1.書道部訪問
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①書道部訪問
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【詩遠】
会長…わざわざ足を運んでいただき、ありがとうございます
ここは書道部の部室となっております
わたくしはここで部長を務めさせていただいております、
倉敷詩遠と申します…よろしくお願いいたします
【文歌】
同じく副部長の古宗院文歌と申します
本日は、どうかよろしくお願いいたします…
【詩遠】
会長はわたくしたちに合わせる必要はございません
どうぞ、正座をお解きになって、おくつろぎくださいませ…
では、軽く書道部についてご説明させていただきます
まずは道具についてですが、
筆、紙、墨、硯といったところを用います
硯で丹念に引き伸ばした墨に筆先をつけ、
真っ白な紙に魂を込めた文字を綴る…
文字を跳ねきるそのときまで神経を研ぎ澄まし、
自分にしか書けない唯一無二の文字を産むために…
派手な部と比べて行っていることは実に質素ですが、
内側では常に心に火を灯し、闘っておりますことをご承知おきくださいませ…
現在の部員数は50名ほど…不真面目なものは一人としておらず、
毎日この部室は部員で埋め尽くされます
将来的にはみな、文字を書く仕事に就くことを夢見ています
いまや美しい文字の需要はアナログにとどまらず、
デジタル方面にも広がっておりますことをご存知でしょうか?
各種広告や年賀状、表札など…
日常で目にするものに、自分の書く文字が刻まれたとき…その夢は叶います
書道部を選んでいただけましたら、多額の部費はより質の良い道具の購入、
または部室の改築に充てさせていただきます
夢に近づくため…この機会を絶好とし、誠心誠意アピールさせていただきたく存じます
【文歌】
わたくしも不束ながらお相手させていただきます…
至らぬところがございましたら、遠慮なくお申し付けくださいませ
【詩遠】
さぁ、堅い話ばかりでは会長に楽しんでいただけませんわ…
文歌さん、道具をここに…
【文歌】
はい、部長…ここに筆を数本、用意しております
【詩遠】
ありがとう…
会長、本日は書道体験をしていただきます
といいましても、ただ体験していただくだけでは面白みがありません…
筆のみを使用し、それ以外は…
会長とわたくしたちの身体を以って、他の道具とみなします
【文歌】
つまりは、硯、墨、紙は使わない…ということですね?
【詩遠】
その通りです…
申し訳ありませんが、これからわたくしたちの言うことに従ってください
必ず会長に書道の良さを理解していただき、
ご満足いただけると確信しておりますので、ご協力お願いいたします…
ではこれより、書道部のアピールを始めさせていただきます…