06 恋人の不安
// 昼休み、校庭のベンチ。右隣に恋人の美雪が座っている。
……ね、ねえ、最近ちょっと気になることがあるんだけど……。
心音(ここね)のことなんだけど……。
キミ、最近仲良くしてくれてるみたいだね。
……ううん、それは全然いいの!
あの子、明るいんだけどちょっと変わってるでしょ……?
それにああ見えて人見知りな所あるし……特に男の人は苦手みたいだし。
だから、キミが心音に優しくしてくれるのは、私も嬉しいの。
最近よくキミのこと話してるから、ずいぶん気に入ってるみたい。
でも、ね……。
私、ちょっと不安なの。
……ほら、私ってよくカタブツとか真面目すぎとか言われてるでしょ?
キミに、その……告白されるまで、恋愛だってしたことなかったし……。
今だって、恋人にはなったけど何をしていいのか分からなくて……。
その……私はキミと一緒にいられるだけで幸せだし……だから彼女として、キミに何をしてあげたらいいのかも、よく分からないの……。
でも心音って結構ぐいぐい行くでしょ?
もしかしたらキミに迷惑かけてるかも知れないけど……。
私、あんな風にはなれないから……その……いつか心音にキミを取られちゃうんじゃないかって、不安になっちゃって……。
ご、ごめんね……。
キミのことを信用してないわけじゃないの。
ただ、私が自分に自信が持てないだけ……。
私、キミの事が好き……。
本当は、入学式で初めて見たときから気になってたの……。
多分、一目惚れだと思う……。
だから、キミに告白されたときはすごく嬉しかった。
でも、今は不安のほうが大きいの……。
私なんかがキミの彼女になっても良かったのかなって……。
心音のほうが、キミの彼女に向いてるんじゃないかって……。
ご、ごめんなさい……私、嫌な子だよね……。
この言い方じゃ、キミが浮気するんじゃないかって疑ってるみたい……。
そ、そうじゃないの。
ただ……ずっと私のことを好きでいてほしいって……彼女でいたいなって、そう思ったの……。
だって私……キミのことが大好きだもん……。
……ねぇ。
キミは私のこと、ずっと好きでいてくれる……?