レモン色の夜
01. レモン色の夜
○寄宿舎最上階、サロン内
<状況>
季節は夏に入り7月。
月乃との仲をより深めていた桔梗は、
いつも優しくしてくれる月乃にお礼がしたいと考える。
その相談をするため、星蘭のコースを訪れていた。
(星蘭)
ごっきげんよーう☆
(桔梗)
……ごきげんよう、夜町先輩。
(星蘭)
▽目を丸くしながら歩み寄る。
って、ありゃ、桔梗ちゃんじゃないか!?
ボクのコースに来るなんて珍しいねー?
普段は月乃ちゃんの日に通ってるって、聞いてるけど?
(桔梗)
ん、そうなんだけど……。
(星蘭)
ふむむ、何やら浮かない顔だねー?
……ふっふっふ、さては、
何かお悩みごとかい?
(桔梗)
……え、どうして分かるの?
(星蘭)
そりゃあ、ボクは読心術に長けてるからね☆
人の顔を見れば、
大体の考えが分かっちゃうのさ☆
(桔梗)
……怪しい。
(星蘭)
ふふっ、まぁまぁそう言わずにさー☆
せっかくこうして会いに来てくれたんだ☆
施術をしながら、ゆっくり話そうじゃないか!
(桔梗)
え、施術も受けなきゃダメ?
(星蘭)
ちょ、なんなのさ!?
その微妙に嫌そうな反応は!?
こ、こほんっ。
前にも言ったけどねっ、ボクのコースって、
空いてることほとんど無いんだよ!?
今日だって、奇跡的に空いてるだけだしー?
次に時間を取れる保証はないからね!
(桔梗)
……ん、確かに。
(星蘭)
▽ニヤニヤしながら。
ふふーん、それにぃー。
わざわざサロンにまで来たってことは、
月乃ちゃんのことで相談があるんでしょー?
ボクにしか聞かれたくないことで、ね?
(桔梗)
どうして分かったの?
(星蘭)
ふふっ、正解みたいだね☆
キミたちが仲良くなったって噂になってから、
ちょうど2ヶ月くらいかなー?
今じゃもう、学園中がキミたちの仲を知ってるくらいだし。
お昼休みも放課後も、
時間が合えば、ずーっと一緒にいるでしょ?
(桔梗)
ん、そうだね。
(星蘭)
▽ニヤニヤしながら。
ふふーん。
桔梗ちゃんさー、
どうやって月乃ちゃんを口説き落としたんだい?
お部屋デートまでしてるんでしょ?
(桔梗)
先輩が誘ってくれたから。
(星蘭)
▽呆然とした様子で。
……え、月乃ちゃんからのお誘いなのかい?
ほんとのほんとに?
(桔梗)
なにか不思議なの?
(星蘭)
あー、不思議というか、
ちょっぴりびっくりしてるというか。
▽小声で。
おいおい桔梗ちゃん。
キミはボクが思ってた以上に、
無意識女たらし美少女ってやつなんじゃないかい……?
(桔梗)
……ごめん、なんて言ったの?
(星蘭)
こ、こほん!
き、気にしないでいいからねー☆
ほらほら、ベッドの方へいくよー?
(桔梗)
……? ん、お願いします。
(星蘭)
ふふっ、素直でよろしい☆
それはそうと……。
▽わざとらしい口調で。
チラッ、チラッ。
ねぇねぇ桔梗ちゃーん。
ボクの新衣装について、何か感想はないのかい?
(桔梗)
え、カジノにいる人?
(星蘭)
ちょ、なんだいその雑な感想は!?
確かにカジノって部分は合ってるけど!
可愛いとかの褒め言葉はないのかい!?
この下着、高かったんだよー!?
ぐぬぬ……夏になったから、
せっかく新調したっていうのにぃ!
こ、こほんっ!
前のメイドさんモチーフに飽きちゃったから、
今度はバニーさん風にしてみたのさ☆
▽お尻を向けて振りながら。
ほらほらー?
ふわふわした尻尾も付いてて、可愛いでしょー?
(桔梗)
ん、そうだね。可愛い可愛い。
(星蘭)
って、そんな冷めた目で見ないでくれるかい!?
『なにやってるんだろう、この人』、
みたいなのが一番効いちゃうからさー!?
(桔梗)
読心術が得意なの本当なんだね。
(星蘭)
そんな心は読めても嬉しくなーい!
キミ、月乃ちゃん以外には、ホント塩対応だよねー!?
(桔梗)
え、夜町先輩だけだよ?
(星蘭)
ええ!?
なんでボクだけ!?
サロンで一番年上なのに、
敬意のカケラもなさすぎないかい!?
(桔梗)
ん、なんか先輩って感じしないし。
(星蘭)
んむー。
親しみやすいってことなら、それもアリ?
ま、まぁ!
前向きに捉えておくことにするよ☆
▽口を尖らせた様子で。
……なんか腑に落ちないけど。
▽顎に手を添えて考え込むように。
むむむー。
これが、桔梗ちゃんのペースに巻き込まれる感覚……。
月乃ちゃんのガードを軽々破ったのも納得だよ、ボクは。
(桔梗)
夜町先輩、ベッドに乗ればいいの?
(星蘭)
▽考え事から意識を戻す。
あ、うんっ☆
とりあえず、ベッドの上に座って貰えるかい?
今日のメニューは、
ボクの定番コースでいくからね☆
(桔梗)
ん、分かった。
(星蘭)
それじゃ、ボクもお隣に失礼してっと。
ふふっ☆
それじゃ、改めまして、
今宵は夜町星蘭のエステコースへようこそ☆
たくさん癒しちゃうからね、桔梗ちゃん☆