09言い訳ダイヤモンド
【華乃】「あっごめん、いきなり来てもらって……! てい
うか呼びつけて」
【華乃】「えっちょっと待って、あんた今忙しかったらごめ
ん、大丈夫だった?」
【華乃】「ごめんね、私今ほんと無理だから来てもらったん
だけど、ちょっと待って落ち着いて話したいんだ
けどしんどい無理、待って、私いま冷静じゃない
んだけど」
【華乃】「え、ちょっとあんたリメイク版の『殺区』買っ
た? 買ってるよね、あっひよりんからサンプル
貰った? だよね、関係者だもんね、えじゃあも
うやった?」
【華乃】「待って私ほんと無理だったんだけど、あんたは兄
妹だから耐えられるかもしれないけど、槐の声に
ひよりんハマりすぎてて、もう私昨日から萌えヤ
バい」
【華乃】「最初なんの気なしに、作業用BGMにしようと
思ってオートプレイで流してたんだけど、もう途
中からひよりんの声に惹きつけられて、しんどい
なんてものじゃなかったんだけど」
【華乃】「えだって無理じゃない? あんたは兄妹だから耐
えられたかもしれないけど、ひよりんの声で「好
き……」って待って無理ほんと無理待って無理い
いいいいぃ」
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【華乃】「あああああ無理もう無理絶対無理、しんどいなん
てものじゃなくて尊みが過ぎて無理……」
【華乃】「いいよねあんたは冷静でいられて。兄妹だから耐
えられるんだろうけど……え、私これ3回言っ
た? 待って今そういう話じゃなくて『殺区』の
古参で今しんどい思いしてないの、あんたくらい
だから」
【華乃】「正直ひよりんだから何の心配もしてなかったけ
ど、私も自分の中の『槐』のイメージついちゃっ
てるから少し不安だったのね、でも昨日の夜、何
の心配もいらなかったんだって感動して」
【華乃】「でも私一応『殺区』のファンなのは隠してるか
ら、話せる相手があんたしかいなくて来てもらっ
たんだけど無理……ほんとしんどいの、助けて… …」
【華乃】「昨日からずっとそわそわしてたの、だから話聞い
て……ほんとありがと……ほんと一人だと無理
だったから……しんどい……」
【華乃】「ほんと言うとね、いくら私がひよりんの声好きだ
からって、普段会ってるせいで『槐』の声聞いて
も、ひよりんの顔が浮かんでくるんじゃないかっ
て不安だった……」
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【華乃】「でも完全に杞憂だった……ひよりんはほんと凄い
よ……『槐』の決め台詞『殺してみないと愛せな
い』なんて、私、何度も頭の中で自分の台詞とし
て読んだのに、ひよりんが声をあてたら、今まで
の自分の台詞がすっと頭の中から消えて、ひより
んの声で上書きされるんだもん……」
【華乃】「ほんとひよりん凄いよ……え? いま私の演技は
いいから、それより『槐』と『棺』の新規の会話
見た!? あんた知ってるだろうけど、私『棺』
と『槐』のカプ推しだからヤバくて……」
【華乃】「え? だから私の演技はいいって……それより今
回のって、当時のライターさんが新規の会話書き
下ろしてくれたから、あの会話、公式なんだけ
ど! え待ってヤバくない?」
【華乃】「……だから、私の演技はいいって。人が楽しく話
してるんだから、余計なこと言わないでよ」
【華乃】「推しカプの話邪魔されることほどムカつくものも
ないって、あんたもオタクなんだからわかるで
しょ?」
【華乃】「いやっ、だから……やめてって言ってるで
しょ!」
【華乃】「もう『槐』の声優はひよりんなんだから……もう
台詞全部ひよりんの声で上書きされたし、自分の
声どうこう言われたくない」
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【華乃】「だから……私が悪かったから、もう演技の話はや
めて。それ以上言ったら、私ちょっと怒るんだけ
ど」
【華乃】「いやかわいくないって……ていうか、かわいいと
かやめて欲しいんだけど」
【華乃】「は!? 『槐』のコス!? あんた馬鹿じゃない
の!? なに言ってんの!? 絶対無理なんだけ
ど!」
【華乃】「いやっ、あの……無理だから、それほんと無理だ
から!」
【華乃】「だから、違くて……別に『槐』のコス自体は嫌
じゃないんだけど、この話の流れだと、あんた、
要は、私に『槐』の台詞言わせようとしてるんで
しょ……」
【華乃】「そういうのほんと……聞きたいとかじゃなくて… …えちょっと、ほんと無理なんだけど」
【華乃】「ええー……『槐』の台詞じゃなくてもいいから、
告白台詞……? えー……それを私がする理由な
いんだけど……」
【華乃】「えっ、はっ!? あんたも『棺』の台詞読んでく
れるの!?」
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【華乃】「え……それなら話変わってくるんだけど、え
ちょっと待って無理、えっあんたそれ本気で言っ
てんの? えだって無理なんだけど」
【華乃】「待ってえちょっと待って、興奮しすぎて心臓おか
しくなってきた」
【華乃】「えっちょっと呼吸しんどい、本気で無理、待っ
て、一度落ち着かせて」
【華乃】「冷静に考えて無理なんだけど、あんた本気でそれ
言ってんの? ここまできてやっぱりやめたと
か、絶対許さないんだけど」
【華乃】「えー……待って待って、うー……なんかちょっと
本気で照れてきた」
【華乃】「ほんと待ってね、いま恥ずかしくてあんたの顔見
られない」
【華乃】「でもあんたが台詞読んでくれるのは絶対聞きたい
からがんばる……うー……よし、いける!」
【華乃】「ま、待ってね、いけるとは言ったけど、やっぱり
心の準備はいるから……うー、めっちゃ照れる」
【華乃】「えっ私だけとか絶対やめてよ? あんたもちゃん
と読んでくれるんだよね?」
【華乃】「じゃあ、あの……新規会話のここのとこ」
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【華乃】「『なんであなたがここにいるのよ……私にまた殺
されたいの?』『貴様など眼中にもない……見逃
してやる、失せろ』」
【華乃】「これ」
【華乃】「待って、そこセーブしてるからゲーム起動したら
すぐロードできる」
【華乃】「あーでもこれ、ひよりんに失礼じゃない? あー でも、たかが私が台詞真似するくらい、ひよりん
の知るとこじゃないか……そんなの日本全国で、
子どもたちなんていっぱいやってるだろうしね」
【華乃】「じゃ、じゃあ読むけど……絶対、絶対裏切らない
でね」
【華乃】「『なんであなたがここにいるのよ……私にまた殺
されたいの?』」
【華乃】「ああああああああああああああむりむりむりむり
むり」
【華乃】「無理無理無理無理無理ああああああああ好
きーっ! 好きっ、好きいいいいいい……!」
【華乃】「『棺』の演技最高……無理……好きな人の推しの
演技最高すぎて無理……好きな人に読んでもらえ
ると、こんなに尊いとは思わなかった……しんど
い……萌える……」
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【華乃】「えっ、なに……? 私に告白台詞読んでほしいの ……? いっ、今ならいいけど……どれ?」
【華乃】「ええ~っ、この子めっちゃロリなんだけど……こ
んな子の台詞、私が読むの……? 絶対似合わな
いんだけど……」
【華乃】「『先輩……好きですっ』」
【華乃】「やあ……これ、めっちゃ恥ずかしい……」
【華乃】「かっ、かわいくない、かわいくなかったから…… でっ、でもごめん……嘘でもかわいいって言われ
ると、すごくときめく……」
【華乃】「えっ、次は台詞じゃなくて、私の言葉で? もっ、もおおおお~っ!」
【華乃】「いいけど……精一杯かわいく言ってみるけど、そ
のあと、いっぱいかわいがってね」
【華乃】「じゃ、じゃあ言うね……あの」
【華乃】「大好き……好きにして、いいよ」
【華乃】「んっ」
【華乃】「今日はすっごいの、期待してる」