Track 1

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トラック01 『初めてのお喋り』

■トラック01 <-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------->  作品タイトル「恋する物の怪 ~友達がいない妖狐と友達以上の関係になってえっちしちゃう音声~」  この作品は、クラスで唯一の物の怪・妖狐の女の子である空前 天狐(そらまえ てんこ)と仲良くなっていく音声です。  "あなた"と天狐の初めての交流は、雨の降り止まぬ放課後から始まります――。 <--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------> ふぅ。今日も無事、授業が終わったー。 ……のは良いんだけど、あいにくの雨模様だなあ。 雨が降るだなんて思ってなかったから、傘持ってきてないよー……。 近くのバス停へ行くまでに尻尾が濡れちゃったら、バスに乗る時、他の人に迷惑がかかっちゃうしなあ……。 雨が止むまで、こうやって大人しく教室で雨宿りするしかないかー……。 ……。 あれ? 教室に誰か戻ってきた……? あっ、私の隣の席の男子だ。どうしたんだろう? 声をかけてみようかな。おーい。 そうそう、君のことだよ。ねぇ、教室に戻ってきてどうしたの? 教科書を机の中に忘れちゃったとか? ……ふふっ、やっぱりそうなんだ。家へ帰る前に気づいてよかったね。 数学の教科書を忘れてたの? 確か数学の授業って明日までに宿題が無かったっけ? 危うく宿題をすっぽかして、また「出席番号18番!」って先生に怒られちゃうところだったねー。 君ってばよく宿題をやってこなかったり、授業中にこっそり携帯を見たりして、叱られてるんだもん。 え? 「俺のことをよく知ってるなあ」……って知ってるに決まってるよ。 だって隣の席だし、担任の先生からは「キャプテン!」なーんてあだ名までつけられて、よく怒られてるからねー。 あれ? 「なんでキャプテンって言われてるのか分からない」……? 当の本人なのに理由を知らないんだ。 君って出席番号18番でしょ? だから野球のエース選手がよくつけてる背番号18から連想して、 「あの子は不真面目生徒のエースよ、キャプテンだわ」って担任の先生がニックネームをつけたみたいだよ。 わっ! 急に立ち上がってどうしたの? 「キャプテンってそういう意味だったのか! 心外だ!」……って、怒られないように真面目に頑張れば良いだけじゃないかな? ふふっ、君って面白いね。さすが出席番号18番の不真面目エースキャプテン! あはは、ごめんごめん、冗談だよー。 ん? 私はどうして教室に残ってるのかって? いやぁ、傘を持ってくるのを忘れちゃって雨宿り中なんだー。 「妖狐の神通力で雨に濡れないようにするとか出来ないのか」……? 残念ながら私って妖狐の中ではあまり力が無い方で、あんまり大したことできないんだー。 だって、別の姿に変身するあの有名な"変化の術"も使えないんだよー? お母さんには「誰に似たんだー! 修行が足りないー!」っていつも怒られてるもん。 ……というわけで、私はまだ教室で雨宿りしてるよー。 え? この傘を使え、って? いいよいいよ、君の傘が足りなくなっちゃう。 「予備で折りたたみ傘を持ってるから大丈夫」……? ダメだよ、ならせめて私は折りたたみ傘の方を使わせて? 君は男の子で体も大きいんだし、折りたたみ傘じゃ濡れちゃうよ。 普通の大きな傘じゃないと私の尻尾が濡れちゃう? そんな……、そこまで気を遣ってもらうのは悪いよ。 「俺は学校から家まで近いから問題ない」……? ……。 ……ふふっ、わかった。さっすがキャプテンだね。 そこまで言ってくれるのなら、ありがたく君の厚意を受け取るよー。 うーん……。こんなに長く誰かとお話したの、なんだか久しぶりかも……。 ほら、私って妖狐でしょ? 物の怪ってこのクラスだと私一人しかいないし、話相手もいないんだー。 だからこうやってクラスメイトと普通にお話するのって、ちょっと楽しいかも。 傘も貸してくれてありがと。君の傘は明日ちゃんと返すね。 ……えーっと、傘はどうやって返そうかな。明日は一番乗りで登校して、傘立てに置けばいいかな? え? いや、その、わたし妖狐だから、えっと……、私が君の傘を使ってたって他の人に知られたら迷惑かけちゃうかなーって……。 「別に気にしないから、普通の時間に登校して傘立てに差しておいてくれ」……?  ……そっか、了解したよー。 もし良かったら……その……、明日も私とお話……。……。ううん、やっぱりなんでもない。 次のバスが来るまでまだ時間があるから、私はこのまま教室で雨宿りするよー。 キャプテンは先に帰っていいよ。うん、ばいばーい。 ……。 はぁーっ、緊張したー! 人とお話するのってこんなに緊張したっけ……! わたし、キャプテンに変なこと言ってないよね……? ……ふふっ、それにしてもキャプテン優しかったなあ。 尻尾が濡れちゃうから折りたたみ傘じゃなくて普通の傘を使え、だってさー。 勉強するのを面倒臭がっているだけで、根は真面目なのかな……? 家に帰ったらお母さんにキャプテンのこと、話してみようかな。 クラスメイトに変な男子がいるよーって。 ……。 さて、そろそろバスが来る時間だ。 キャプテンの傘を差してバス停まで、れっつうぉーきんぐ♪ 大きな傘で尻尾も完全防御!だねー。

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