Track 5

5囁きトークしながら添い寝

眠かったら、そのまま眠ってしもて大丈夫けんからね。 ええ、お邪魔にならんよう、 こうして小さく、お耳のそばでお話させていただきますけん。 ……なんだかこうしてまどろんどると、 子どものころを思い出しませんか。 学校から帰ってきて、 友だちと遊び回って…… 家へ帰ってくるとなんだか眠なってきて…… 心地よい疲れが身体を包み込んで、 気づくとこっくりこっくり、船を漕いどったりして。 そういう時の眠気って、 どうしてあんなに気持ちがええんでしょうね。 やわらかな気だるさの中で、 夢に落ちるか落ちんか曖昧な境目で…… 頭がゆらゆら、ぼーんやり。 気づくと眠ってしまっとって、 そのうちにお夕飯のええ匂いがしてくるんです。 あったかい、お母さんのおいしい手料理。 そうするととたんにお腹が鳴って、 自然と目が覚めて…… くすくすっ…… 子どもの身体って、ほんと正直にできとるんですよね。 でも、大人になると我慢することを覚えてしまって、 身体の言うことを聞かずについ無理をしてしもて…… いつも眠る時にはすっかり疲れ切って、 糸の切れた操り人形みたいに布団に倒れ込むなり、 夢も見ずに最低限の睡眠をとるばかりになってしもて…… ほう、こうしてゆっくりと寝そべって、 なーんんも考えんと、ただうとうと、うとうと…… こんななんでもないような時間が、 大人になるとなかなか取れんなってしまうんですよね…… 毎日あくせく働いて過ごして…… あっという間に日々が過ぎていく…… でも…… いいえ。だからこそ、ですね。 こうやってただただ心と身体を休めるだけの時間を、 つくってあげんとと思うんです。 ええ……ここにいらしてもらえば、 いつでもこんなふうに安らかな時間を過ごせますけん…… そう、私と一緒に…… けれど、忙しい日々の中でも、 ほんの少しだけ、数分だけでもええんです。 ゆったり過ごす時間をつくってみてください。 ちょっとくらい休んだってええんです。 立ち止まってもええんです。 だっていつもいつも頑張っとるんやけん……ね? 駆けてばっかりの毎日じゃ、 すぐに身も心も疲れてしまいますから…… たまには子どもみたいに身体に正直になって、 ゆったり、のーんびり…… くすくすっ……そうそう、 子どものころ、こんなことがありましたっけ。 あの日は学校からの帰り道に雨が降り出して、 外へ遊びにいくはずが行けんなってもうて…… 仕方なく家で過ごすことにして、 ふたりで本を読んだりトランプしとるうちに、 どちらからともなく眠ってしもて…… どんくらい経ったんか…… それこそきっと、ご飯の…… 美味しそうな匂いがしたんでしょうね…… 急に目を覚まして、何を思ったか雷だーって…… 私もびっくりして飛び起きたけれど…… 外は雨も上がっていて、 綺麗な夕空ばかりが広がっていて…… 雷だと思ったのは…… 自分のお腹の鳴る音で…… それに驚いて飛び起きて大騒ぎ…… よっぽどお腹がすいたんやねって…… 私が言うと……くすっ…… もうすぐご飯やから起こしてやったんやって…… 恥ずかしそうな真っ赤な顔で…… んんっ……おかしかったなぁ…… あの時の……んっ……あな……たの……顔…… すぅ……すぅ…… すぅ……すぅ…… うぅんっ……むにゃ…… すぅ……すぅ……