Track 5

05ひよこの気持ち

【妃愛】「おにい~、なに見てるの? えちちなゲームの購 入画面?」 【妃愛】「あっ驚かせてしまったかな、ごめん」 【妃愛】「まあごめんと言いつつ、お兄が何の画面見てるか こっそり覗くつもりで忍び寄ったから、ばりばり 故意なのだけれども」 【妃愛】「それでこれはなんのゲーム……あ、音声……作 品?」 【妃愛】「ほえー、お兄こういうの好きなんだあ」 【妃愛】「いやまあ私という恋人がいたところで、二次元の えちちを求めるのは当然くらいに思っていたの で、その点については全く気にしてないのだけど さ」 【妃愛】「お兄と兄妹のままのやりとりができるのは嬉しい し」 【妃愛】「でも音声作品っっていうのはなあ……」 【妃愛】「表紙に騙されてページ開いただけ? うんまあ表 紙の絵はかわいいねえ」 【妃愛】「でもまだちょっと半信半疑ー」 【妃愛】「疑わしきはバスケットボールー」 05ひよこの気持ち 2 / 12 【妃愛】「えちちなイラストでお兄が燃え盛るのは微笑まし いけど、声オンリーでえちちな気分になるのは… …なんか……ちょっと……その、声だけでってい うのが」 【妃愛】「だだ、だってお兄は、私の声単体だと絶対にえち ちな気分にはならないだろうし……私、声のお仕 事というか……私だって、自分の声でお兄に萌え てほしいというか……」 【妃愛】「その、萌えるだけではなく、やっぱり自分の声で お兄がえちちな気持ちになってくれたら嬉しいと いうか……」 【妃愛】「えっ小泉妃愛はみんなのもの? お兄が独り占め していいものではない? それは私が言いだした こと?」 【妃愛】「そそっ、そおなのだけどそおなのだけどヴヴヴヴ ヴヴヴヴ」 【妃愛】「そんな正論で感情的になっている妹を言い負かし て、それでもお兄は立場の弱い妹を恋人にしてい る自覚があるのかー!」 【妃愛】「私だって頭ではわかっているのだけど、こと声の 話になるとやっぱり悔しい気持ちはあるんだ よぅ、シット! シッター! シッテスト」 05ひよこの気持ち 3 / 12 【妃愛】「私だって私だって、お兄にこっそり自分の音声作 品を買ってほしい!」 【妃愛】「そもそもお兄、私の音声作品の存在すら知らない よね」 【妃愛】「あるよ! ささやきボイスみたいなものは発売さ れているし、販促動画は公開されているよ! 私 としてではなく、キャラとしての声だけれど も!」 【妃愛】「お兄が私に内緒でこっそり購入してくれていたら 嬉しい……けれど、そんな事実もないよねきっと ぐすん」 【妃愛】「かといってプライベートな時間に、私のキャラと しての声や小泉妃愛として本気出した声を、お兄 個人に聞かせるのは声優判定アウツだし……うう うううううぅ!」 【妃愛】「えーとこの音声作品は……なになに「天使の耳か き」……また天使か! 「脳が犯される耳舐め作 品の決定版」……ふぅーん、耳かきものかあ」 【妃愛】「あっ! なーんだ、それならとても簡単なお話 だった」 【妃愛】「小泉妃愛の音声作品としてではなく、お兄の妹と してリアル耳かきをしてあげればいいだけのお話 だったね! 声優判定セフセフ」 05ひよこの気持ち 4 / 12 【妃愛】「というわけで、来いよ」 【妃愛】「今回お兄に拒否は許されません。妹に心的外傷を 与えた責任をとってください。耳かきさせてくだ さいお願いします。なんでもします、この通りで す」 【妃愛】「あ、させてくれるんだ?」 【妃愛】「わあい、お兄やさしい! 大大大ちゅき! いか なるときもちゅき」 【妃愛】「言うて、人に耳かきなんてしたことないから緊張 するね……」 【妃愛】「さ、お兄。ここへ頭をのせて」 【妃愛】「うはー! 期せずしてお兄にひざまくらー! 母 性を覚える、ときめくぅー!」 【妃愛】「ええ~? こんなにときめくなら、もっと前から お兄に耳かきさせてもらえばよかった」 【妃愛】「これは棚からぼたもちだなあ。私、みたらし団子 が好きだけど。よちよち。よちち」 【妃愛】「それではいざ耳かきをするわけだけど、すべてが 初めてなので、痛かったら言ってね」 05ひよこの気持ち 5 / 12 【妃愛】「しかし、うーん……残念ながら、お兄の耳の中は 綺麗だ」 【妃愛】「でも私の目的はお兄の耳を綺麗にするのではな く、お兄に耳かきをすることなので、耳かきでく すぐるね」 【妃愛】「どうかな、くすぐったいかな。痛かったらゆって ね」 【妃愛】「ちなみにこの耳掃除は和泉妃愛として行っていま すが、お兄に私のささやきを聞いてもらうのが目 的なので、終始声をかけつづけます。声優判定セ フセフ」 【妃愛】「そういえば……私もだけど、お兄、昔はお母さん に耳かきしてもらってたよね」 【妃愛】「今は自分がその役を務めてると思うと、過剰なま でにときめくぅ~」 【妃愛】「えへへ、まだ始めたばっかりなのに、お兄の耳か き楽しい~母性母性」 【妃愛】「まだお母さんみたいに上手くはできてないだろう けど、いずれお兄からおねだりさせてみせるから ね~」 【妃愛】「お兄の耳好きぃ~、お兄の耳の形好きぃ~、お兄 の全部が好きぃ~」 05ひよこの気持ち 6 / 12 【妃愛】「小さい頃ね~、耳かきの順番、いつもお兄が先 だったよね~、あれちょっとズルいなって実は 思ってた」 【妃愛】「あ、やあ、怒ってはない、怒ってはないよ。怒っ てないというか気にしてはなかったよ」 【妃愛】「まあ単に生まれた順ってだけだしね。「今日は妃 愛が先ね」って日もあったし。でもまあ、キホン はお兄からだったよね」 【妃愛】「お風呂もお兄が先に入れてもらってたしね~」 【妃愛】「ゆーても、あれはお父さんと入るのがお兄で、お 母さんと入るのが私で、お父さんとお母さんで先 に入るのがお父さんって順番決まってただけだけ ど」 【妃愛】「は? いっしょに入ってたころあった?」 【妃愛】「いいい今その話しゅるなしないで、この話恥ずか ちぃ終わし」 【妃愛】「あーだめだめこっち見上げないで、いま耳かき中 なんだから」 【妃愛】「はいっ! はいっ! こっちの耳終わり! 逆!  向こう向いて!」 05ひよこの気持ち 7 / 12 【妃愛】「えへへ、私の足の上でお兄の頭が動くの好きぃ ~」 【妃愛】「お兄の頭の重みを感じるぅ~、存在を感じるぅ ~」 【妃愛】「もはや説明すら不要に思えるけど、私は今みたい にお兄と家族を感じられる時間が好きだよ」 【妃愛】「でも今ではときめきも覚えられるので幸せむぎゅ うううううぅ」 【妃愛】「あっごめん、耳かきの邪魔してしまったね」 【妃愛】「でもねー、自分でも驚くくらい幸せで満たされて いてうへへへ」 【妃愛】「お兄とこれからもずっとこんな時間を過ごせるぅ ~、末永くいっしょに暮らせるぅ~」 【妃愛】「今後は一人になる不安を抱かずに生きていけるぅ ~」 【妃愛】「はあ……自分の人生が上手くいきすぎて怖い…… 心境的にはもはや余生」 【妃愛】「これからは山も谷もなくてよいので、お兄とただ ただ幸せな時間を過ごすんだい」 【妃愛】「お兄大とぅき、てへ」 05ひよこの気持ち 8 / 12 【妃愛】「はあ~、先ほどから気持ちが高まりすぎて、耳か きが雑になっていたらごめんねお兄、痛かったら ゆってね」 【妃愛】「え、むしろくすぐったい?」 【妃愛】「口ではテンション高いくせに、おっかなびっく り?」 【妃愛】「だだだだって、耳って敏感な部分だし、万が一強 く引っ掻いたら痛いかと思って……」 【妃愛】「お、お兄、笑わないで! ちょ、母性台無し!  おにーいーっ! もーっ!」 【妃愛】「ううぅ数秒前まで私が母性を感じていたのに、な ぜかお兄に笑われている……」 【妃愛】「仕方ないよ、何事も初めての経験は上手くいかな いときもある……う、うううぅ~!」 【妃愛】「お、おにょれお兄、大好きなお兄の身体を大切に 扱う、妹の健気な心を笑いおって……!」 【妃愛】「まだぜんぜん耳かきしてないけど、ちょっと休憩 して、今から悪戯をします」 【妃愛】「逃げようとしてもそうはいかんぞ」 05ひよこの気持ち 9 / 12 【妃愛】「いかに私が非力と言えど、ここまでしっかり抱え こめばお兄も逃げられまいフフフ」 【妃愛】「へへへ、無防備なお兄の耳~」 【妃愛】「ふーっ……」 【妃愛】「えへへびっくりした? くしゅぐったい?」 【妃愛】「ううぅ~ん母性復活、お兄がかわゆい」 【妃愛】「お兄がまいったするまでしゅる……」 【妃愛】「( ふっ、ふーっ……ふっ、ふうっ……ふーっ…… ) 」 【妃愛】「息吹きかけだけじゃ……物足りないなあ……」 【妃愛】「ちゅっ……れろっ」 【妃愛】「えへへお兄がびくってした」 【妃愛】「私はいっつも、お兄に耳を責められてわからされ てしまうので、今日はお返し……」 【妃愛】「( れろ……れろ、れろっ……れろ、れろぉ……れ ろっ) 」 【妃愛】「えへへ、我慢できないくらいくすぐったいのは、 私もよく知ってるから……」 05ひよこの気持ち 10 / 12 【妃愛】「妹の健気な心をくすくす笑った事実をよく反省し てほしい」 【妃愛】「うんうん、お兄がわかってくれたのなら私は満 足」 【妃愛】「ここからは優しく耳かきしてあげるね」 【妃愛】「えへへ~、お兄の耳かき楽しい~、お兄の頭を膝 にのせてるの愛しい~」 【妃愛】「しばらくはお兄の耳かきにはまってしまいそうだ けど、耳かきって、しすぎないほうがいいとも聞 くよね」 【妃愛】「1週間に一度くらいかな~、2週間くらい間空け たほうがいいかな?」 【妃愛】「これからは自分で耳かきしてはダメだからね」 【妃愛】「私にお世話させてね」 【妃愛】「ありがとう、お兄。大チュキ」 【妃愛】「はい、それじゃあ今日はここまでー」 【妃愛】「綺麗綺麗になりました」 【妃愛】「お兄、お疲れ様。次回はまた2週間後のお楽しみ ……え、私?」 05ひよこの気持ち 11 / 12 【妃愛】「私の耳かきをお兄がする……?」 【妃愛】「い、いいよお、私は普段から綺麗にしてるし…… その、最近したばかりだし……」 【妃愛】「やっ、耳さわっちゃだめえ! えっ、だめだめほ んとだめ」 【妃愛】「だって、さっき私にされてるお兄を見てるだけ で、くすぐったそうだったのに……お兄に同じこ とされたら、私、我慢できない」 【妃愛】「やっ、だめえ! やだやだお兄、押したおしちゃ ダメ……あっ」 【妃愛】「あ、あにょ……さっきは調子に乗ってちゅみませ んでちた……反省してましゅ」 【妃愛】「なので耳だけは許し……あっ、ひゃあん! 舐め るのだめえ!」 【妃愛】「もうこれ耳かきじゃないよお……やんっ! も お、おにいいいい~!」 【妃愛】「うぅ、まさかこんな仕返しを受けてしまうとは… …」 【妃愛】「でも……お兄がこんな風に襲ってくれるとは思わ なかったので、口では抵抗してしまったものの、 いま妃愛はとてもドキドキしています」 05ひよこの気持ち 12 / 12 【妃愛】「今度から襲ってほしいときはお兄に耳かきする ね」 【妃愛】「お兄の耳かき、大好き」