トラック01
「きゅ、急に呼び出してごめんなさい……!
お話するの、初めてですよね……?
あの……さゆは……わ、私は…
三組の原田さゆです……。
えっと、その……突然なんですけど、
私は、あなたのことが好きです……!
大好きです……!
すごくカッコいいし、
優しそうだし、声も素敵だし、
学校行くとき同じ電車だし、
同じ学校だし同じ学年だし、
私、勝手に運命を感じちゃってて……。
あの、私と……付き合ってくださいっ……!
お願いしますっ!」
「……あの告白をあなたがオーケーしてくれてから、
もう一か月経つんですね……。
……一か月経つのに、さゆたちの関係は
こうして学校から一緒に帰ったり、
お出かけしたり、
たまに手を繋いだりするだけ……。
これはこれで、さゆ、すごく幸せなんですけど……はぁ……。
さゆたち、もう子どもじゃないんだし、
もう少し進展があってもいいと思うんですよね……。
その……例えば……キスしたり……とか…
もっと言うと……あの……えっと……
えっちしたり……とか……。
わ、さゆの顔見ないでください……!
きっと今、真っ赤になってますから、恥ずかしいです……!」
「でも……付き合うって、そういうものなんでしょう?
さゆ、告白したときからずっと、覚悟してました……。
いつかはそういうこと、するんだろうなって。
なのに、全然そんな気配がなくて……。
……さゆ、魅力……ないですかね……?
さゆとしたいって思えませんかね……?
ぐすっ…。
ごめんなさい……変なこと聞いちゃいました……。
でもちょっと、最近不安で……。
さゆ、あなたがしたいって思えるような女性じゃ
ないのかなって……ぐすっ…。
………え……そんなことない?
……だったら……だったら…!
さゆはいいんですよ…そういうことしても……!
うん……! しましょう……! しちゃいましょう…!
今日、さゆの家、家族いないですから…!
恋人らしいこと、いっぱい…!」