Track 4

○トラック4『夕暮れ7時の帰り道』

;◆SE 遠くで鈴虫が鳴いている ;◆SE アキミズちゃんは自転車を押しているので、カラカラという音。 //ダミーヘッド位置・7(左・近い) 【アキミズちゃん】 「……ホントに……良かったんですか……?  耳かきさせて貰ったお礼が、コンビニの肉まんなんかで」 【アキミズちゃん】 「この時期、肉まん売ってないから、アメリカンドッグになっちゃいましたし」 【アキミズちゃん】 「……貴重な1時間を貰ったのですから、  それ相応の対価を払わないと、なんですよ」 【アキミズちゃん】 「それに…………私なんかと一緒に歩いてたら……、  良くない噂……立っちゃいますし……」 【アキミズちゃん】 「……いや、ポカンとしてますけど、ホントですからね。  私この前駅前で家でしたヤンキーに、組に入れて下さいって土下座されたんですから」 【アキミズちゃん】 「とても……とても困りました……。  組とか知らないし……私が断ったら、ハサミで小指切ろうとし始めるし……」 【アキミズちゃん】 「だから……私なんかほっぽいて、お一人でもう帰っても良いんですよ……?  私は気にしたりしませんから」 【アキミズちゃん】 「……………………」 【アキミズちゃん】 「……行かないんですね」 【アキミズちゃん】 「すいません。やっぱり私、こういうのに慣れていなくて。  その……今……とっても困っています。いえ……あなたが悪いとかじゃなくて……っ」 【アキミズちゃん】 「嬉しくて……お口が勝手ににんまりしそうで……、  そ、そんなみっともない顔お見せするのは申し訳ないから……その……」 【アキミズちゃん】 「あぅ……コミュニケーション弱者でごめんなさい……」 【アキミズちゃん】 「……」 【アキミズちゃん】 「ありがとうございます。……そう。ただ、そう言いたかったんです」 【アキミズちゃん】 「その……これは酷く傲慢な発想ですし、あなたにご迷惑をかけてしまうかもしれないし、  私は先輩なのでパワハラみたいなトコもさもありなんだし、全然断って頂いて大丈夫というか、  むしろ断った方が良いと思うのですけれど……その……」 【アキミズちゃん】 「…………また……練習、付き合って頂けませんか……?」 【アキミズちゃん】 「きょ、今日……その……耳かき……とっても楽しくて……。  もっと楽しいことあるなら……してみたくて……」 【アキミズちゃん】 「……付き合って頂ける、んですか……?」 【アキミズちゃん】 「ぁ……あぅ…………ぁ……ぁぅ……ぁ……」 【アキミズちゃん】 「……本当に……あなたは、優しいです……。  私……また、変な顔になっちゃいます……ただでさえ、ぶすなのに……」 【アキミズちゃん】 「……ありがとう、ございますね」 【アキミズちゃん】 「では、時給は7000円ぐらいで宜しいでしょうか?  土日は8500円で…………」 【アキミズちゃん】 「え? そうじゃない??」