2.鳴いた夜
もしもしっ。ぁぁぁあえっとえっとえっと......す、すごい雨だね!あーあのね、なーんか急に君とお話したくなっとぅぇ......ひぁっ、か、噛んじゃった......!あああもう笑わないで!えとえとっ、き、急に君とお話したくなっちゃったの!怖い......じゃなくてっ、何だか寂しいな~ってね!だからその、(ゴロゴロピッシャーン)ひぃうぅぁあ!?ぁあぁぁあぁ......!..................はっ。お、おほん......。......は、はいはい?どうかしました?んーん?平気平気、大丈夫大丈夫。......何さ、その反応。君、私の事馬鹿にしてるでしょ。言わなくても分かるんだから。どうせ君、「愛ってば、この歳になってまだ雷が怖いんだ~」とか思ってるんだよ。言っておくけどそれ、勘違いだからね。いくら私が怖がりだからって、雷くらいでびくびく震えたりするわけ......(ゴロゴロゴロ)ふぁっ......!あ......ち、ちがう。ちがうって言ってるでしょ!大体さ、あんな大きな音がいきなり鳴ったら、誰だって怖いと思うでしょ!ほら、それに私、......不意打ちに弱いところあるし。......ね?......ひ、開き直ってなんかないよ!うぅぅ......もうっ!はいはいっ、そうでーすっ。私は高校生にもなって、雷に震え上がっちゃう臆病者ですよ~。......これで満足?ねえ満足?もうっ、そんな酷い事ばかりするなら、私にも考えがあるんだから。......すぅー......ごろごろごろごろごろ~!雷様だぞ~!ぴっしゃーーーーーーーーーん!君のおへそとっちゃうぞ~!......ふふふ。怖いでしょ?びくってなるでしょ?......、......ええっ!ならないの!?そんなぁっ......だって、ぴっしゃーんだよ。ぴっ......しゃーん!ぴ......ぷふっ、ふふっ。うふふふ。あはははは。おかしいっ♪あはは......ふふふっ......っぁぁあ......えほっ......えほっ!ぁ、ぁ、ひぃっ......ツ、ツボに......はいっ......くふふふふっ......!き、きかないでっ、こんなだらしないわらいかちゃ......ぁああまた噛んじゃってぁ......ひぁはははは!あははっ!ちょ、ちょっとゴメンッ。..............................。..............................。
..............................。はい、お待たせ。うん。大丈夫です。いつもの冷静の私です。私こそ、アルティメット冷静黒崎です。こんばんは。......くっ、くふふふふっ......あ、あるてぃめっと......わたし、あ、あたまわるすぎて......あはははははっ......くふふふふふ......!あぁあああもうダメぇええええ!何やってもおかしいよぉ!どぉおしよぉおお!これから君と電話するたびにこうなっちゃったら私、私ぃ!き、君とお話できなくなっちゃうよぉ。いやだよぉ。うぅうう助けてぇええええ(ごろごろごろぴっしゃーーーん)ひぁあっ!?......、......。あ、と、止まった。びっくりしたら本当に冷静になっちゃった。......ちょ、ちょっと。しゃっくりじゃないよしゃっくりじゃ。うう......それにしても宿敵の雷に助けられるなんて......ぐぬぬ。......あ......あのー。今日の事は忘れてね......?......えっ?あ、あ......、確かに昨日、私の言葉は忘れないでって言ったけどさ!うぅぅうう。ちがうちがうちがう......そういう意味じゃ............なッ......ア、アルティメット冷静黒崎はもういないよ!もう帰りました!君と電話してるのは黒崎愛!君だけの愛ですからっ!......っ......また恥ずかしい事言っちゃった......。どぅはぁ......。はああ、何だかお疲れモードの愛です......。......あぅ、そうだね。話題を変えようか......。話題......話題......しりとりでもする?......ぅぇぇ何その反応っ。いいじゃん別にっ。え、えっと......しりとり......り......リード。......ど、ドッスン?何それ?ていうか終わってるし!もう~、やっぱり意地悪なんだから......。......え?外?......あ。本当だ。雨、上がったみたいだね。寒いっ......でも、星空が綺麗......。あんなに空を覆ってた雲がどこか行っちゃったんだ......。何だか不思議だなぁ......。君もこの空を見てるんだ。住んでる場所は違うのに、こうして同じ空を見てるんだ......それも不思議だなぁ......。......。ね。私、星がたくさん見える場所に行きたい。うん。どこか遠くの......山奥とか。灯りの少ない場所。草はらに寝転がって、君と......手を繋いで......空を眺めていたい。ふふ。......ありがと♪あ。でも君のご両親、
「君がしっかり運転できるまでひとを乗せちゃダメ」って仰ってるんだよね。本当にやさしいご両親だなぁ......。やさしさ遺伝子を感じるよ......。え?あ、うん。そりゃあ、あの夏の日は......君の車じゃなくて、電車で海に行く事になっちゃったのは残念だったね。で、でも。あの日も言ったと思うけど、電車のお出かけもとっても楽しかったよ?そんな悲しそうにしないで大丈夫だって。......あの日からずっと気をかけてくれてたんだね。ありがとう。ん?んー。私の為に頑張ってくれるのはとても嬉しいんだけど、でも......もし事故とか起きちゃったら......うう、心配です。運転ってさ、どんなに自分が気をつけていても......どうしようもない時だってあるもんね。最近、物騒な事故のニュースが多くて怖いし......。......でも......でもでも、そんなリスクとか怖さとか、それがちっぽけに感じちゃうくらい、君と同じひとときを過ごせるのは幸せだな......♪......私をたくさん素敵な場所に連れていってね......えへへ♪