Track 1

1・ひみつのダンボール

;1 ;ある程度荷物整理が終わって、捨てるかどうかの分別をしてます 「むぅ、やっぱり服よねぇ……段ボールに詰め込んでるとはいえ、さすがに邪魔だし……でも、確認しないまま捨てるのも、う~~~ん……あ、ありがとー。うん、さっきのは捨てたらマズイ奴だからね。かといって、出しとく必要もないし、みたいな……んー、もらい物とか記念品とか? 友達から誕生日プレゼントで貰った物とか、イベントで買った物って捨てづらいじゃない?」 「? いや、別に中見ても怒んないけど? 何かあった? ……あ、あ、あああああ、待った、待った、ていうか待ってください、お願いします! いや、だってそれ……ちゅ、ちゅ、ちゅ……中学の卒アル……だよね? なんで、なんでなんでなんで? なんでそんなの持って……うっそ、入ってた!? いや、てっきり実家の方にあるもんだと……なんで持ってきた、あたしぃぃぃぃ」 「あ、あのぉ……ほら、渡して、ね? 良い子だから……っ! ……あ、あ、あーーー……ぁー……く、殺せっ! ……いや、ニヤニヤしながら手わきわきして近寄られるとめっちゃ怖いから、冗談だから……うー、そうよ。その頃は、その……まー、いわゆる地味子っていうか、根暗で……ううう、知られたくなかったのにぃ……ふーんだ、可愛いなんて言われても……えへへぇ♪」 「……で、でも、とりあえず置いて。おーいーて! いや、もう見るなって言わないから、でも見られてるって思ったらあたしの作業進まないから、後生だからせめて終わってからにしてください……う、なんて卑劣な……判ったわよぉ、高校の卒アルも見せるから……もう堪忍してぇ……うぅ、ひどいわ。弱みにつけこんでここぞとばかりに……今度、あなたのも見せて貰うからね?」 「え、あ、うん……良いんだ……おのれ、自分の過去にコンプレックス無い勢はこれだから……あー、はいはい。やります、やーりーまーすーよー……っていっても、あなたが手伝ってくれたおかげで後は……とりあえず後で考えようって適当に服を突っ込んでたこの箱くらいなんだけどねー……まぁ、うん。そうだね、結構ある……ていうか、クローゼットの半分埋めてたしね」 「……えーと、隠す意味ないからぶっちゃけるけど、あたし独り立ちするまではさっきの卒アルみたいな感じでさ。で、こっち来て一念発起してデビュー、って奴でして……成功してるように見える? あははは、ありがと……ま、でもいきなりそうなろうとしても自分がどういう服なら似合うかなんて判んないから色々試してさ、当然、微妙な感じなのもあって……これがその残骸ね」 「もちろん、それ以外にも普通に奥にしまい込んで忘れたってパターンもあるけどね……まぁ、うん。そうね、黒歴史的な意味合いもあるから……正直、このまま捨てても……あー、はいはい。見ます、見ますよー……ていうか、なんか楽しそうだけど……う、そういう風に楽しむつもりだったか……良いわよ、もう。手伝ってくれたお礼もあるしね……ま、一緒に確認してきましょうか」 「んー? あなたが気に入ったのあったら? ……そうね、じゃそういうの取っておきましょうか。んー、中学卒業した頃から体型ほとんど変わってないからねー。たぶん入るでしょ……ええ、そうですけどぉ? おっぱいも当時からこの大きさでしたけどぉ? ……なーに考えてるんだか、まったく。男ってのはこれだからー……ふふ、ま、あの頃は恥ずかしかったけど今はねー」 「知らない人にじろじろ見られたりするのは嫌だけど、あなた相手なら……うん、まー、今更だし? ……うっさい、耳赤くなってるとかいうな……嫌じゃないけど、恥ずかしいは恥ずかしいんだから、もー……ほらほら、仕分けするよー……さーて、どんなのが出てくるかなぁ……いや、さすがに全部覚えてる訳じゃないからねぇ……変なのが出てこないと良いんだけどなぁ」 ;3秒程度間