プロローグ
ん。おかえりー。
うん。今日はバイトなし。
あとはお家でゲーム三昧。
あ。買い物行ってきてくれたんだ~? ありがとー。
今日のご飯なにー?
……お。マーボーナス? やったー。
キミのマーボー、美味しいから好き。
んー? 謙遜しなくてもいいよ。
たとえ味付けがレトルトだとしても、〝キミがウチのために作ってくれた〟って事実だけで、白飯が何杯もいけるものなのさ。ふふ。
……ん。手洗いうがいはしてきた?
OK。
んじゃ……
ん……
んちゅ……んちゅ、ちゅ……ちゅう、ちゅ、んちゅ、んちゅ、ちゅっ、ちゅう、れろ、ちゅう、ちゅう……
はぁ……
ぎゅー。
……ふふ。おかえり。
んー。今やってるのは、猫ちゃん動かして探索するゲーム。
面白いよー。
というか、ぬこが可愛い! とにかく可愛い。
……例えばさ、ぬこちゃんが爪とぎするってアクションがあるんだけど。
わざわざそのアクションができるってことは、攻撃力にバフがかかったりするのかな、って思うじゃん?
このゲームはそういうのが一切ない……
ただ猫を可愛く見せるためにアクションがいっぱいある……
最高……
猫飼いたくなる……。
……まあ、このマンション、ペット禁止だけど。ふふ。
ウチがクリアしたら、キミにもぜひやって欲しい……。
あ。でも、プレイしてるところ見てたら、ネタバレになっちゃうか?
こういうとき、同棲の不便さを感じるねー。
リビングでソロゲーをプレイしてたら、そのまま同居人へのネタバレになる、っていう。
……ネタバレになりそうなシーンだなって思ったら、うまく目線を逸らしといて。ふふ。
…………。
……でも逆に、同棲のディスアドって言ったらそれくらい?
うん。〝幼馴染同士のルームシェア〟って体で、キミと同棲を始めて、そろそろ一か月になるけど……
……びっくりするほど問題起こんないねー。
お互い、今まで知らなかった嫌な面、見せ合うことになっちゃうのかなー、って、地味に心配してたんだけど……
それもあんまりなかったし。
……まあでも、夏休みのときとか、四六時中一緒にいてゲーム、とか普通にやってたしねー。
その辺り、やっぱり幼馴染同士っていうシナジーがでかい。ふふ。
…………。
……大学生活にも慣れてきて、力の入れ方と抜き方も分かってきたし。
自由っていうのは楽しいね。
なによりも……
親の目がないのが爆アドすぎる……!
口うるさく、〝あれやれこれやれ〟って言われるのがなくなった……!
……まあ、その分、家事炊事を全部自分たちでやらなきゃいけないのは、めんどいけど。
でも、おかげで、毎日キミとヤリ放題。ふふ。
実際、キミと暮らし始めるようになってから、意外と家族に遠慮してたんだなーって実感した。
音とか振動とか。
してるのバレるの、さすがにヤだし。ふふ。
……ん? なに?
ゲーム?
うん。ポーズしたよ。
ん……
んちゅ……んちゅ、んちゅ、んちゅ、ちゅう……んちゅ、ちゅっ、ちゅう、ちゅっ、ちゅう、ちゅ……
はぁ……
んー。
なにー? ふふ。
話の流れでしたくなっちゃったのー?
まんこ。
……ふふ。言ったそばから、って感じだね。
でも、いいぜー。
なんたって、時間も、誰かの目も気にする必要ないのだから……!
お隣さんにも気を遣わなくて済むように、部屋もわざわざ防音性の高いとこにしたし!
まあ、一番の理由は、深夜まで一緒にゲームやるためだけど。ふふ。
そういう利点はどんどん使ってかないとねー。
……でも、今ちょっと面白いところだから、ゲームはプレイしたままで大丈夫?
うん、ならおっけー。
じゃあ……いつも通り。
ウチがゲームしてるとき……
自由にまんこ、使っていいよー。