初めてのオフ会
ルフ「やっぱりもう寒いねー。明日は雪降るって言ってたし。」
ドラ「歩いてる人間が多すぎます。半分くらい減っても良いと思うんですけど。」
ルフ「こらこら、そんなこと言っちゃ駄目でしょ。今から会う子だって人間なんだし。」
ドラ「それは、まぁ……。やっぱり家(いえ)で待ってれば良かったかな……。」
サク「ルフさん、私の恰好は大丈夫でしょうか?おかしくありませんか?」
ルフ「出る前も言ったけど、サクちゃんは何着てても可愛いよ。あの子もきっとイチコロだって。」
サク「いえいえっ。そういうことではなくて、現実では初対面なので失礼の無いようにと……。」
ドラ「というか、向こうは雄4人で集まるつもりなんですから、実際は自分以外雌でしたってときに、服なんて見てられないと思いますけど。」
サク「そうですね。やっぱり、嫌われるでしょうか……。」
ルフ「まぁまぁ、そこは何とかなるって。……ん。えーと、待ち合わせはここら辺だけど……。」
サク「あ、もしかしてあの方ではありませんか?服装もおっしゃっていた通りですし……。」
ルフ「ほんとだ!あの子っぽいね。」
ドラ「えぇと、私は後ろについていますので、3人で話してくださいね。」
ルフ「いやいや、せっかく来たんだからちゃんと話そ?人見知りは良くないよ。ほら、こっちこっち。」
ドラ「人見知りじゃなくて苦手なだけで……わっ、ちょ、引っ張らないで下さいっ……。」
ルフ「こーんにーちわっ!」
サク「お初にお目にかかります。」
ドラ「どーも……。」
ルフ「あれ?ギルドのオフ会に来た子だよね?ギルマスの……。」
ドラ「ぽかーんとしてますね。」
サク「自己紹介しないと分からないのではないでしょうか?」
ルフ「それもそっか。じゃあ、ギルドに入った順にする?」
サク「私から……ですよね。
その、ギルドをお作りになったときに初期メンバーにして頂いた、サクです。
色々ありまして、キャラクターは此方のドラちゃんに作って頂いたのですが、
ゲームでは『さくま』という名前の男僧侶です。」
ルフ「で、サクちゃんが男の子と遊んでるって聞いて慌ててギルドに入ったのがマッチョな男戦士の『シルフ』こと、ルフでーすっ。
お兄さんだと思ってたでしょ?えへへ、ルフお姉ちゃんでしたっ。
ほら、ドラの番だよ。」
ドラ「このルフ姉さんに無理やりギルドに入れられた『弧竜』というキャラネームの男魔法使いが私です。
本名はドラ。あ、別にネナベじゃないですよ。
男専用装備のMP自動回復がチートですし、魔法使いが優遇されてますから。
サクちゃんにも魔法使いが良いですよって言ったんですが……。」
サク「うっ……、すみません、ドラちゃん…。」
ルフ「よしっ。
とにかく自己紹介は終わったし、君のことはゲーム内で教えてもらったから、挨拶は終わりってことで良いよね。
それじゃあ早速しゅっぱーつ!うちで遊ぼうって言ってたでしょ?」
サク「ルフさん、そんな無理やり……。」
ルフ「そーだ!私とドラちゃんは先行ってるから、サクちゃんがこの子のこと連れてきてくれる?」
サク「え、えぇっ?」
ルフ「ほら、ドラちゃん行くよ。
任せたからねー!」
ドラ「ちょっと姉さん、大丈夫なんですか?ゲーム内では仲良しでしたけど……。」
ルフ「心配しなくても大丈夫だって。」
サク「うぅ……。あの……。その、すみませんでした、性別のこと……。
事前に打ち明けたほうが良いとは思ったのですが、それでもう、会って頂けなくなるのではないかと心配で……。
私、貴方とはあのゲームで……というより、こちらでの初めてのお友達でしたので、会えなくなるのは嫌で……。
怒ってらっしゃいます、よね……。
……え、驚いただけ、ですか?
ほ、本当ですか……?良かった……。
えぇと、でしたら、その、お家に来ていただけますか?
えへへ……はい!ご一緒にっ。」