プロローグ
女勇者「はー……はー……くぅ、あ、脚が……動かないぃ……でも、負ける、もんかぁ! アスカ、ローラ、どう? 立てる?」
女戦士「はぁ、はぁ、あ、あたりめーだろっ、エル。俺をなめんなってーの……はぁ、ふぅ……」
女僧侶「ふぅ、ふふ……そんな必死な顔をして。強がりをおっしゃってること、丸わかりでしてよ」
女僧侶「わたくしは、神の加護がありますもの……たとえ身体が傷つこうとも、はぁ、はぁ……不倶戴天の魔族に屈する膝はありませんわ」
女戦士「はっ、いったいどっちが強がってんだろうねぇ……ンなことよりも、おい、ローラ、回復魔法は?」
女僧侶「あいにく、尽きてしまいました……神に与えられし力は、無限ではありませんの」
女戦士「くそっ、肝心なところで役に立ってくんねーなっ、神様ってやつぁよぉ……」
女勇者「あははは、二人共、まだ軽口を叩ける余裕があるみたいだね。それで……? まだ動ける?」
女戦士「ったりめーだ。俺を誰だと思ってんだか? ああ? ガキの頃にゃあ町内一の腕白娘って呼ばれてたんだぞ」
女僧侶「わたくしは、神の忠実なる信徒。いかなる困難にも立ち上がるす術を心得ていますから……」
女勇者「ふふ、心強いね。よし……それじゃあ、そろそろお仕舞いにしなきゃ……」
女勇者「……くっ、お、おい魔王……? 何をするつもりだ? う、うわぁ!! 何だ、これは!!?」
女僧侶「こ、これは封印魔法!? 魔法の触手が、絡みついて……ぐっ、う、動けない…………ッ!!」
女勇者「くぅ……は、離せぇっ、くそぉぉっ、魔王!! いったい私たちをどうするつもりだ!」
女戦士「は? 調伏の義(ちょうぶくのぎ)を行う……だって? なんだよ、それ」
女僧侶「つまり、わたくし達を手篭めにする……そうおっしゃってるわけですね……なんという下衆な……」
女戦士「お、おもしれぇじゃねーか!! そんなことでくじける俺じゃねーっての! やってみやがれ、ドスケベ魔王さんよぉ……」
女僧侶「……神よ。これより、御身に捧げた身体が穢されてしまいます……何卒お許し下さい……」
女勇者「ふんっ、たとえ私達が辱められようとも、世界はお前を決して受け入れないだろう」
女勇者「そして……私は決してくじけたりしない……いずれまた必ず立ち上がり、私の剣で、お前を切り裂いてやる!」
女戦士「くじけねーのは、エルだけじゃねーぞ! おい魔王……この拳で、テメーの前歯、へし折ってやっからな!」
女戦士「二度と人前で笑えなくなるような間抜け面にしてやらぁ……! それが嫌なら殺せ!!」
女僧侶「これは、神の与えた試練……魔王よ。貴方は所詮、神のたなどころの上で踊らされているに過ぎません……」
女僧侶「所詮、哀れな存在なのです……そんなものに、わたくしの気高き魂まで穢されるはずがありませんでしてよ」
女勇者「何があってもくじけず、立ち上がる……これまで何年も繰り返してきたことじゃないか……負けるもんか……絶対負けるもんか!!」
女勇者「さあ来い、魔王……お前なんかにこの世界を滅ぼさせやしない! 私達が――」
三人「世界を守ってみせる!!」