序
…気が付いたの?あちこち痛むでしょうけどもうしばらく我慢して頂戴。
大の大人の男性が足を開いて床に座っている様子はいつみても間抜けね
コンクリートの床に睾丸がぴったりくっついて、なんて無様なのかしら。冷たい?
応えられるわけないわね。口がきけないようにあなたの口には細工してあるわ、うーうー騒がないでくださる?うっとおしいわ。
声が出ないとはいえ、あんまり騒がれるとこちらも気に障るから先に言っておくわね。
あなたを殺す気はないわ、生きた状態で解放してあげるつもりよ。
ただしなにもしないで返すわけではないわ、あなたにはその体で犯した罪の償ってもらう。
あなたがしたことは許されないこと、警察に逮捕されて当然のこと。
でもそれは、警察が動けば、の話。
あなたみたいな社会不適合者で異常性欲を抱えてる厄介者が、同じ世界で生きていることを私は許せない。
でもこの世界があなたにできるのはせいぜい閉じ込めて反省しろと促すくらい。
酷いと思わない?被害を受けた女性は一生心と体の傷を負って生きていかなくてはならないの。状況によっては周囲からの心無い噂話に傷つけられることもあるわ。被害を受けた女性だけじゃない、その家族だって悲しみの深い闇から逃れることはむずかしいでしょうね。それだけの迷惑をあなたの性欲を満たすためだけに、かけたの。
理不尽、そう理不尽なの。
あなたは今からわたしがすることを理不尽と思うかもしれない。
でも、あなたが悪いのよ?あなたがほんの少し我慢すればすんだことで人生がむちゃくちゃになった人がいるの。
それが私は許せないの。
なにをするの?という目ね。あなたが手にかけた女性もそんな怯えた目をしていたでしょうね。でもあなたは躊躇しなかった。他人の肉体を使って欲望を果たした。
非情よね、だから私もあなたに情けはかけないでいくわ。
ほんとうなら殺してやりたいくらいだけど、殺すより辛いこともあると思わない?
だからね、私今からあなたの睾丸を潰すわ。睾丸…そう、金玉なんて言い方もするわね。
あなたの脚の間にぶら下がっているその汚くておぞましいふたつの金玉を潰すの。
二度と雄として機能しないようにしてあげる。
男性の性欲ってすごいんですってね、だから性犯罪のほとんどは加害者が男性なんだわ。
身体の中から湧き上がる本能に勝てないのね。理性がなくなってしまうんでしょう。
だったらその衝動の元を絶てばいいんじゃないかしらって、わたしは思ったわ。
同じ考えの人が集まったのが睾丸処刑サークルよ。
行き過ぎた性欲の元を絶つには脳をいじくったり薬漬けにしたりする方法もあるんでしょうけど、できれば手っ取り早く結果を出したいの。
だから、睾丸を潰すわ。なくなってしまえばいいの、そんな汚らわしい金玉なんて。