5.地味でぼっちなクラスメイトは
もしもし。......私です、黒崎です。ぁ、えっと......。いま、お忙しい......ですか?大丈夫......?ごめん......ごめんなさい。我慢しなきゃって思ったんですけど、......どうしても、君の声が聴きたくて......つい。......つい、つい......だ、大好きっ!あはは......。何だか、あの日の事が急に懐かしくなって......。まさか君から告白されるだなんて、本当に夢にも思わなかったよ。ただのクラスメイトで、存在感もない私を見てくれていて、好きになってくれて、愛してくれて......ありがとう。こんな私を見捨てないでくれて......ありがとう。......うん。自分でもそう思うよ。......。あのね。聴いてほしい話があるの。君と初めてお話したあの時から......私は変わったんだ、って。たまに考える事があってね。君に出会わなかったら、私......どうなってたんだろうって。今とは正反対の生活を送って、誰とも関わりを持たないで、何も成さないままの人生を終えるんだろうなって。君には感謝しきれないんだ。どんなにありがとうって気持ちを伝えても、愛情を伝えても、それじゃあダメなんだと思う。君を幸せにしたい。君と一緒に幸せになりたい。ちょっと傲慢かな......?ひとりよがりかもしれないけど。......。......もう、いつもいつも......。君は私を考えてくれてるね。自分の人生を、自分の世界を、私を中心に考えてくれてる......。私......決心したんだ。もっともっと、もっともっと強く変わるんだって。今の私は、君に依存して、君から愛される為に頑張って、君の気を惹こうとしてるだけ。意識してたつもりはなかったけど、これまでの私の事を思い返してみたら、そうだと思ったの。無意識って、そのひとの本性なんだ。私は無意識に、君を自分のものにしようと努力してたみたい。そんなの最低だよ。そうやってお互いが絡み合っていても、それは本物の愛とは呼べないんじゃないかって。君が私の事を本当に好きでいてくれてるのは分かってる。君の愛は本物だと信じてる。それだけは絶対に。でも、私の愛は......黒崎愛の愛は本物なのかな。好かれようと頑張る気持ちと、愛されたいという気持ちは......本物の愛なのかな。私、君に追いつきたいんだ。君の背中じゃなくて、君の横顔を見たい。隣に並んでいたい。いつだったっけ。
私、自分の大事な選択を君に任せようとしてた事があったよね。あれは、そうだ......君とこうして電話するようになった七日目。あの時も私は君に助けられた。怖い男のひとたちから守ってもらった事もあったよね。夏祭りのあの日......。守られてばっかりだよ。私、君を守りたい。君を支えたい。依存する関係から脱出したい。私、頑張るから。愛したいとか愛されたいとか、そういう話じゃなくて。君と同じ目線で世界を見たいの。......。君にどう思われてるんだろうとか、嫌われたらどうしようとか、そういう事ばっかり考えてたけど。今はもう、変わったよ。そんな受け身の生き方じゃなくて、君と............、......。ん......。ありがとう。私、自分の考えをまとめるのが苦手で......。うまく伝わるか心配だったけど、でも、よかった。君ってば、私のぐちゃぐちゃなお話を理解してくれるなんて、天才だねっ。さすがは私の旦那さん!......になるひとだよ!えっとえっと、ちょっと暗くなっちゃったけどさ、つまりは君の言った通り、君と同じくらいのメンタルを持ってやる~!って事だから。無駄に長くなっちゃったね......ごめんね。......あは。そうやって、無駄じゃないって言ってくれるところ、本当に好きだよ......♪ん?ええ?大丈夫だよ。君のお話も無駄話じゃないって。君に関しては、私の辞書に無駄話という単語は載ってません。全てが意味のある事で、全てが私の栄養になって......栄養?うう、私の語彙力って、笑っちゃうくらい乏しいなぁ......。もっともぉっとたくさんの本を読まなきゃ......。......ありがとね......。......ハッ。あ、い、今のは無意識です。無意識。だからその、......私の本性というか、本音......。......調子の良い事言ってるみたいになっちゃったね。うう、君にはほんっとうにありがとうって思ってるんだからぁ。愛を、私を......愛してくれて......これからもずっと、よろしくね♪(終)