Track 12

Previous Track Back

添い寝

入りますよー先輩。 ん。動画、見てたんですか? あんまよくないですよ。先輩。 寝る前にスマホの画面見ると、睡眠の質、落ちちゃいますから。 ふふっ。そーです。先輩のお母さんの受け売りです。 ちょっと言ってみたくなりまして。 ああ。えっと……ですね。その……。 先輩。今日は一緒に寝ませんか?って、言いに来たんです。 いや、良いじゃないですか。 先輩のご両親、今夜は仕事で帰ってこない訳ですし。 こういう日くらい、一緒に寝ても。 私、ホントはあんまり一人で寝るの、好きじゃないんですよね。 やっぱりちょっと、さみしくって……。 なので、先輩。 寝ますよ。一緒に。 ほら、スマホは置いて、ベットに来てください。 かわいい後輩彼女、このはちゃんが待ってますよー。なんて。 ん。いらっしゃいです。 ふふっ。ちょっと狭いですね。 密着しないと、お布団からハミでちゃいそうです。 なので……そうですね。くっつきましょうか。 ぎゅーーう。 ん……。くっつくの、好きです。あったかい……。 それじゃあ電気、消してもらえますか? はい。おやすみなさいです。先輩……。 ……しかし、先輩と一緒に住み始めてもう、一か月ですか……。 早いものですね。 ふふっ。そーですね。 お引越しとか……、その他色々。忙しかったですもんね。 時間が過ぎるのあっという間でした。 先輩のご両親にも、その節はだいぶお世話になりましたし……。 というか今も、お世話になりっぱなしで……。 いつかちゃんと、恩返しなきゃですね。 いや、それは恩返しにはならないですよ。 先輩と結婚するとか、私が得しすぎじゃないですか。 もうちょっと、こう……、「恩返し感」のあるやつが、したいですね。 ええ。なので先輩、今度一緒に考えて下さい。良い感じの、恩返し。 先輩にとっては親孝行……ですかね? お願いします……。 しかし、アレですね。 先輩って結構、見栄っ張りですよね。 いえ。先輩のお母さんが言ってたんですよ。 私がこの家に住むようになってから先輩、毎日服装とか気を遣って、 しっかりした生活を送るようになったって。 あれですか? 一緒に住んでる彼女に、かっこわるいとこ見せたくないー。 みたいな感じですかね? ふふっ。そーなんですね。 でも、良いんですよ?先輩。 もっとだらしないところ見せてくれても。 家族……なんですから。 あんまカッコつけず、自然体でいて欲しいです。 むしろ私、先輩のだらしないところ、 もっとみたいかも……なんですから。 ん……。私、ですか? そーですね。確かに。 私も先輩の前だと、結構カッコつけちゃってるかもしれません。 だって先輩の事、大好きですもん。 あんまり隙とか、見せたくないじゃないですか。 ……まあ、あれですよ。 ゆっくりとでいいですから。 お互い肩の力を抜いた関係を、目指しましょう。 それで、受け入れ合って。認め合って…… ずっと一緒にいましょうね。先輩……。 ん……。なんです先輩。 ああ、そうですよ。これ、先輩のTシャツです。今更気づいたんですか? いや、良いじゃないですか。 先輩だって自分のTシャツ、後輩彼女に来てもらえて嬉しいでしょう? ええ。それなら文句、言っちゃイヤです。先輩……。 ふふっ。幸せだなあ……。 先輩のお布団で、先輩の服を着て、先輩の隣……。 ここには、私の大好きなモノしかないですよ……。 安心して……、温かくて……。いい夢、見れそうです……。 ん……。そうですね……。だいぶ、眠い感じ……です。 先輩の安眠性能、高くて……。 ウトウト……しちゃいます……。 先輩……息……聞こえる……。 もっと……ずっと……、先輩を……。 寂しく……ないように……。 ありがと……せんぱい。

Previous Track Back