治癒魔法
わぁ〜! まさか裏山にマンドラゴラが生えてるなんて!
よく見つけたねぇ〜!
うん! かなり珍しい素材だよ。これがあれば二つも三つもランクの高い、
凄い魔法が使えるんだ~! しかもミアにくれるなんてホントに
ありがとうっ!
あ、でもお店で売れば結構高く
売れるんだっけ……。見つけたの君だし、やっぱりミアが使うのは……。
やっぱりこれ、君が好きにしてっ!
これって珍しいからきっと高く売れるよ!
だから帰りに道具屋さんによって売っちゃうのが良いと思うの!
素材集めに付き合ってくれたし、行くならミアも付いていくよ!
……いらないの? 売ればお小遣い何か月分にもなると思うよ?
でもミアが魔法の素材にしちゃったら、大事に少しずつ使っても
魔法3回とか4回でなくなっちゃうんだよ?
あ、ありがとう……! いつか、ミアが凄い魔法使いになったら、絶対
にお礼するから!
へっ? 今日の晩御飯……? も〜! そんなんじゃマンドラゴラ
一切れぶんの価値にもならないよ〜!
ふふ♪ でも、いいよ晩御飯! 毎日だって作りに行って上げちゃうんだ
から!
それじゃあ、
君のお家にいこっか…………あれ?
ねぇ、見て見て? あそこに人混みが出来てるよ? なんだろう?
うん! 見に行ってみよっか!
あの〜、なにかあったんですか……きゃっ!?
お、お爺さんが血まみれ……!?
ちょ、ちょっと! お爺さん大丈夫っ!?
えっ!? 刺されたの……? ど、どうしようどうしよう……! こんなの、
包帯ぐらいじゃ止まんないよ……! ね、ねえ!? どうしたらいいと思
う……!?
えっ……? これ、マンドラゴラ……? 使えないかって……?
た、確かに、凄い魔法使いの人ならこれを使えば助けられるかもしれない
けど……ミアじゃ無理だよ……。
困ってる人を……助けたい……? それ、ミアがずっと言ってきた……。
う、うん……。 分かった! やってみるよ!
まずは……マンドラゴラを半分に裂いて、一つをミアの手に……
もう一つをお爺さんの手に……。あとは呪文を唱えるだけ……。
……っ! でも……やっぱり怖い……怖いよ……。
その、こっちの手……握っててくれる……? そうしてくれたら、頑張れ
るかもしれないから……。
うん……うん! ありがとうっ! それじゃあ……
行くよ……!
すぅーはぁー、すぅーはぁー、魔力を集めて……!
世界にみなぎる生命の渦よ!
今ここに、その力の一端を分け与えたまえっ!
…………傷が……お爺さんの傷が塞がっていく……。
せい……こう……? やった! やったぁ〜!!
成功だよ! 成功したよ!
はぁぁぁぁ……! 良かった! 本当に良かった!
君のおかげだよ! 君が居なかったら、出来なかったもん!!
あっ! 傷が治ったっていっても、安静にさせないと! 近くの宿屋に
運ぼっ!
あのっ! 誰かこのお爺さんを
運ぶのを手伝ってください!
え、えっと……見てる人誰でもいいから誰か……。
あっ! 大丈夫? お爺さんだから軽いかもしれないけど、君一人だと……。
ここから一番近い宿屋でも10分は歩かないと……。
平気……? うぅ、ごめんね……。ミアも少し支えるから……。
んっ……しょっ! よし! とにかく急ご!