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01_おかえりなさい。今日もおつかれさま。

「おかえりなさい、早かったわね? 夕飯の準備に夢中で帰宅したの、気付かなかったわ。ごめんね……?」 「外、寒かったでしょう?……ああ、ほっぺがこんなに冷えてしまって……」 「今日は天気が怪しかったから心配してたんだから。電話くれたら駅まで迎えに行ったのに……え? いい匂い……? ああ、そうそう! 今日はなんとなーく貴女の好きなシチューにしようと思って。やっぱりシチューは匂いだけで元気になるー……え? 違う??」 「きゃっ!?……ちょ、ちょっとどうしたの? いきなり抱き着いて……。え? あ、ああ、いい匂いって、私の……? ふふっ、貴女ったら」 「……お腹がすいたからってだけじゃなさそうね? 何かお疲れになるようなことがあったのかしら?」 「ふふっ、貴女ったら、どうして分かるって顔してー。当たり前でしょう? 私は貴女の奥さんなんですから、貴女の様子がおかしいのなんて、すーぐ分かっちゃうのよ」 「貴女がそうやって何も言わないで甘える時は……少し辛い時だものね。……私としては、それ以外の時もいーっぱい甘えて欲しいんだけど」 「……ふむ、ふむふむふむ。うんうん…………なるほど…………なるほど…………そっかぁ…………そんなことが…………うんうん……」 「……そう、それは大変だったわね……貴女のせいじゃないのに、でも貴女は一生懸命頑張ったんでしょう……?」 「うん、うん……私には分かるわ。偉い、偉い……。貴女が頑張ってるってこと、私はちゃんと見てるわ……保証しちゃう、大丈夫よ」 「貴方がどれだけ一生懸命に頑張ってるか、他の誰が理解してくれなくても私が一番分かってるんだから。本当に……頑張りすぎるくらい頑張ってるものね、貴女」 「あ、ああっ、そんな泣きそうな声を出して……? 本当にお疲れなのね……、ふふっ……よしよし、いい子、いい子」 「……ええ、もちろんよ。今日は思いっきり甘えてちょうだい? でも、まずは……その疲れた身体をシャワーで温めて」 「辛いのを洗い流して身体がぽかぽかに温まったら…腕によりをかけた夕飯で身体の中から温めてあげる」 「今日のシチューは時間をかけたの。ふふっ、野菜も程よく煮崩れて、美味しく溶けて……貴女のお口に入るを、待っているわ♪」 「さあ、貴女。シャワーにどうぞ♪ ちゃーんとひとりで浴びられるかしら? それとも……今日は一緒に浴びたかったりする気分だったり?」 「ふふっ、ちょっとでも貴女が喜んでくれたら私も嬉しいわ。貴女がシャワーを済ませたらすぐに夕飯、食べられるようにしておくから……ゆっくりシャワー、浴びてきて?」 「……」 「……でも、どうしても独りじゃやだーってなったら呼んでくれても良いけど……ちゃーんと一人でシャワー、浴びられるわよね。あ・な・た♪」 「……はい、お粗末様でした。美味しかった?……って聞くまでも無いか。ふふっ……さっきまであんな、死んじゃいそうな顔してたのに、すっかり笑顔になっちゃって。そんなに美味しく食べてくれたら、いつもながら作り甲斐があるわ~」 「うふふふ、ごめんなさい、バカにしてなんかないわよ。貴女のそういうところ……私は大好きなんだから。可愛くて」 「お外ではあんなにしっかりした顔で振る舞ってるのに、私の前に戻ってきたらまるで子供みたいに、表情がころころ変わって……」 「子ども扱いなんてしてないわよ? ふふ、むくれないの。可愛いお顔が台無しよ……?」 「それとも……立派な大人の貴女としては……今日はこのまま休んじゃったりするのかしら? さっき宣言した通り、今日はたーーーっぷり、甘やかしてあげようとかなー、なんて……思ってたんだけど♪」 「しっかり自立した大人の貴女は、そんなの要らないのかしら……? ねえ、あ・な・た?」 「……うふふっ、よくできました♪ そう、私の前だけは、そうやって甘えていいの。私はね、貴女を甘やかすのが……だーい好き、なんだから……♪」 「……ふぅ。どんなスイーツよりも美味しいわ、貴女の唇」 「んっ……ふふ、なあに? そんな物足りなさそうな顔、しちゃって……。もう、本当に可愛いんだから……♪」 「うふふ、ごめんなさいね。じゃあ約束通り……貴女を甘やかしてあげちゃうフルコース、振る舞っちゃうわね……?」

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