすいたなあ。え、なに?ごめん聞いてなかった。あーあー何も聞こえない。ちょっとお兄さんの声、耳障りにも程があるからさ。黙ってて?いや電話は切っちゃダメだよ。ほら、慎ましく、って言ったでしょ?そうそう。それで良いよ。......クスッ。大人なのに子どもの僕に命令されて恥ずかしくないの?お、に、い、さん♡あーはっはっは。ひーっ。つくづく思うけど面白すぎ!お兄さんと話してると飽きないなあ。僕のおもちゃみたいだね?む、勉強?ちゃんとしてるよっ。今日は六時から起きてやってたんだもん。休憩だよ、きゅ、う、け、い。もーお、お兄さん。そんなに僕の事が心配なの?平気だって。こう見えても僕、頭良いんだから。............何だよぅ、その反応は。ほ、ほんとだからな!学校通ってた頃は平均以上だったし!?あーと、えと、学年トップとった科目もあるし?すごいでしょ?僕は頭良いの。分かった?むしろ馬鹿なのはお兄さんの方じゃん!馬鹿って言われて喜ぶしさ、ガチで頭おかしいでしょ。......ばぁか。ほらまた喜んだ。いちいち反応しやがって、このマゾ豚野郎......。あーもう、何で朝っぱらから罵倒しなきゃならないのさ。お兄さんのせいで僕、口悪くなっちゃったよ?どうすんの?僕、お兄さんに染められちゃったよ?責任とってくれるかな?......うわー、良い返事。ドン引きなんですけど。............じゃあ僕、将来はお兄さんと暮らそうかな?え?だって責任とってくれるんでしょ?嘘ついたの?ねえ?お兄さんさぁ......ぼくのことぉ、きらいなのぉ......?うるうる......。あ、はいじゃあキマリ。僕を養ってねオニーサーン。ダイシュキ~。......クスッ。詐欺とかツツモタセに合わないようにしなよ。前も言ったけど、僕はもっぱら男を騙すひとだったからね、お兄さんみたいなのは真っ先にカモ認定しちゃうよ。お人よしも程々にね~?財産かっ攫われても知らないよ~?まあー、僕は優しいから~?お兄さんを本気で騙す気は一切ないよ。どうしようもない変態野郎だけど、......色々お世話になってるし。色々......。うん。むしろ逆かな。お兄さんにすり寄ってくるような奴がいたら......女でも男でも容赦しない......、......なんてね?あっはは。冗談だよ。あー、でもね、何と言うのかなぁ。
3たまに、理性とかじゃ抑えられないくらい......熱い感情が湧いてくるんだ。たまにだよ。本当たまーに。憎いとかムカツクとか、そんなごちゃごちゃな感情。よく分からないんだけど。あ......お兄さんに感じた事は一度もないよ?でも、これは直感なんだけどさ。お兄さんを取り巻くひとを見たら、そんな感情が出てきちゃう気がするんだ。どうしてだろう?なーんか変な言い方だけど、......本能......なのかな?黒崎家のDNAには、皆そんなスイッチがついてるのかもしれないね。いやごめん、全然どうでも良い話だよ。忘れて忘れて。とにかくお兄さんはクソザコマゾ豚だからね、変な虫がつかないように、僕が近くで見ててあげないといけないんだよ。......あれぇ?どうしたのお兄さん。僕、なんか変な事言ってる?かな?......そう?うーん。無理やり生活リズム正そうとしてるから、かな。たまに頭がぼーっとするんだよね。人間の身体って怖いなぁ。ああでも、さすがに体調は前より良くなったよ。やっぱり明るい時間に活動して、夜は寝なきゃダメだね......。まあ僕、引きこもってるから昼も夜も関係ないんだけど。んー?もう、またそれ?外には出ないっつってんでしょ。もう、僕の心配ばっかりしてさ。お兄さんほんと、自分の身の回りに気を配った方が良いよ?クソザコお兄さんじゃ、ワンパンノックアウトされちゃうに決まってるもん。ざーこ、ざーこ。お兄さんほんとザコ。ついでにアホ。あと変態。ろくでなし。すっとこどっこい。マキ貝、ホラ貝、ムール貝!............優男。......はい黙りましょうねえ、クソザコさんは黙りましょうね。聞く耳持ちません。じゃあね、ばいばい。は?知らんわ、さよーならー!