Track 9

09言い訳ダイヤモンド

【華乃】「あっごめん、いきなり来てもらって……! てい うか呼びつけて」 【華乃】「えっちょっと待って、あんた今忙しかったらごめ ん、大丈夫だった?」 【華乃】「ごめんね、私今ほんと無理だから来てもらったん だけど、ちょっと待って落ち着いて話したいんだ けどしんどい無理、待って、私いま冷静じゃない んだけど」 【華乃】「え、ちょっとあんたリメイク版の『殺区』買っ た? 買ってるよね、あっひよりんからサンプル 貰った? だよね、関係者だもんね、えじゃあも うやった?」 【華乃】「待って私ほんと無理だったんだけど、あんたは兄 妹だから耐えられるかもしれないけど、槐の声に ひよりんハマりすぎてて、もう私昨日から萌えヤ バい」 【華乃】「最初なんの気なしに、作業用BGMにしようと 思ってオートプレイで流してたんだけど、もう途 中からひよりんの声に惹きつけられて、しんどい なんてものじゃなかったんだけど」 【華乃】「えだって無理じゃない? あんたは兄妹だから耐 えられたかもしれないけど、ひよりんの声で「好 き……」って待って無理ほんと無理待って無理い いいいいぃ」 09言い訳ダイヤモンド 2 / 7 【華乃】「あああああ無理もう無理絶対無理、しんどいなん てものじゃなくて尊みが過ぎて無理……」 【華乃】「いいよねあんたは冷静でいられて。兄妹だから耐 えられるんだろうけど……え、私これ3回言っ た? 待って今そういう話じゃなくて『殺区』の 古参で今しんどい思いしてないの、あんたくらい だから」 【華乃】「正直ひよりんだから何の心配もしてなかったけ ど、私も自分の中の『槐』のイメージついちゃっ てるから少し不安だったのね、でも昨日の夜、何 の心配もいらなかったんだって感動して」 【華乃】「でも私一応『殺区』のファンなのは隠してるか ら、話せる相手があんたしかいなくて来てもらっ たんだけど無理……ほんとしんどいの、助けて… …」 【華乃】「昨日からずっとそわそわしてたの、だから話聞い て……ほんとありがと……ほんと一人だと無理 だったから……しんどい……」 【華乃】「ほんと言うとね、いくら私がひよりんの声好きだ からって、普段会ってるせいで『槐』の声聞いて も、ひよりんの顔が浮かんでくるんじゃないかっ て不安だった……」 09言い訳ダイヤモンド 3 / 7 【華乃】「でも完全に杞憂だった……ひよりんはほんと凄い よ……『槐』の決め台詞『殺してみないと愛せな い』なんて、私、何度も頭の中で自分の台詞とし て読んだのに、ひよりんが声をあてたら、今まで の自分の台詞がすっと頭の中から消えて、ひより んの声で上書きされるんだもん……」 【華乃】「ほんとひよりん凄いよ……え? いま私の演技は いいから、それより『槐』と『棺』の新規の会話 見た!? あんた知ってるだろうけど、私『棺』 と『槐』のカプ推しだからヤバくて……」 【華乃】「え? だから私の演技はいいって……それより今 回のって、当時のライターさんが新規の会話書き 下ろしてくれたから、あの会話、公式なんだけ ど! え待ってヤバくない?」 【華乃】「……だから、私の演技はいいって。人が楽しく話 してるんだから、余計なこと言わないでよ」 【華乃】「推しカプの話邪魔されることほどムカつくものも ないって、あんたもオタクなんだからわかるで しょ?」 【華乃】「いやっ、だから……やめてって言ってるで しょ!」 【華乃】「もう『槐』の声優はひよりんなんだから……もう 台詞全部ひよりんの声で上書きされたし、自分の 声どうこう言われたくない」 09言い訳ダイヤモンド 4 / 7 【華乃】「だから……私が悪かったから、もう演技の話はや めて。それ以上言ったら、私ちょっと怒るんだけ ど」 【華乃】「いやかわいくないって……ていうか、かわいいと かやめて欲しいんだけど」 【華乃】「は!? 『槐』のコス!? あんた馬鹿じゃない の!? なに言ってんの!? 絶対無理なんだけ ど!」 【華乃】「いやっ、あの……無理だから、それほんと無理だ から!」 【華乃】「だから、違くて……別に『槐』のコス自体は嫌 じゃないんだけど、この話の流れだと、あんた、 要は、私に『槐』の台詞言わせようとしてるんで しょ……」 【華乃】「そういうのほんと……聞きたいとかじゃなくて… …えちょっと、ほんと無理なんだけど」 【華乃】「ええー……『槐』の台詞じゃなくてもいいから、 告白台詞……? えー……それを私がする理由な いんだけど……」 【華乃】「えっ、はっ!? あんたも『棺』の台詞読んでく れるの!?」 09言い訳ダイヤモンド 5 / 7 【華乃】「え……それなら話変わってくるんだけど、え ちょっと待って無理、えっあんたそれ本気で言っ てんの? えだって無理なんだけど」 【華乃】「待ってえちょっと待って、興奮しすぎて心臓おか しくなってきた」 【華乃】「えっちょっと呼吸しんどい、本気で無理、待っ て、一度落ち着かせて」 【華乃】「冷静に考えて無理なんだけど、あんた本気でそれ 言ってんの? ここまできてやっぱりやめたと か、絶対許さないんだけど」 【華乃】「えー……待って待って、うー……なんかちょっと 本気で照れてきた」 【華乃】「ほんと待ってね、いま恥ずかしくてあんたの顔見 られない」 【華乃】「でもあんたが台詞読んでくれるのは絶対聞きたい からがんばる……うー……よし、いける!」 【華乃】「ま、待ってね、いけるとは言ったけど、やっぱり 心の準備はいるから……うー、めっちゃ照れる」 【華乃】「えっ私だけとか絶対やめてよ? あんたもちゃん と読んでくれるんだよね?」 【華乃】「じゃあ、あの……新規会話のここのとこ」 09言い訳ダイヤモンド 6 / 7 【華乃】「『なんであなたがここにいるのよ……私にまた殺 されたいの?』『貴様など眼中にもない……見逃 してやる、失せろ』」 【華乃】「これ」 【華乃】「待って、そこセーブしてるからゲーム起動したら すぐロードできる」 【華乃】「あーでもこれ、ひよりんに失礼じゃない? あー でも、たかが私が台詞真似するくらい、ひよりん の知るとこじゃないか……そんなの日本全国で、 子どもたちなんていっぱいやってるだろうしね」 【華乃】「じゃ、じゃあ読むけど……絶対、絶対裏切らない でね」 【華乃】「『なんであなたがここにいるのよ……私にまた殺 されたいの?』」 【華乃】「ああああああああああああああむりむりむりむり むり」 【華乃】「無理無理無理無理無理ああああああああ好 きーっ! 好きっ、好きいいいいいい……!」 【華乃】「『棺』の演技最高……無理……好きな人の推しの 演技最高すぎて無理……好きな人に読んでもらえ ると、こんなに尊いとは思わなかった……しんど い……萌える……」 09言い訳ダイヤモンド 7 / 7 【華乃】「えっ、なに……? 私に告白台詞読んでほしいの ……? いっ、今ならいいけど……どれ?」 【華乃】「ええ~っ、この子めっちゃロリなんだけど……こ んな子の台詞、私が読むの……? 絶対似合わな いんだけど……」 【華乃】「『先輩……好きですっ』」 【華乃】「やあ……これ、めっちゃ恥ずかしい……」 【華乃】「かっ、かわいくない、かわいくなかったから…… でっ、でもごめん……嘘でもかわいいって言われ ると、すごくときめく……」 【華乃】「えっ、次は台詞じゃなくて、私の言葉で?  もっ、もおおおお~っ!」 【華乃】「いいけど……精一杯かわいく言ってみるけど、そ のあと、いっぱいかわいがってね」 【華乃】「じゃ、じゃあ言うね……あの」 【華乃】「大好き……好きにして、いいよ」 【華乃】「んっ」 【華乃】「今日はすっごいの、期待してる」