Track 8

08陰キャラ High School Rock'n Roll(屋上編)

【華乃】「はー……」 【華乃】「やっ、きゃっ! なに、風つよっ! ああもう、 髪の毛ばさばさになる……あっごめん、髪あたっ た?」 【華乃】「そっか、屋上って人が少ないのはいいけど、風と いう欠点があるんだね……今思うと、生徒会室っ てほんと使い勝手よかったよね」 【華乃】「ていうかさ、自分のこと陰キャ陰キャ言うのもな んだけど、他の陰キャのみんなってどこで昼食食 べてるわけ? 私たちだけじゃないでしょ? そ れとも居場所に困ってるの私たちだけ?」 【華乃】「ああ、階段の踊り場とか、学園の外の公園……な るほどね、そう……いやなんだかわかる気がす る、というか前の学園で私もそんなかんじだっ た」 【華乃】「あんたがいなかったら、どこでお弁当食べていい のかわかんないし……やっぱり、コンビニで買っ て外で食べてたかな」 【華乃】「そもそもあんたがいなければ、私、登校できてな いんだけど」 【華乃】「は? 黒歴史の件がなくても、どうせ私こんな性 格だから、いずれ登校できなくなってたでしょ。 そんな気がする」 08陰キャラ High School Rock'n Roll(屋上編) 2 / 6 【華乃】「まああんたと二人なら教室で食べてもいいんだけ どね……なんかみんなからセットで見られるの が、まだちょっと……うん、恥ずかしい」 【華乃】「そう考えると、生徒会室って、周りからは見られ ないし、誰か来ても安心する人しかいないし、人 に聞かれたくない会話もしやすいし」 【華乃】「あと、まあ、朝とか今みたいな昼とかは……あん たと二人きりになれるのが、都合よかったなって ……」 【華乃】「今の生徒会室へ行っても知らない人しかいないん だから、こんなこと言っても虚しいだけなんだけ どね」 【華乃】「でもあの半年間は、学園の中に何かあればすぐ避 難する場所ができて、なんだか自分の居場所を用 意してもらったみたいで、なんだかんだ居心地よ かったなあ……って」 【華乃】「ま、私的に、あんたとくっつけないのが一番痛い んだけど」 【華乃】「どうしても我慢できないときは……ごにょごにょ できたし……」 【華乃】「ちょっぴり……背徳感あって興奮したし……」 08陰キャラ High School Rock'n Roll(屋上編) 3 / 6 【華乃】「あとはまあ、昼休みに絵を描いたりできないって のもある」 【華乃】「PCとペンタブ持ちこめるのは大きいよね、教室 ではさすがに堂々と絵は描けないし」 【華乃】「今日はたまたまこの場所空いてたけど……明日か らはまた流浪の民だ、雨降ったら困るね」 【華乃】「ん? あーうん……ちょっとネガティブが過ぎた かもしれない」 【華乃】「楽しかった時間ってより美化して思いだすものだ からね、私、思ったより生徒会活動してる時間が 好きだったんだなあって」 【華乃】「同じ学園内に友だちができて、みんなで何か一つ の目的のために動いて、成功したら笑って、 ちょっと悔しい出来事があればみんなで怒って… …」 【華乃】「あの時の私輝いてたって断言できるイベントも あって、それを支えてくれる恋人もできて……そ の人のことが大好きになって」 【華乃】「キラッキラしてたなあ、生徒会。当時はそんなこ とぜんぜん思わなかったけど、日が経てば経つほ ど、あの頃の自分を思いだすだけで自然と顔がに やけてくる」 08陰キャラ High School Rock'n Roll(屋上編) 4 / 6 【華乃】「私、生徒会活動なんてして、自分にどんなメリッ トがあるのか、誰かさんに尋ねたけど……その言 葉思いだすだけで笑っちゃう」 【華乃】「『私にメリットあるの?』だって。今後の人生で 一生忘れないレベルにいい思い出しかなかった よ」 【華乃】「……ん? ああ……そうだね、今日こうして、あ んたと屋上でお昼食べてるのはいい思い出かも」 【華乃】「学園の屋上でお弁当食べるカップルなんて、萌え ゲーだったら定番だよね。実は私もちょっと夢見 た時期もあった。自分には無理だと思って封印し て、それが今日叶っちゃったんだけど」 【華乃】「あーそうだね、あそこのベンチでお弁当食べるの もいいかも」 【華乃】「あの場所は人目につきすぎて恥ずかしい気もする し……人気あるから、私たちがあそこに二人で座 れる機会ってないかもしれないけど。でも、叶っ たら嬉しいね」 【華乃】「そっか、生徒会が楽しかったのって『生徒会だか ら』じゃなくて……もちろんそれもあるんだけ ど、あんたとみんながいたからだ」 【華乃】「そっかそっか、じゃあ私のキラキラした思い出、 まだ続いてるんだ」 08陰キャラ High School Rock'n Roll(屋上編) 5 / 6 【華乃】「あんたはこれからも、私の隣にいてくれるんだも んね」 【華乃】「二人きりでいちゃつくのは生徒会室でなくてもい いけど、あんたがいないとできないし……大事な のは生徒会室じゃなくて、あんたのほうだった」 【華乃】「へへっ、もーなに」 【華乃】「あんた、けっこう恥ずかしいことゆーじゃん」 【華乃】「でもときめいちゃったなあ……あんたといっしょ なら、階段の踊り場でお弁当食べても絶対楽し い」 【華乃】「人目は気にして行動したいけど……でも、周りに 誰もいなければ、ちょっと大胆なくっつきかたも してみたいかも」 【華乃】「肩くっつけて……いいよね?」 【華乃】「あっ手も握ってくれるんだ……あーっもうヤバ い! 顔にやける!」 【華乃】「あのさ、今ここにあんたしかいないから…… ちょっと恥ずかしいこと言ってもいい? いいよ ね? 言うよ?」 【華乃】「私の学園生活さいっこー!」 【華乃】「え待って無理! 顔めっちゃにやける!」 【華乃】「今すっっっごく楽しい! あははっ!」