Track 1

Next Track Back

格ゲーメスガキとの出会いから、ゲーム勝負まで

「……ん……おっ?」 「……やってるやってる……ふふっ」 「こんにちはっ♪ ねぇおじさん、それオンライン対戦やってるの?」 「ふーん、そうなんだ」 「この格ゲー、家庭用も出てるのに、わざわざゲーセンに来てまでネット対戦やるって、よっぽど物好きじゃない?」 「その熱中っぷりだと、今日はじめて触ったってわけでもなさそうだし」 「あたし? あたしはたまたま寄っただけだし」 「……にしてもさ、な~んかおじさん弱すぎない? さっきから全然勝ててないじゃん」 「ねぇ『対空』って知ってる? 相手のジャンプ攻撃を落とせないと、ヤラレ放題になっちゃうよ?」 「あー、今のコンボミスは痛い。ダメージ取れるところで取っとかないと~」 「ん~今の中段は立てなきゃダメでしょ。反応悪すぎ~」 「いやぁ……そこでその技は確反もらっちゃうって」 「ほらね」 「はい残念~ ま、け!」 「ぷぷっ、悔しそうな顔! おじさんかわいそ~。なけなしの百円、ドブに捨てちゃったようなもんだね♪」 「……あーあ、落ち込んじゃった! なっさけな~い」 「おじさんみたいなザコちゃんはぁ、飴でもチュパチュパして、元気だそ? はい、飴あげる」 「それにしてもおじさん、へたっぴだね♪ もっとおうちでトレーニングしなよ~」 「え、何? あたしが後ろからうるさかったから負けたって?」 「う~わダッサ! 自分が弱いだけのくせに、人のせいにするのヤバすぎ~ マジありえないんだけど」 「どんだけ格ゲーやってるの? え、まじ? そんな長くやってる割に弱くない? もっかい初心者からやりなおしたら?」 「素人よりはそこそこできるっぽいけど、あたしに言わせたらドヘタだね」 「……あ、傷ついた? ごめんねぇ~そんなにメンタル弱いだなんてぇ、あたし知らなかった~♪」 「あっ、そ~だ! ねえおじさん、ここで会えたのもなにかの縁だしさぁ……」 「あたしとおじさんで、対戦してみない?」 「あ~、今笑ったでしょ? あたしこう見えても結構強いんだよ?」 「いつもおうちでネット対戦やってるし、大会とかにだって出てるもん」 「ネット記事にだって名前載ったことあるし、SNSとかだと結構有名なんだけどなぁ~?」 「あたし、ミトラっていうんだけど、知らない? ミートーラ!」 「えぇ~、マジかぁ。結構フォロワー多いのになぁ」 「じゃあさ、あたしのランク帯教えてあげよっか? 聞いたらきっとびっくりするよ」 「はぁ? 聞くまでもないって? 人のことバカにしすぎじゃない?」 「いいよ、そこまで言うなら勝負する? あたしが弱いっていうなら、もちろん受けて立つよね?」 「言ったね? じゃあやろっ♪」 「あ、言っとくけどお互い手加減なしだからね? あとになって、女の子相手だから手加減しちゃった~とか言うの禁止だよ」 「本気でおいでよ。分からせてあげるからっ」 「ふふ、あたしのことバカにした仕返しに、絶対恥かかせてやるんだから……♪」 「じゃあ2先でやろっか。2ラウンド先取制、先に2回勝ったほうが勝者だよ!」 「ちょうど隣の筐体が空いてるし、こっちでやらせてもらうね」 「あ、そうだ」 「ねぇおじさん、どうせなら罰ゲーム決めようよ。そのほうが盛り上がるでしょ?」 「あたしが負けたら、そうだね~……おじさんのことバカにしたことは謝るし、あたしに勝てたこといっぱい褒めてあげる♪」 「でも、あたしが勝ったら……ふふっ、あたしのいうこと、いっこ聞いてもらおっかな」 「大丈夫大丈夫! ジュース買ってとか、ぬいぐるみ取ってとかそういうのだからぁ」 「……多分ね」 「ふふ~ん、じゃ、まずは軽く小手調べ~」 「えい、えい……とう、とう!」 「うわ~おじさんつよい~やばいよ~このままじゃ負けちゃうよ~え~ん」 「あ~体力ゲージもちょっとだ……追い詰められた~……」 「な~んちゃって♪」 「様子見終了!」 「もういいよ、今のでおじさんの実力、ぜぇ~んぶわかっちゃったから~」 「言っとくけど、あたし容赦しないからね!」 「おじさんの動き見てるとよく分かるよ、投げキャラ苦手でしょ? 対策も知らなそうだし!」 「ごめんね~、あたしそういうのすぐ分かるんだ♪」 「遠慮なく、ガンガン投げてくから……ねっ!」 「ハイ、1ラウンドもっらい~。らっくしょ~~」 「うーわ、舐めてかかってたのバレバレ! 顔真っ赤になっちゃってるぅ~ぷぷ!」 「はぁ~、腕が鳴るぅ~。やっぱり格ゲーはオフでやるのが熱いよね♪」 「ささ、次々ぃ~!」 「もうお互い様子見は終わったし、最初から本気でやってってもいいよね?」 「ほらほら、どうした~? 逃げてばっかりじゃこっちのペースだよ? ん? ん?」 「あたしのジャンプ攻撃、全然対応できてないじゃん! 対空下手すぎて笑っちゃうんですケド~!」 「はい投げ抜け~! そんな子供騙し通用しませ~ん!」 「思考わっかりやす~い! おじさんほんと格ゲー下手ぁ! ザコぉ!」 「コンボだってズタボロだし、コマミス多すぎ! 何年格ゲーやってんの!?」 「うわ、わっかりやすいパナシ~! 顔真っ赤なの??」 「あっ、ハイ今の反撃不可です! おつかれさまでした~!」 「残念~。激弱~。2ラウンド目もよゆーで勝っちゃった♪」 「これだったらわざわざメインキャラじゃなくてもよかったな~! サブキャラの練習台にちょーどよさそう」 「さ、早くコイン入れてー。どんどんいこ~」 「おっ、さっきと動き違うじゃん。もしかして戦法変えてきた~? いいよいいよ、格ゲーマーはそうでなくちゃね!」 「あ、待って待って今の立ってたのに~! なんで食らっちゃうかな~?」 「む~、こっちの手の内みて、ようやく本気出したって感じ? ちょっとはやるじゃん」 「じゃあこっちも戦い方変えてみよ! これはどうさばく~?」 「お~っと、さっきまでの攻めはどうしたの~? そんなんじゃやられ放題だよ?」 「あーらら、形勢逆転~。はい、今度はこっちの番だよっ」 「さっきまでのお返し!」 「はい勝利~。ちょー余裕~。またまたあたしが勝っちゃったね!」 「これで最後~!」 「な~んかもう飽きてきちゃったし、さっさと決めちゃおっかな~」 「ほらほら、どしたどした~? 本気出さないとこんなお子様にストレート負けしちゃうよ~? いいのかな~?」 「はい勝利ー! 1ラウンドも取られることなく終了♪」 「おじさん、びっくりするぐらい弱いんだねっ。ざっこ~! もっと精進しなきゃ~」 「ねぇ悔しい? ねぇ今どんな気持ち? ねぇ、ねぇ?」 「うわ、おじさん顔こわ~い。誘拐されちゃうぅ~」 「ははは、顔真っ赤にしちゃって面白~い♪」 「さ、あたしが勝ったことだし、どんな言うこと聞いてもらおっかな~」 「ん? 忘れたの? 罰ゲームだよ、罰ゲーム。負けたらあたしの言うこと、なんでもひとつ聞いてもらうんだからね」 「まさか、あたしにボロボロに負けたくせに、このままノコノコ帰れるなんて思ってないよね?」 「うん、よろしい!」 「う~~ん、そうだなぁ。じゃ~あ~……」 「おじさんに、あたしのおもちゃになってもらおっかな♪」 「ん? 聞こえなかった? おじさんが、あたしの、おもちゃに、なるの!」 「いや、うぅん、おもちゃが欲しいとかじゃなくてぇ……あ~もうめんどくさい!」 「はいおじさん、目つぶって! 絶対あけちゃダメだからね……!」 「あたしが手ひいたげるから、なにも言わずついてきて」 「いいとこ連れてってあげるから!」 「ほらはやく、ぐずぐずすんなぁ~……!」

Next Track Back