爪切りとエメリーボードでネイルケア
02. 爪切りとエメリーボードでネイルケア
○サロン内、ベッド上
<状況>
星蘭と桔梗が向き合って座っている。
(星蘭)
早速だけど、爪を見せて貰えるかい?
(桔梗)
ん、伸びてる?
(星蘭)
んんー、そこまで伸びてないけど、
ケアすればもっと綺麗になると思うよ☆
それじゃ、適当な長さに切っていくねー。
《右手爪切りSE》
(星蘭)
月乃ちゃんのコースだと、手のケアって、
あまりメニューに入れてないみたいだねー。
本格的なネイルケアって、
しばらくやってなかったんじゃないかい?
(桔梗)
確かに。何でかな?
(星蘭)
うーん、理由かぁ。
ほら、手とか指のケアって、
どうしても手を繋ぐように、
密着しないといけないでしょー?
恥ずかしがって、やりたがらないんじゃないかな?
《右手爪切りSE》
(桔梗)
先輩、わたしにはしてくれてたけど。
(星蘭)
……ふふっ、そっか。
まぁキミたちは、
いつもこっそり手を繋いでるらしいしー?
桔梗ちゃんだけは、特別なんじゃないかい?
(桔梗)
え、どこかで見てたの?
(星蘭)
▽ニヤニヤしながら。
ふっふっふー。
ボクは直接見てないよー?
情報網に上がってきただけさ☆
早いもので、一学期ももうすぐ終わりだし、
一年生ちゃんにも、ボクと仲良しの子が増えてきたからね☆
……よしっ。
次は左手ねー☆
《左手爪切りSE》
(星蘭)
にしても、桔梗ちゃんさー。
いくら人の少ない裏庭とか、図書室でも、
毎日お昼休みデートしてたら、
噂になるに決まってるじゃないかー。
(桔梗)
デートなのかな、あれって。
(星蘭)
ふふっ、その無自覚なところ、
ボクは嫌いじゃないよ☆
▽優しい声色で。
月乃ちゃんにはそういう子が、
ずっと必要だって思ってたからね。
(桔梗)
なんか、悪口言われてる気分。
(星蘭)
▽普段の口調に戻って。
いやいやー、褒めてるんだよー?
ふふっ、桔梗ちゃんも少し変わったよね☆
前よりも、言葉数が増えたというか。
(桔梗)
そうかな?
(星蘭)
うん、きっと、月乃ちゃんと出会えたおかげだね☆
あの子は全然笑わないし、
『孤高のお姫様』なんて、
学園でもずっと言われたけどさ。
ほんとはすっごく優しい子なんだよね。
キミたちがお友達になってから、
少しずつ、良い方向に変わってきてる。
ボクはそう思ってるよ☆
《左手爪切りSE》
(桔梗)
ん、自分だと良く分からないけど……。
(星蘭)
ふふっ、ボクから見ても間違いなしさ☆
さてさてー。
爪は適当な長さに切れたから、
エメリーボードで角を整えていくよー?
《右手エメリーボードSE》
(桔梗)
先輩って、自分の学年ではどうなのかな。
(星蘭)
んー、そうだねー。
2年生の視察には結構行ってるけど、
いわゆる高嶺の花って感じ?
話しかけたいけど、
誰も近寄れない雰囲気って言うのかなー?
だから、サロンの担当日に来て、
一生懸命、お近づきになろうとしてる子もいるみたいねー。
《右手エメリーボードSE》
(桔梗)
……むぅ。
(星蘭)
▽目を丸くして。
え、どうしたのさ?
キミがほっぺたを膨らませるなんて、珍しいね?
(桔梗)
なんか、少しモヤモヤした。
(星蘭)
ふふっ、あははっ!
桔梗ちゃんでも、妬いちゃうことがあるのかい?
(桔梗)
妬いてる? わたしが?
(星蘭)
ふふっ☆
そうとしか思えなかったよ☆
《右手エメリーボードSE》
(星蘭)
大丈夫、安心しなよー?
月乃ちゃん推しの子達からしたら、
キミのこと、羨ましくて堪らないだろうからさ☆
《右手エメリーボードSE》
(桔梗)
ん……そうなのかな?
(星蘭)
そりゃそうさ☆
月乃ちゃんがお部屋に招待する子なんて、
キミが初めてだからねー?
ふふっ☆
《右手エメリーボードSE》
(星蘭)
はいっ、右手はおしまい☆
次は左手ねー。
《左手エメリーボードSE》
(星蘭)
ちなみにお部屋デートでは、何をしてるんだい?
(桔梗)
一緒に本を読んだり、感想をおしゃべりしたりかな。
(星蘭)
ふふっ、そっかー。
確かキミも、読書家だったね。
二人でゆったりと本を読んでる空間、
良いじゃないかー☆
《左手エメリーボードSE》
(桔梗)
先輩、本を読みながら手も繋いでくれるし。
(星蘭)
んなっ!?
読書しながら手を繋いでるだとぉ!?
▽素の声で。
……前言撤回。
ボクは桔梗ちゃんの天然さが、恐ろしくなってきたよ。
《左手エメリーボードSE》
(桔梗)
……? 本を膝に置けば、邪魔にはならないよ?
(星蘭)
本の捲りやすさとか、そういう話じゃなーい!
手を繋ぎながら読書とか、
とんでもない情報を聞いてしまったじゃないかぁ!
……これは、ボクの中に留めておくことにしよう、うん。
《左手エメリーボードSE》
(星蘭)
はい、おーしまいっ。
とりあえず、今日は爪の切り口を整えるだけにしとこっか。
表面までつるつるに磨いちゃうと、
月乃ちゃん、ボクの施術に気付いちゃうだろうし。
今日の話したいことは、こっそりなんでしょ?
(桔梗)
うん、できれば。
(星蘭)
ふふっ、それじゃ、
ネイルケアはここまでにしとこっか☆