01 恋人とその妹
// ここは彼女の家。彼女の部屋。
// 主人公は彼女とローテーブル越しに対面し、勉強している。
……えーっと……ここはこの公式を使えばいいんだよね……。
あ、間違ってる。
あれ、おかしいな……何でだろ。
……キミはどう?
合ってた……?
……す、すごいね。
公式を間違ったわけじゃない、よね……?
……あ、小数点書くの忘れてる……。
// 彼女は伸びをして、一息つきます。
んー……はぁ……。
……ちょっと疲れちゃった。
……あ、もうお昼ごはんの時間かぁ。
私、ちょっと下行って作ってくるね。
って言っても、簡単なものしか作れないけど……。
// 彼女は立ち上がり、ドアの前まで行く。
ちょっと時間かかるから、くつろいで待っててね。
// 彼女は部屋を出ていく。
// ドアが開いて彼女の妹「心音」が入ってくる。
せーんぱいっ。
お勉強、お疲れさまですっ。
お姉ちゃん、台所に行っちゃいましたねー。
// 心音は先輩の隣に座る
というわけで、寂しがり屋さんな先輩のために、可愛い妹の心音が来てあげましたよー。
嬉しいですか?
……何ですかぁ?
その迷惑そうな顔は。
先輩、私のこと嫌いなんですか?
私はこんなに先輩のこと、だぁい好きなのになぁ……。
そんな露骨に迷惑そうな顔されたら、さすがの私も傷ついちゃいます……。
……なんて、冗談ですけどね。
先輩、チョロすぎですよー?
女の子がちょーっと悲しそうな素振りを見せただけで、気の毒そうな顔しちゃって。
えへへっ……まあ、先輩のそういうところが可愛くて好きなんですけどっ。
この調子だと、先輩をお姉ちゃんから奪うのも楽勝そうですねー♪
っていうかぁ……いっそ今、奪っちゃおっかなぁー。
ねえ先輩。
お姉ちゃんの彼氏なんかやめて、私の彼氏になりませんか?
そうすればたくさんいいこと、出来ますよー。
にひっ……ちょっとドキってしましたか?
だってお姉ちゃん、すごく真面目でしょ?
まあ、それは昔からなんですけど。
絶対毎日勉強してるし、門限は守るし、制服のスカートだって膝下丈だし。
……それに先輩、お姉ちゃんとまだシてませんよね?
……何をって……そんなの決まってるじゃないですか。
セックス、ですよ。
にひっ……その反応、やっぱりしてないんですね。
ま、分かってましたけど。
超がつくほど奥手なお姉ちゃんが、そんなこと出来るはずないですし。
彼氏ができたってだけで今世紀最大のビッグニュースでしたから。
……でも、先輩はそれで満足してるんですか?
だって、先輩だって男の子でしょ?
女の子と一緒にいて、シたくなることないんですか?
お姉ちゃんでムラムラしたこと、ありませんか?
……そりゃあ、ありますよねぇ……にひひっ。
でもお姉ちゃんの性格を知ってたら、エッチなことなんて出来ませんよねー。
セックスは結婚してから、なんて考えてるカタブツですし。
先輩が僧侶を目指して禁欲に励んでる仏教学部の生徒なら、お姉ちゃんはぴったりかもしれませんけど。
でも、本当はシたいんですよねぇ……?
……先輩。
私なら、いつでも先輩のシたいこと、させてあげますよ?
お姉ちゃんにしたいって思ったこと……私になら、してもいいですよ……?
……にひっ。
ちょっと揺らぎましたね?
私とイイコト、したくなりましたね?
嘘ついても無駄ですよ。
先輩の考えてること、ばっちり顔に出てますから。
……大丈夫ですよ。
お姉ちゃんには黙っておきますから。
先輩は、大人しく私にそそのかされちゃえばいいんです。
そのままじっとしてて下さいね。
先輩にとーっても気持ちいいこと、教えてあげますから……。