プロローグ
…………。
……あ。盾持ってるハチが出てきた。
盾には……樹液、付かないね。
じゃあ、裏に回り込めば、本体につけられるかな?
……うん。いけた。
着火よろしく。こっちでヘイト買ってるから。
ナイス。
これを繰り返せば倒せそうだね。
…………。
このゲーム、ほんとに作り込みがすごいなぁ……。
ステージごとに、雰囲気がガラッと変わるのがすごいね……。
なんならゲームジャンルごと変わるし。
プレイしてて全然飽きないよ。
〝なんとか〟っていうゲームアワードを受賞しただけあるね。
樹液つけたよ。着火よろしく。
うん。ナイス。
…………。
そういえば、キミに一つ聞きたいことがあるんだ。
うん。
キミはさ……
私のこと、好き?
……あ。
ははっ。急にプレイが乱れてきた♪
分かりやすくて可愛いね。ふふ。
うん? いや。そうなのかなって。
ここ最近、たまに、急によそよそしくなることがあるし……
その割には、ゲームも普通に付き合ってくれるし……私のこと嫌いになったわけじゃなさそうだから。
あとは、私を見る目線かな。
〝見られてるな〟って思ってキミのほう見ると、ふいって逸らされたりするし。
ふふ。私はキミのお姉ちゃんみたいなものなんだから。
キミのことは何でも分かるよ。
それで……答えは?
…………。
うん。そっか。よかった。
嬉しいよ。ありがとう♪
……あ。ハチ、倒したね。
あとは……樹液の重さで、あの扉を回していけばいいのかな?
うん。分かった。
……あ。それでさ。
これは別に、キミをからかおうとか、そういうことをしたいわけじゃないんだ。
私と、ゲームに付き合ってくれないかな?
……ああ。うん。今も一緒に遊んではいるけどさ。
そうじゃなくて、もっと長時間付き合ってくれないか、ってこと。
というのもね。
私、モデルのお仕事、してるだろう?
うん。今は、ほとんどバイトみたいな感じだけどさ……
やっぱりこのお仕事が好きでさ。ずっと続けられたらな、って思ってるんだ。
それで、いわゆるセルフプロデュースの一環としてね。今度、ゲームの動画配信をしてみようと思ったんだ。
最近、女の子の配信者ってすごく多いだろう?
だから、そういう売り出し方もいいんじゃないかなって。
あ。何かしらで事故っちゃうと大変だから、まずは生配信じゃなくて、動画として出すつもり。
だけど、やろうかなって思ってるゲームが……マルチのゲームでさ。
一緒にプレイする人が必要なんだ。
それに、スムーズにプレイするために……〝ロケハン〟? でいいのかな。そういうのも必要だろう?
うん。そこでキミの出番。
動画用のプレイとロケハンに、付き合ってくれないかな?
キミの声は入らないようにするから。
もちろん、〝タダで〟ってわけじゃないよ。
長い間、ゲームに付き合ってもらう代わりに……
……私にえっちなこと、してもいいよ♪
あ。扉空いたね。先に進もう。
……あれ? ダメかな。
キミが私のこと好きだったら、対価として成立するかな、って思ったんだけど……。
もちろん、将来的に、配信が収益化するようなことになったら、バイト代はまた別に払うつもりだよ。
でも、今のところ、特に支払えるものもないから……
そういうのでどうかな、って。
んー? 私は別に構わないよ?
キミは気心の知れた幼馴染だしね。
〝そういうこと〟するなら、キミがいいかな、なんてぼんやり思ってたくらいだし。
だから、好きなようにしてくれていい。
……ん。そういうわけにはいかないよ。
何もしないっていうのは、私のほうが申し訳ないからさ。
この対価は、ぜひ受け取って欲しいんだけど……
え。〝他に〟?
こんなことを頼める人、キミ以外にいないよ。
モデルの友達も、学校の友達も、ゲーマーの子はいないし……
……それにさ。
キミは、他の人と私が、ゲームで仲良くしててもいいの?
ふふ。ヤだろう?
……あ。じゃあ、これならどうかな?
えっちなことは、私がゲームしてるときにする、ってことで。
うん。〝ゲームしながらえっち〟ってわけだね。
それなら、えっちの間にも動画用のプレイの練習ができるから、無駄がない。
キミも気兼ねなくできるんじゃないかな?
まあ、キミがそれでいいのか、って問題はあるけど……
……いい?
ふふ。分かった。
ありがとう。
じゃあ、早速今日からよろしくね!
うん。思い立ったが吉日! ってね。
……あ。
でも、そうだな……。
……一応、ほら。私も、女の子だからさ?
最初くらいは……普通にえっちしたいかも。
……いい?
……ふふ。うん。ありがと。
じゃあ……
このステージ、キリのいいところまでやったら。
えっち、しよっか。
ふふ。