エピローグ【魔王城その2】
[隊長]:
レイダ様。
第276代目となる勇者一行が、我らが城へ向かっているとの、報告を受けております。
[魔王]:
そうか、意外と早かったのう。
先代の勇者は出来あがっておるか。
[隊長]:
はっ。
みずからを魔族の一員であると信じ、疑っておらぬようです。
さらにわが軍に仕える忠誠心も、中々のものでございます。
[魔王]:
ふむ、夢魔(むま)のしつけが良かったようじゃな。
生かしておいた甲斐があった。
もし無事に帰還(きかん)できたら、一晩中可愛がってやろうかのう。
ふふっ。
《ミリアのほうへ向く》
歴代の勇者から精鋭を招集し、殲滅(せんめつ)に向かわせるのじゃ。
[隊長]:
はっ。
必ずや一網打尽にしてみせます。
[魔王]:
まつのじゃ、ミリアよ。
将軍への言付けは、わかっておろうな。
仲間を殺し、勇者だけを入城させるようにと。
[隊長]:
御意(ぎょい)にございます。
では、私は手回しをして参ります。
[魔王]:
たのんだぞ、ミリア。
《ミリアが消えるのを見届ける》
おろかな人族(ひとぞく)めが。打つ手もなく次から次へと…。
異世界から勇者を送り込む物量作戦で、わらわを倒せるとでも思うたか。
帰らぬ勇者どもに返り討ちに遭(あ)うなど、想像さえしておらぬじゃろうな。
ふふふ…。
この魔王レイダ、汝(うぬ)ら軟弱な人族(ひとぞく)などに、負ける気はしない。
永遠にわらわの手のひらの上で、踊り続けるがよい。
ふっ、ふははは、ふはははははははっ。