■トラック1『クラスでいちばん人気のあの子』
;◆SE 教室。ドアが開いてリスナーが入ってくる。自分の席まで近づく足音。
;◆ダミヘ位置・左前16→左前8に移動しながら
【まどか】
「そんでさー。あむがそんとき鍵忘れてて。も大変だったの、マジで。
結局うちまで取り帰ってさぁ。ぇー? ぁ、そうそう。昨日のインスタライブでゆってたじゃんー」
;◆声 リスナーに気がつく
【まどか】
「…………ぇ? あ、ごめん。席、ちょっと借りてた。すぐどくね」
;◆SE まどか、席から立って
;◆ダミヘ位置・正面1
【まどか】
「お詫びにチョコあげゆ。……ぁ私タケノコ派なんだよね、きのこ派だったらごめんねだけど。
気にしない? はい、どーぞ♪」
;◆ダミヘ位置・右3
;◆SE まどか、隣の席に座る
【まどか】
「はぁ。午後の数学しんどいなぁ……うとうとしてると怒るしね、大野先生。
小テストとか無いと良いんだけど」
【まどか】
「…………っておーい。無視すんなしー。あったしょー話の流れが今、あったしょー。
くふふ、ボクに話しかけてるの? みたいな顔すんなーw そいや席隣なのに、あんま喋ったことなかったね」
【まどか】
「キミ、いつもイヤホン付けてるよね。何聞いてんの?
え、いーじゃん。貸してよぅ。ね、もいっこチョコあげるから」
;◆声 まどか、身を乗り出してイヤホンを強奪する
【まどか】
「ほらイヤホン、かーしーてー。何照れてるの? あ。アニメの曲とか聞いてるんしょ?
大丈夫だよ私、ワンピとかめっちゃ読んでるから。……ふふ、どれどれー何聞いて…………………………んなっ」
【まどか】
「にゃあっ。な、何これ……っ。お耳、ゾワゾワってする。なにきいてんのっ。
……え、ASMR? なにそれ……オタクの人達の間で流行ってるやつ……?」
【まどか】
「こ、こんなの、学校で聞いちゃいけないんだぞ」
【まどか】
「……そうゆうやつじゃ、ないの? 健全なやつ? う、うそだぁ。
オタクの人達は、自分がズレてる事に気がついてないからな」
【まどか】
「ぇ……? あ、これ。耳かきの音、か。お耳の中、かき回されて、
ふぅ。なんだろ。変な感じ。身体の力、抜けちゃうみたいな……」
【まどか】
「へ……へーー…………なるほどね。こういう、きもちー音とか、聞いてるんだ。いつも。
これが……えーえすえむあーる……」
【まどか】
「……っへ? い、いや。全然興味とか持ってないし。
帰ってYoutubeで検索しようとか、全然、考えてないし」
【まどか】
「……癒やし部? あ、うん。分かるよ。このガッコ、結構癒やし部の人多いよね。
え? あそこって、ASMRをやる部活だったの」
【まどか】
「てっきり、お茶とか飲んだりする所かと。お花を活けたり? わかんないけど」
【まどか】
「へ、へえ……癒やし部か……。ASMRかぁ……」
【まどか】
「……ぁの。キミってさ、結構、詳しいの? ……へー。だったら」
;◆声 ささやき
【まどか】
「私に……癒やし部、紹介……してくれん?
ちょっと、部活とか始めたいなとか、思っててさ。見学とか……してみたいなって……」
【まどか】
「……ぇっ? だ、だって……クラスの子達には内緒だよ、こんなん。
だって……なんか……はずいし…………」
【まどか】
「と、とにかくっ。今日の放課後、ちょっと付き合ってほしい。
……ね、お願いっ。おねがいおねがいおねがいっ」
【まどか】
「良いの? ……ぇへ。ありがとー♪」
;◆声 ささやき
【まどか】
「いずれ必ずお礼はするから。代わりに……この事は、くれぐれも内緒でお願い、ね……?」