00.被験体(人間)の捕獲
目が覚めたかしら?
驚くのも無理はないわ。
あなたの記憶はきっと、森の中を歩いていたのが最後でしょうから。うふふ。
そうでしょ、可愛い人間さん?
あんっ。あんまり動いても無駄な体力を消耗するだけよ?
貴方の身体は、私達が作ったベルトでしっかりと固定されているんだから。
例えベテランの剣士でも引きちぎることは無理。
あなた方人間の技術ではまだ生み出せない特殊なベルトなんだから。
うふふ
ようやく気づいたかしら?
ここはエルフの里。
具体的に言えば、エルフの里…そのラボ、研究所よ。
ここでは様々な研究を行っているわ。私はその研究員ってわけ。
そしてあなたは被験体。
私達の仕掛けた罠にハマってしまったの…残念ね。
…ええ、私達エルフは人に危害を加えない種族。
人間と時には助けあい、友好を築いてきたわ。
毎年交流会も開かれ、お互いの文化を受け入れてきたわね。
でもそれは、二十年以上も前のこと。
ここ数年、人間の町に下りたメスのエルフが多く帰って来ないことが多くなってきたわ。
エルフが行ったきり、この里には戻ってこないの。
それどころか近くの森に出掛けたエルフでさえも里に戻ってこない。
聞くところによると、人間たちの間で、私たちエルフの密猟が流行しているだとか…。
人にとっては魅了な身体を持っているがゆえに、連れ去られるのでしょう。
とても悲しいことです。
人間とはずっと仲良く友好関係を築きたかったけれど、
こうなってしまった以上、エルフの種を守るために抗わなくてはならないの。
私達エルフを守るために…
ねぇ、自分を守るために最も重要なことはなにか分かるかしら?
うふふ。その術(すべ)は、敵をよく知ること。
つまり私たちは人間の情報を多く集め、知識として得ることが重要なの。
私は敵である人間の情報を知るために、色々と悩んでいたの。
そんな中、森で私達の仕掛けた罠にハマる愚かな人間さんがいたの。
そう、それがあなた。
エルフの森で何をしようとしてたのかしら?
水薬を手に入れようと?
持ち物を見せてもらったけど、物騒な剣や弓がいくつも出てきたわ。
あなたも、エルフを生け捕りをしに来たに決まってるわ。
でも、残念ね。獲れなくて。
それにしても、あなた見たところまだ若そうね。
せめて、もっと鍛えてから来るべきだったわね。
そんな弱々しい身体で私達を捕まえられると思ったら大間違い
私達エルフを甘く見ないで!
エルフの身体は貧弱でも、頭脳はあなた達より何倍も上なのだから。
ふぅ
とにかく…貴方は私達エルフにとってのいわば、人間の鹵獲体。
身体を隅々まで調べて、調査し、今後の防衛のために使わせてもらうわ。
楽しみしておきなさい。うふふ