『姉離れ、ダメゼッタイ』
;◆ダミヘ位置・左奥16→正面1に移動していくイメージ
;◆SE 足音(姉ちゃんが近づいてくる)
【姉ちゃん】
「弟くーん。梨剥いたから食べにおいでー。おばさんったら箱いっぱいに送ってきちゃってー」
;◆ダミヘ位置・正面1から、左右に可愛く動いてる感じでお願いします。
【姉ちゃん】
「それでその後は一緒にまったり映画でも見てー。
あ、そうだクッキーも作ったんだよお腹へったらたべよーね。あと今日は何しようかーえへへー」
【姉ちゃん】
「……ぇ? 今日は、お友達のトコに遊びに行く?」
【姉ちゃん】
「へ、へーー。そなんだ。あ、そう。ぅんぅん。そーだよね。弟くんももう大きいもんね。
休日はお友達と遊ぶよね。うん……あ、お友達って同じクラスのタカくん? あんまり危ないこととかしちゃダメだよ」
【姉ちゃん】
「……え? タカくんじゃない? じゃあ……あれ?
あ。なんか今日、妙に髪を整えてる? ……よく見れば服もそれ、新しいのだよね。それにやけに、ソワソワしてる」
【姉ちゃん】
「……弟くん。今日は、どこに行くつもりなの?」
【姉ちゃん】
「………………………………」
【姉ちゃん】
「もっかい言ってみなさい。ごめんねお姉ちゃん、よく聞き取れなかったかも」
【姉ちゃん】
「…………………………合コン?」
【姉ちゃん】
「ご、ご、ご、合コン。ですってぇ!? お姉ちゃんというものがありながら!?
なんでなんでぇっ。なんでそんなトコ行くの。ふ、不潔だよぅ。そんなの、ぜーーったいにだめっ」
【姉ちゃん】
「そりゃ。弟くんはもう大人だよ。うん。自分のことは自分で決める年齢だよ。
でも……や、やだぁ……。いやです。私めっちゃいや。だって、私の弟が、どこの馬の骨とも知れぬ女の子に骨抜きにされるなんてっ」
【姉ちゃん】
「…………断固、反対です。座り込みデモしちゃうぞ。キミの部屋の前で一晩中デモクラシーしちゃうんだから」
【姉ちゃん】
「大体……なんだか最近、弟くんったらお姉ちゃんになんか冷たくないですか?
昔は、お姉ちゃんお姉ちゃんって後ろくっついてきて、カルガモのひなのように可愛かったのに」
【姉ちゃん】
「むぅー。これがいわゆる反抗期ってやつなの。やだ。そんなのやだです。
お姉ちゃんはきみの健全な成長に断固異議を唱えます。姉離れなんて、ダメゼッタイ」
【姉ちゃん】
「……こうなったら、最後の手段しかないか」
【姉ちゃん】
「姉の最強の武器。すなわち、無限の愛。今日はお姉ちゃんが、キミをたっぷり可愛がってあげます。
反抗なんて気が微塵と失せるぐらい、なでなでして、よしよしして、堕落させちゃうんだから」
【姉ちゃん】
「え? 合コン? 何の話だっけ。そんな予定、最初からなかったよね?
なかったよね? なかったよねえ? …………うむ、よろしー♪」
【姉ちゃん】
「弟くんはカッコいいんだから、合コンなんて行って無理して女の子と出会わなくても、
いつか運命のヒトが現れます♪」
【姉ちゃん】
「……とゆーか。ほんとーは運命のヒトが近くにいるのに、キミが気づいていないだけなのかも……」
【姉ちゃん】
「………………」
【姉ちゃん】
「そ、そろそろ行こっか。立ち話もなんですし。とりまソファーかな?
ふふ……今日は、覚悟していてね」
;◆声 ささやき
【姉ちゃん】
「二度と反抗なんかしたくなくなるぐらい……たーっぷり、弟可愛がりしてあげるから。
また昔みたいに、お姉ちゃん。お姉ちゃーん。って。たくさん、甘えちゃおーね♪ くすくす」
【姉ちゃん】
「え? その前に合コンの断りのメールを入れる?」
【姉ちゃん】
「……キミを合コンに誘うような友達とは、もう縁を切っちゃった方が……あそれは人間として行き過ぎてた? ごめんごめん」