01_私わよ!
【華乃】「はー……」
【華乃】「え、冷静に考えたら無理なんだけど」
【華乃】「えだって長くない? 4日間でしょ? え無理
じゃない? なんで海外のイベントって長々と何
日も開催するの? まあ最近はコミまども4日間
開催したりするけどさ」
【華乃】「えちょっと長くない? 私、全日参加する意味な
くない? えだって私の登場4日目でしょ? 3
日目はともかく初日と2日目、いる意味ある? まあ主催者さんが私のファンで、接待したいから
みたいなんだけど」
【華乃】「いや、まあ参加するって返事したのは私だけど… …でも4日間だって思わなくない? だって仕方
ないじゃない! 航空機のチケットも、ホテル
も、予約済みだって言うんだから!」
【華乃】「ていうか、あんたがいっしょに来てくれればよ
かったのわよ! 他人のお金であんたと海外旅行
してみたかったかも……あー同行者の有無聞かれ
たときに、あんたの分のチケットもお願いしてお
けばよかった……二人分頼んでおくんだった…… ホテルの部屋は一つでいいけど……」
【華乃】「えなんでって、だって、あんた連れてくってなっ
たら、私と二人で海外行くのが、ひよりんにも、
他のみんなにもバレるじゃない!?」
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【華乃】「その、付きあってるのはわかってても、海外で二
人きりとか……その、はず、恥ずかしいじゃな
い? いやその……いつかは行きたいし、海外
じゃなくても二人で旅行はしたいけど……」
【華乃】「え、そっちじゃない? なんであんたもいっしょ
にいたほうがいいのかって?」
【華乃】「あー、うーん……言われてみれば、今までは一人
で行ってたしね……男の子と付きあい始めたか
らって、何から何までいっしょに行動するのも、
痛い女絵師の典型って感じするし……」
【華乃】「ただ、まあ、自分でもちょっと意外なんだけど、
私って、痛い女絵師の典型だったみたい…… ちょっと悔しいんだけど、まだちょっと認めたが
らない自分もいるんだけど、その……別に毎日
いっしょにいなくてもいいけど、一日顔が見られ
ない日があってもいいけど、あんたと会いたく
なったときに会えない環境に自分がいるのは嫌み
たい」
【華乃】「男の子に依存しちゃって絵師としてダメになった
子も見てきたし、やっぱり一から十まで恋人に
べったりの女はかっこ悪いから、今回の件で改め
てよく反省するけど……」
【華乃】「でも、あの、それとは別に……今の私って、あん
たのことが大好きなんだなあって」
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【華乃】「本当は毎日だって顔を見たいし、それがダメなら
声は聞きたいし、それができなくても、いつでも
会いたいときに会いに行ける環境って大事なんだ
あって……実感した」
【華乃】「私、ハマっちゃってるね、恋愛に。いや、あんた
にかな?」
【華乃】「え? いつの間にこれほど恋愛にハマったのかっ
て? はあ?」
【華乃】「あんっ、あんたねえ、あんたがめんどくさいこと
まで言って、私をこれだけ好きにさせといて… …」
【華乃】「あ、それとも……まさかとは思うけど、あんた、
自分が私に言っためんどくさいこと、覚えてない
んじゃないでしょうね」
【華乃】「覚えてないどころか記憶にないなんて言ったら許
さないんだけど」
【華乃】「ま、だから……あるでしょ? 私との思い出を確
認する方法が、あんたには」
【華乃】「思い出じゃなくて、私の気持ちを初めて知るのか
もしれないけど……それを確かめてから、またこ
の話の続きをしようよ」
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【華乃】「ちゃんと覚えてるなら確かめなくていいけど。そ
れならわかってるんでしょ?」
【華乃】「私があんたにだけ、甘える自分を……私の可愛い
部分を見せたいって思ってること」
【華乃】「だから、ね」
【華乃】「私の声を聞き逃さないように、ヘッドホンとイヤ
ホンはちゃんとしてね」
【華乃】「私が甘えるの、あんたにだけなんだから。甘えて
る私の声を聞きたいって思ってくれたあんたにだ
け、特別」
【華乃】「……いっぱい可愛がってね?」