08陰キャラ High School Rock'n Roll(屋上編)
【華乃】「はー……」
【華乃】「やっ、きゃっ! なに、風つよっ! ああもう、
髪の毛ばさばさになる……あっごめん、髪あたっ
た?」
【華乃】「そっか、屋上って人が少ないのはいいけど、風と
いう欠点があるんだね……今思うと、生徒会室っ
てほんと使い勝手よかったよね」
【華乃】「ていうかさ、自分のこと陰キャ陰キャ言うのもな
んだけど、他の陰キャのみんなってどこで昼食食
べてるわけ? 私たちだけじゃないでしょ? そ
れとも居場所に困ってるの私たちだけ?」
【華乃】「ああ、階段の踊り場とか、学園の外の公園……な
るほどね、そう……いやなんだかわかる気がす
る、というか前の学園で私もそんなかんじだっ
た」
【華乃】「あんたがいなかったら、どこでお弁当食べていい
のかわかんないし……やっぱり、コンビニで買っ
て外で食べてたかな」
【華乃】「そもそもあんたがいなければ、私、登校できてな
いんだけど」
【華乃】「は? 黒歴史の件がなくても、どうせ私こんな性
格だから、いずれ登校できなくなってたでしょ。
そんな気がする」
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【華乃】「まああんたと二人なら教室で食べてもいいんだけ
どね……なんかみんなからセットで見られるの
が、まだちょっと……うん、恥ずかしい」
【華乃】「そう考えると、生徒会室って、周りからは見られ
ないし、誰か来ても安心する人しかいないし、人
に聞かれたくない会話もしやすいし」
【華乃】「あと、まあ、朝とか今みたいな昼とかは……あん
たと二人きりになれるのが、都合よかったなって ……」
【華乃】「今の生徒会室へ行っても知らない人しかいないん
だから、こんなこと言っても虚しいだけなんだけ
どね」
【華乃】「でもあの半年間は、学園の中に何かあればすぐ避
難する場所ができて、なんだか自分の居場所を用
意してもらったみたいで、なんだかんだ居心地よ
かったなあ……って」
【華乃】「ま、私的に、あんたとくっつけないのが一番痛い
んだけど」
【華乃】「どうしても我慢できないときは……ごにょごにょ
できたし……」
【華乃】「ちょっぴり……背徳感あって興奮したし……」
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【華乃】「あとはまあ、昼休みに絵を描いたりできないって
のもある」
【華乃】「PCとペンタブ持ちこめるのは大きいよね、教室
ではさすがに堂々と絵は描けないし」
【華乃】「今日はたまたまこの場所空いてたけど……明日か
らはまた流浪の民だ、雨降ったら困るね」
【華乃】「ん? あーうん……ちょっとネガティブが過ぎた
かもしれない」
【華乃】「楽しかった時間ってより美化して思いだすものだ
からね、私、思ったより生徒会活動してる時間が
好きだったんだなあって」
【華乃】「同じ学園内に友だちができて、みんなで何か一つ
の目的のために動いて、成功したら笑って、
ちょっと悔しい出来事があればみんなで怒って… …」
【華乃】「あの時の私輝いてたって断言できるイベントも
あって、それを支えてくれる恋人もできて……そ
の人のことが大好きになって」
【華乃】「キラッキラしてたなあ、生徒会。当時はそんなこ
とぜんぜん思わなかったけど、日が経てば経つほ
ど、あの頃の自分を思いだすだけで自然と顔がに
やけてくる」
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【華乃】「私、生徒会活動なんてして、自分にどんなメリッ
トがあるのか、誰かさんに尋ねたけど……その言
葉思いだすだけで笑っちゃう」
【華乃】「『私にメリットあるの?』だって。今後の人生で
一生忘れないレベルにいい思い出しかなかった
よ」
【華乃】「……ん? ああ……そうだね、今日こうして、あ
んたと屋上でお昼食べてるのはいい思い出かも」
【華乃】「学園の屋上でお弁当食べるカップルなんて、萌え
ゲーだったら定番だよね。実は私もちょっと夢見
た時期もあった。自分には無理だと思って封印し
て、それが今日叶っちゃったんだけど」
【華乃】「あーそうだね、あそこのベンチでお弁当食べるの
もいいかも」
【華乃】「あの場所は人目につきすぎて恥ずかしい気もする
し……人気あるから、私たちがあそこに二人で座
れる機会ってないかもしれないけど。でも、叶っ
たら嬉しいね」
【華乃】「そっか、生徒会が楽しかったのって『生徒会だか
ら』じゃなくて……もちろんそれもあるんだけ
ど、あんたとみんながいたからだ」
【華乃】「そっかそっか、じゃあ私のキラキラした思い出、
まだ続いてるんだ」
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【華乃】「あんたはこれからも、私の隣にいてくれるんだも
んね」
【華乃】「二人きりでいちゃつくのは生徒会室でなくてもい
いけど、あんたがいないとできないし……大事な
のは生徒会室じゃなくて、あんたのほうだった」
【華乃】「へへっ、もーなに」
【華乃】「あんた、けっこう恥ずかしいことゆーじゃん」
【華乃】「でもときめいちゃったなあ……あんたといっしょ
なら、階段の踊り場でお弁当食べても絶対楽し
い」
【華乃】「人目は気にして行動したいけど……でも、周りに
誰もいなければ、ちょっと大胆なくっつきかたも
してみたいかも」
【華乃】「肩くっつけて……いいよね?」
【華乃】「あっ手も握ってくれるんだ……あーっもうヤバ
い! 顔にやける!」
【華乃】「あのさ、今ここにあんたしかいないから…… ちょっと恥ずかしいこと言ってもいい? いいよ
ね? 言うよ?」
【華乃】「私の学園生活さいっこー!」
【華乃】「え待って無理! 顔めっちゃにやける!」
【華乃】「今すっっっごく楽しい! あははっ!」