0.プロローグ
――リン・アーレント。
〝ソヌリ騎士団〟の団長として、この身を捧げます。
人々を守り、ガトカ王国に忠義を尽くすことを誓います――。
* * *
……ふぅ。
ただいま。
うん。式は無事に終わったよ。
これで私は、正式に……ソヌリ騎士団、団長だ。
……ふふ。さすがに、疲れたよ。
騎士団の偉い人たちが、ずらっと並んでる中での式だったから……
とにかく、気疲れした。
……うん。ありがとう。
そうだなぁ。今、欲しいものといったら……
……大好きなキミに、〝ぎゅー〟ってしてもらうことかな?
ふふ。
ぎゅーーーーー……。
……はぁ。
落ち着く……。
……ふふ。誰かに見られたら、驚かれてしまうかな。
ついさっき、国に忠誠を誓った騎士団の団長が……
好きな人の前で……こんなに、ふにゃふにゃに蕩けてしまっているのは。
でも……
キミが、家で待っていてくれるから……
私は、騎士の仕事を頑張ることができるんだ。
だから……本当に、感謝してる。
…………。
……ねえ。
キスしても、いいかな?
……うん♪
ん……
んちゅ……んちゅ、んちゅ……ちゅう、ちゅ、んちゅ、んちゅ、ちゅう、ちゅう、れろ、ちゅう、ちゅう……♪
はぁ……♪
……ふふ。
大好き。
愛してるよ。
……うん。そうだね。
これから、仕事は忙しくなる。
一応、国の治安維持を目的にした騎士団だからね。
……うん?
ああ。そうか。
確かに少し分かりづらいよね……。
ガトカ王国には、まず〝王国騎士団〟というのがあって……
その下に、色んな特色を持った騎士団が所属してる。
私の〝ソヌリ騎士団〟も、その中の一つ。
訓練を受けた騎士といっても……単純に腕っぷしが強い人と、魔法が使える魔法騎士とでは、まったく適性が違うだろう?
だから、同じ適性の騎士を集めた団にすることで……
問題の解決をスムーズにしよう、という意図だね。
その中でも、私の団は、特性を生かした治安維持任務が多いから……
仕事は多いと思う。
……ふふ。そうだね。家に帰ってこられる時間は減るだろう。
私も寂しいよ。
でも、いいことだってたくさんある。
まず、もらえるお給金は、ぐっと増える。
任務のたびに、手当てももらえるから……それなりに贅沢ができるよ。
いつか……〝あと一人か二人〟ぐらい、養える程度には……ね♪ ふふ……♪
それに……
遠征で、色んな村や街に行って。
付き合いも増えるから……
キミの喜ぶことが、きっと、増えるよ♪
ふふ……♪
よくも悪くも、騎士団はまだまだ男性社会だからね。
いくら功績が伴っているとはいえ…
女で、若くて……しかも、大した身分でもないのに、団長を任された私のことを、よく思わない人もいるだろう。
今日は一緒に、〝グラン騎士団〟という別の団の団長も、任命されたんだけど……
その人は、男性だった。
それに……
騎士団は、荒くれ物の多い組織だ。
あわよくば……
……私の体を狙おうとしてくる人だって、いるかもしれない♪
ふふ……♪
だから……
キミが、喜んでくれそうな土産話が……
きっと、たくさんできると思う。
楽しみにしておいて欲しい♪
ん……♪
んちゅ……んちゅ、ちゅう、ちゅう、ちゅっ、ちゅう、ちゅう、れろ、んれろ、んれろ、んれろ、ちゅう、ちゅう、ちゅう……♪
はぁ……♪
ふふ。じわじわと、嬉しさがこみあげてきたな。
私が〝騎士を目指す〟って言ったとき……
応援してくれて、すごく嬉しかった……♪
しかも、一緒に村からついてきてくれるなんて……♪
本当に、キミには感謝してるんだ……♪
私が団長になれたのは、間違いなく、キミのおかげだよ……♪
……ふふ。これからもよろしくね。
んちゅ、んちゅ、んちゅ、ちゅう……んちゅ、ちゅうっ、ちゅ、ちゅう、ちゅう……♪
はぁ……♪
……あ。
もう一つ……お祝いに、欲しいものがあった。
ふふ……♪
キミに……もっと深く、甘えたいな……♪
……うん♪
大丈夫。分かってるだろう……?
〝避妊魔法〟は……私の得意な魔法の一つだ。
だから……今日も、たくさん中に欲しい……♪
私のこと……
溶けるくらい、愛して……♪