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トラック1 プロローグ「寝取らせの提案、拒絶と受諾」 07:47

トラック1 プロローグ「寝取らせの提案、拒絶と受諾」 07:47 待ち合わせの場所へ向かうと、さなが先に待っていた。 【さな】 「あっ」 慌てて駆け寄る。 【さな】 「もー、遅いよー。  彼女を待たせるなんて、きょーいくが足らないんじゃないー?」 【彼】  ごめんごめん。 怒ってないのに、すぐにふっと柔らかい表情に戻る。 【さな】 「……それでっ。  どうしたの、話したいことって……。  改まって、なにさぁ。メッセージでもよかったのに……」 【さな】 「……? 口で言いたいこと、だったの……?  …………う、ん。  いいよ……なに?」 【さな】 「…………うん」 【さな】 「……ぁー……うんうん」 えっちしたときの話題とか出してきて、ちょっと苦笑い。 思い当たることがあるみたいに、はい……と謝るみたいな声。 【さな】 「…………ぁー……あははっ、……はい……」 エッチの話から、徐々に話がおかしな方向に向いていく。 【さな】 「…………?」 【さな】 「……………うん……」 【さな】 「……うん…………」 【さな】 「………………え」 さなの顔つきが変わっても、まくしたてるように言い続ける彼氏。 【さな】 「…………え……え、ぇ、ちょ、ちょっと……。  っ、ちょっ、ちょっとっ、まってっ……!」 【さな】 「……なに、いってるの、さっきから……。  いきなり、なに……え、あの、自分が何言ってるのかわかってる?」 【彼】  うん。それでも、さなに── 【さな】 「っ、ヤに決まってるじゃん!  なに馬鹿なこと言ってんの! なんで、なんで、わたしが……  ……彼女だよ? 彼女なのに、なんで……彼氏から、他の人とえっちしろって言われなきゃいけないの」 【彼】  しろって言ってないよ。してほしいなって…… 【さな】 「一緒のことだよ!  なにそれ、『しろ』じゃなくて『してほしい』だったらなに言ってもいいってこと?  馬鹿じゃないの? ヤだからね、絶対ヤダ! やだやだっ、やだやだやだっ……!」 【彼】  ……ごめん。 すぐに覇気がなくなる彼氏に、 力が抜けるさな。 意地悪で言ってきたわけでもないだろう、 そもそも、私の嫌がるようなことは言ってこない人だから。 【さな】 「…………。  ……、謝る、なら……初めからそんなお願いしてこないでよ……。  普通、そんなこと言われて、『いいよ』なんて言う彼女いるわけないじゃん」 【彼】  でも、どうしてもしてほしくて……こんなこと、さなにしかお願いできなくて。 【さな】 「……わたしに、しか、お願いできないのは、それはっ、彼女だからでしょっ。  信頼してるみたいな言い方してさ……」 【彼】  いいや、そうじゃないんだ!  彼女だったらなんでもいいってわけじゃないんだ。 【彼】  たとえ、他の人とエッチしたとしても、  さなは、絶対僕のことを好きでい続けてくれるって……  そういう安心感があるから、だからっ、お願いできたんだ!  誰でもいいってわけじゃない、本当だ! 【さな】 「っ……、…………。  ……そう……なん、だ」 【さな】 「…………、まあ、そりゃ、さ。  言ってくれたとおり、私は、絶対に他の人を好きなったりしないよ……?  エッチしたくらいで、好きな人を間違えたりしないもん。  ……本当に、本当に、大好きだからっ……」 【さな】 「だから…………」 大好きなんだから、大丈夫。 他の人とエッチしたとしても、困ることって、なにかあるっけ……? だって、彼氏以上のエッチなんて絶対にないもん。 あんなに幸福感に包まれて、幸せを感じるのは、この人だから。 好きでもない人とエッチしても、心が動かされるわけでもない。 それに、私は感じにくい体みたいだし、快感にほだされるわけでもない。 彼氏のために、ちょっと我慢すればいいだけ。 むしろ、ずっと私がわがままを言ってきていたのかもしれない。 なら、彼氏のお願いの1つくらい、聞いてあげてもいいかも……。 ちょっとだけ、ちょっとだけ嫌な思いはするけど、 彼氏もそばにいてくれるみたいだし、いざってときはきっと助けてくれるだろうし。 私が我慢すれば、大丈夫……。 【さな】 「…………」 【彼】  ……さな? 【さな】 「…………」 【さな】 「…………目の前に……」 【さな】 「いてくれるんだよ、ね」 【彼】  う、うん。 【さな】 「ぎゅって、手握っててもいいくらい、近くにいてくれるんだよね」 【彼】  うん。いるよ、そばにいる。 【さな】 「………………うん……。  じゃあ………………い、いっかい、だけ」 【彼】  ほ、ほんとっ!? 【さな】 「っ、う、ん……。  大好きな彼氏のためだから……。いっつも、わがままに付き合ってくれてるし。  よくよく考えたら、全然彼女らしいことしてあげれてないなーってさ」 【彼】  え、全然そんなことないよ。 【さな】 「くすくすっ、うん、ありがと……。  まあ、でも、その…………ほら、エッチってさ、  好きな人とするから意味があるもんだし!  あんな『しあわせ〜』って感じ、彼氏以外でなるわけないよw  それに、私ってさ…………不感症? っていうのかな。  あんまり、感じないタイプでしょ?  エッチしたくらいで、好きな人を忘れたりしないもん。  お相手の人も、たぶん、つまんないってなって、すぐやめちゃうと思う。  くす、私たちみたいに、恋人同士で、いちゃいちゃできないからさ〜w」 【さな】 「……まあ、うん……ヤは、ヤだけど……。  してほしいんでしょ? ……じゃあ、彼氏の頼みだから……。  ちょっとくらいは、我慢するよ。  くす、きっと、私には彼氏しかいないんだ〜って再確認できるだろーしw  いい経験かも。  だって、彼氏に他の人とえっちしていいなんて言われることないだろーしw  浮気じゃないもんね、これ。  なら……まあ、彼氏公認なわけだし? 彼氏の望みだから……  ちょっと、頑張ってみよっかな」 【彼】  ……ありがとうっ……! 嬉しいよ……。 【さな】 「くす、んもぉ……泣きそうじゃんか。  そんなに嬉しいの? ……くす、よかった」 【さな】 「……ちなみに、なんだけど。  お相手の人って、だれなの? 決まってる?」 【彼】  ああ、うん。  えっと……バスケ部の高槻先輩。 【さな】 「バスケ部の…………高槻、センパイ?」 【彼】  そう。 【さな】 「……あの、バスケ部のキャプテンの?」 【彼】  そうそう。よく知ってるね。 【さな】 「え……? あ、あぁっ、まあ……みんなが話してるの聞いたことがあって。  背が高くて、かっこいーってw」 【彼】  そうそうー。せめて、嫌な思いをしない人がいいかなって。 【さな】 「あー……そっかー。くす、気ーつかってくれてありがとっ……。  別に、わざわざかっこいい人選ばなくてもいいのにー」 【彼】  ううん。  でも、さなのこと信じてるから、先輩みたいな人を選べたんだー。  好きになっちゃ困るから。 【さな】 「…………そうだねっ。うん、好きになんてならないよっ!  大丈夫……だいじょうぶ……、だよ……?」  

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