04 耳かき
よく寝た…先輩もおやすみになれましたか? まだ眠い目ですね。 今何時?
うん、そんなに遅い時間ではないですね。 あ、大丈夫です。 今日先輩の家で勉強するとお母さんにも言っておいて、そもそも家も近所だから大丈夫でした。 それでは約束通り耳そうじしましょうか。
よいしょ, あ, それが, 私の膝枕の上でする, ということになりますが, 先輩は嫌いではないですか? よかった。 あ、本当ですか? 嫌なわけがないでしょう。 髪を上げてください。 では、始めます。
耳そうじのようなもの, 普段にも, よく, しますか? ふふ、そうか。 私が思い出した時少しずつする程度ですね。
先輩は高校を卒業したらどうされますか? やっぱり大学行くんですか? そうですか。それが、この地域を浮いたり、ものすごく偏差値が高いところではないですよね? そうですね。良かった。 ほっとしました。あ、うん、なんでもないですよ。
へえ。まだ先だって、3年生になるの、すぐじゃないですか。 中学校3年もあっという間じゃなかったんですか? 「ぼんやりしていれば、何も残さずに高校時代が終わると、母はよく言います。 そうでしょう? だから、毎日大切にしないと。
え?この高校に入った理由… ですか?それが、通いやすいからです。 偏差値も適当なレベルだったし。 先輩も同じでしょう? やっぱり、この辺の子たちはかなり同じ高校を選ぶんじゃないですか? 遠くまで通学するのは大変だし。 よほど学校のレベルに合わない子やねらう分野がある子は違うかもしれないが。
はい、OKです。 反対側に曲がってください
いいですか?耳かき入れます。
はい?さっき?お弁当… あ、あの、ずいぶん寝言を言ったんですけど、お弁当作る、言いましたか? ああ、さすがですね。 いや、半分くらい夢の中だから 本当に話したのかどうか自信がなくて。 あ、いいえ、だいじょうぶです。 喜んで作ります。 先輩に美味しいと言われるように一生懸命作ります。
でも、まだ上手く描けてないから。 暇なくぎっしり詰めたほうが形がきれいだと料理の本で見たことがありますが。 じゃあ、その間に何を埋めるのか すごく難しいから。 色味とか、配置センスっていうか、私そんなセンスないですからね。 だから、あまりすごいことは期待しないでください。 作りながらだんだん上手になるとは思うけど、まだ初心者だから。 あ、それでも心だけは込めますから。
あのう、一応確認しておきたいのですが。 あの、寝言言いながら変な事言ってないですか? さっき、半分くらい夢の中でお弁当の話をしたから、ちょっと不安になって。 眠い時は、思考が鈍くなるじゃないですか。 あまり考えて言わないから、思ったことをそのまま言うっていうか。 だからあの、変な事言ってないかなと思って。 そうですか?良かったですね。
それでも本当に久しぶりだよね。 先輩の部屋に来るやつ。 幼い頃はほとんど毎日一緒に遊んだのに。 やっぱり先輩が先に中学校に入って学校で会えなくなった1年が大きいね。 私が中学校に入った時はもう完全にお兄さんではなく、先輩だった感じだったよ。 国民学生と中学生はそれだけ世界が違うということだ。 子供のときのように、とは言わないけれど、もう少し、軽く会えたらいいな。
はい、こちらも終わりました。