ケルト十字で「気になる人との今後の展開」
…お待たせ。
声、ちゃんと聴こえてる?
あー、あー…
てすてす、てすてす…
…ん。
それじゃあ、さっき言ってた特殊なマイクがどんな感じなのか聴かせていくね。
まずは左から…
あー、あー…
反対側から聴こえてたりしないよね?
結構、コードを付け間違えて左右逆になってる事があるから…。
大丈夫…?
今度は左耳から右耳の方へ~…
…はい。とうちゃく。
もしもし、聴こえる?
ノイズとか反響音があったら、遠慮なく教えて。
あー、あー…
てすてす、てすてす。
なんか、ぴくぴく震えてるみたいだけど…
もしかして、お客さんはこっちの耳が敏感だったりして。
ふぅうぅぅぅぅ~~~…
ふぅぅぅぅ~~~~~…!
…変な声出しちゃって。反応分かりやすすぎ。
でも、これだけ感度が良好だと、マイクの使い甲斐があるかな。
…ん
こんな感じでバイノーラルマイク使ってリーディングしていくから、ヨロシク。
あ、一応眠くなってきたら目を瞑ってもいいよ。
耳から情報を入れてくれてもいいし、寝ちゃったら寝ちゃったで深層心理に語り掛けていくだけだから。
それじゃあ、早速ひとつめのリーディング…始めていこっか。
お客さんはどんな悩みを占って欲しい?
…ふむ。
「気になる人との今後の展開」だね。
恋愛系はタロット占いの定番中の定番…。
全然、問題ないよ。
むしろ待ってましたって感じだし。
さてと。
まずはクリスタルチューナーでカードを浄化して…
んん…
…ん。これで大丈夫。
んっ…
んー…カードの引き方はどうしようかな。
三枚引き…二者択一法(にしゃたくいつほう)…いや、ケルト十字(じゅうじ)にしよ。
ああ、タロットのリーディングにもいろいろ種類があるの。
78枚のカードの中から一枚だけ引いたり、三枚並べてから読んだり。
こういうのをスプレッドって言うんだけど、質問によっては相性の良し悪しがあるかな。
例えば、「今の彼氏と元カレ…どっちを選べばいいですか?」みたいなの。
まぁ、なかなかの状況の質問だけど…フィクションとかじゃなくて意外とあるから。
それはさておき、この場合は答えがどちらかに決まってるから、二者択一法でやると相性がいいかな。
今からやるケルト十字は、アイルランドとかで使われている神聖なシンボルなんだけど…
それに見立てたスプレッド。
タロットを知ってる人からしたら、結構オーソドックスなものだね。
これはカードを合計10枚使って占う分、質問に対して深く分析する事が出来るスプレッド。
お客さんの口調から察するに、結構深刻そうだったし、一番適してるかなって。
…ん。
それじゃあ、早速カードを並べていくね。
んん…
んしょ…
上から7枚ずつ引いて…
はい、スプレッドの出来上がり。
これを全部展開して…っと。
…
ふんふん…なるほどね。
こんな感じになったかぁ…。
ええと、お客さん。
ちゃんと見えてる?
…ん。
それじゃあ、説明していくね。
…
十字の部分の6枚は12時の方向が「お客さんの顕在意識(けんざいいしき)」…。
つまり、本人が自覚している部分だね。
3時の方向は「近い未来の状況」。
おおよそ1か月から3か月先の未来。
6時の方向は「お客さんの潜在意識」。
さっきの12時の方向とは逆に無意識に感じている部分のこと。
9時の方向は「過去の状況」を意味するカード。
質問に合わせるとお客さんの過去はどんな感じだったかを教えてくれる…。
中央に縦に置いたカードは「現在の状況」を表すカード。
そして、重ねるように横に置いたカードは「質問に対して起こっている問題や障害」を意味しているの。
…
続けて、縦に並べた4枚のカードだね。
こっちは上から順番に「最終結果」、「問題解決の見込み・お客さんの恐れや希望」、「周囲の状況」、「お客さんの立場」って感じ。
まず展開したカードを見てみると…なんだろ。
全体的に青とかグレーとかやや暗めの印象が強いね。
タロットカードには背景に使われる色合いで印象がだいぶ変わってくるんだけど、こうも偏ってると何かを感じずにはいられないかも。
…
…それでまずは最終結果から見ていくと、出たカードは「ソードの5(ご)」。
これは基本的には卑怯な勝利…もしくは敗北を意味するもの。
カードには剣を3本持った男性が勝ち誇った笑みを浮かべて立ってるのが分かるかな?
背景には敗北した男性二人も描かれてるし、最初に言った意味合いが少しは伝わるかも。
…とまぁ、ベースの意味合いは置いておいて。
私が読んだ感じだとお客さんはその気になる人と、疎遠になってしまうかも。
それは単純にお互いの意見や価値観の相違…とかじゃなくて、第三者の悪意だったり。
例えば、「あの子、実は尻軽だよ?」みたいに言われて信用できなくなるとかね。
人間、一度疑ってしまうと今まで気になってなかったものすらも疑いの目を向けるようになるから…。
…
…ん。焦らないで。
大丈夫だよ。これはあくまで結果として出てるだけだから。
タロットはお客さんの精神的な成長を促すもの。
この結果を見て、お客さんがどう変わるかで未来が変わってくるから…安心して。
…
過去の状況に出ているカードは「女教皇(おんなきょうこう)」。
お客さんはこの人と以前はプラトニックな関係だったみたい。
お互いに尊敬しあっているし、価値観も似ている…いい関係だったんだね。
…
それで現在の状況は…「カップのナイト」の逆位置。
お客さんは気になる人とは、もっと先の関係になりたいみたいだけど、なかなか踏ん切りがつかないみたい。
それが顕在意識として「ペンタクルのナイト」の逆位置も出てる。
あくまで自分からはいかないっていう気持ちが強く顕れてるね。
…
対して潜在意識では「太陽(たいよう)」のカードの正位置。
カード単体で見ると良い意味で見られる事が多いんだけど、全体的に見たら「楽観的になってる」風にとれるかな。
告白したいけど踏ん切りもつかない、自分からは行動を起こす気はない…。
要は相手の方から何かしらのアクションを起こしてくるはず。
っていう、楽観的な考えが無意識の内にあるからこういった現状に繋がってるっぽい。
…
そんなお客さんの1~3か月後の状況は、「ペンタクルの10(じゅう)」の逆位置か…。
正位置だとお互いに結ばれて幸せな家庭を持てる…みたいな意味合いだね。
でも、逆位置だから現在との変化はほとんどなさそう。
…ん。ここまでリーディングしてお客さんも分かってるって思うけど、相手の人に対してどっちつかずだったり、相手任せになってるのが進展がない原因みたい。
それがお客さんの恐れとして「ワンドの9(きゅう)」も出てるしね。
これは棒を柵(さく)みたいに並べて「来るならこい!」って感じで守りに入ってるカード。
さっきまでのリーディングでも出てたけど、自分からは意地でも行動しないっていう気持ちが凄く顕(あらわ)れてるよね。ここまで強いのは相当なものかも。
…
あとはこの原因として出てる「ソードのキング」もそう。
現実的というか、気になっている割には妙に冷静だったり…。
恋愛って周囲が見えなくなるくらい、燃え上がるものってよく言うよね。
それくらい相手の人に対して夢中になるといいのかも。
…
相手の状況として出ているのが「ワンドの5(ご)」。
これはうーん…この人もこの人で心の中で葛藤してるっぽい。
このカードはほら、棒を持った人たちが争っているように見えない?
要は自分自身が心の中で喧嘩してる感じって言えば分かりやすいかな。
「お客さんと付き合いたい…!」
「いやいや、よく考えろよ。もっといい人が後から現れるかもしれないじゃん」
みたいな。
だから、このままではお互いにすれ違いのまま。
結果的に第三者から又聞きした噂話とかで一気に冷めちゃっておしまい…。
っていうのが全体を見たリーディングかな。
…ん。
もちろん、これはあくまでお客さんが何も変わらなかった時の結果だから。
相手任せで自分からは動こうとはしない所とか…。
恋に夢中になるのが怖いところとか変えていくべきところは見えてきたよね。
お客さんなら出来るよ。
頑張って…!