Track 1

魔王に捕まった勇者への処遇

・魔王に捕まった勇者への処遇。(15分) ……。起きて。起きて、人間。 よかった。気が付いた。死んで、なかった。 ……ボーっとしてるけど、大丈夫? 体、動く? ……どうしたの?そんなに目を丸くして、じっとこっちを見て……。 え?私?……私はリズ。リズ・レイフィル。リズ、で、いい。 どうしてこんなところにいるのかって……? それは、ここが私の家だから、だけど…? 違うの?貴方がここにいる理由? ……覚えてないの? 貴方はお父様に捕まったの。 ……お父様がさっき、貴方を私のところに連れてきた。 ……何をそんなに驚いているの? ……私が魔王の娘かって……?そう、だけど。 貴方は勇者、なんでしょ?でも、お父様に負けてここに連れてこられた。覚えていないの? そんなに怯えなくてもいい。私は貴方を食べたりしない。 お父様にお願いしていたの。『ペット』が欲しいって。 だからお父様、貴方を私にくれたの。 貴方は今日から私のペット。だから、食べたりしない。安心したらいい。 ……えっと……どうしてそんな顔をするの? ひょっとして、言葉が適切でなかった? 自分のモノにして人間を飼うことは、『ペット』にする……とは違うの? あい、がんどうぶつ……?同じ意味、かな……? 人間の適切な言葉はわからないけど、私の所有物になるということ。……通じた? よくわからないけど、混乱しているみたいに見える。 大丈夫……? ……貴方はこれから私のいうことに忠実に従って。 私の命令は絶対だから、無視してはダメ。いい? 無視したら、お仕置き……するから。ダメ、だよ。 貴方が腕に付けてるそのリング、お父様が貴方につけたもの。私のと、お揃い。 貴方が私の言うことをきかなかったら、私の魔力をそこに流し込んでビリビリさせるから。 (自信なさげに、相手を少し警戒するように可愛らしく) 結構……痛いよ?だから、ちゃんと言うこと聞いてね。噛みついたり、怒ったりしないでね。 怒られるの……嫌い。殴ったりもしないで。痛いの、嫌……。 ちゃんということきいて……?わかった……? わかったら返事をして……。 ……少し小さい返事だけど、まあいい。よく、できました。 なでてあげる。……よしよし、よしよし……。 ……嬉しい?……嬉しくない?……そう。じゃあ、人間はどうやって褒めたら喜ぶの? 私、まだ人間を飼ったことがないからよくわからない……。 …‥どうして黙るの?何か怒ってる……? よく、わからない。お腹がへった……?それとも、どこか痛い……? ……寒いなら、この毛皮、貸してあげる。羽織ると少しは温かくなるかも……。 ……どうしてそんな変な顔をするの? 私、何か変なことを言った……? え?どういう反応をしていいかわからない……? ……それはどういう意味……? よく、わからないけど、いい。 これからよろしく。えっと……名前、つけてなかった。 じゃあ、貴方は今日から『シロ』。 貴方の装備している服が白いから、貴方は『シロ』。 ……嫌? え?名前があるの?でも、駄目。貴方はシロ。もう決めた。 名前は、飼い主が決める。決めたいの。 貴方はシロ。それ以外、ダメ。返事は……? よくできました。ため息は、つかなくてもいい。 シロ、おいで。 ……うん、側に来ればいい。ぎゅって、する。 ペットに拒否権はない。おいで、シロ。 ぎゅっ……。よしよし。 ペット、初めて飼った……。嬉しい……。これから、よろしくね……。シロ。 よしよし、よしよし……。 ……そんなに固くならなくてもいい。シロ、体にすごく力が入ってる。 緊張、してるの? ……え?恥ずかしい……?どうして……? ふにふにするから……? よく、わからない。 嫌じゃない?……そう、嫌じゃないならいい。 ぎゅっ……。 ほっぺ、ちゅって、する。 ペットになった証。 じっとしてて。………ちゅ………。 顔、赤い。大丈夫?横になる? ……そう、大丈夫なの。ならよかった。 ペットの体調管理も飼い主の仕事だから、具合が悪くなったら教えて。 うん。ちゃんと返事して、えらい。よしよし。よしよし。 じゃあシロ、ここに座って。今から大事なお話をするから、聞いて。 私がシロを飼いたかった理由がある。 えっと……私はお父様の子どもだから、いずれお父様の後を継いで魔王になる。 魔王は人間も魔界の生き物もみんな支配していかないといけない。 魔界のことはたくさん勉強した。 次は人間のことを学ぶ番。だから、シロでお勉強させてもらいたい。 とくに、人間を意のままに操るための≪洗脳≫の練習をしたい。 シロ、私の≪洗脳≫の練習に付き合って。 ……怖いから嫌? 大丈夫。怖くない。……そんなに怯えることない。 ちゃんと洗脳の仕方は勉強した。 痛くない。だから大丈夫。 人間は、『気持ちいいこと』を重ねると、洗脳されるって、教わった。 人間の気持ちいい事は調べ済み。 ……まだそんな顔をしてる。大丈夫だと言ってるのに。 仕方ない。教えてあげる。 人間を洗脳する方法。 これ、見て。人間が作ったものを真似て作った。 耳の汚れをとる道具。 『耳かき』と、いう洗脳法。 朴の木の枝を削って、後ろに綿の木からとった綿を付けた。 人間はこれで耳を掃除されると、気持ち良くなって言いなりになるってきいた。 ……すごく、驚いてる。 え?斬新な洗脳法……? よくわからないけど、これを試してみたい。 耳の掃除が終わったら、綺麗に耳を舐める。 それも気持ちいいみたいだから、これも洗脳に使う。 耳のお掃除の後は、舐めて綺麗にしてあげる。 そうすると、人間はとても気持ち良くなって、体の力が抜けるらしい。 その状態になったら、次は性器を刺激する。 ……どうしたの?意外だった? ……え?何て言ったのか? だから、体の力が抜けたら性器を刺激する……。 ……何故そんなに慌ててるの? 性器を刺激されるの、怖い? 大丈夫。気持ちいいだけで、痛くない、らしい。から。 痛いと洗脳できない。あくまで気持ち良くなるものだから、大丈夫。 初めてだけど……がんばる、から。 丁寧にする。 だから、怖がらなくていい。 え?怖がってるわけじゃない……? そう。ならよかった。 これを全部やりおえたら、洗脳できてる、はず。 もう、私の言うことが全てになるはず。 絶対逆らえなくなる……はず。 初めてだから、全部上手くできるかはわからないけど……がんばる。 じゃあシロ、最初は耳かきで洗脳する。 こっちにきて、ここに頭を乗せて寝転がって。 始めは右耳。その後左耳。 わかった? じゃあシロ、ほら、おいで。 ここ。ふとももに頭を置いて。 ……そう。……ん?柔らかい? そう。気持ちいいならいい。そのまま力を抜いてリラックスして。 じゃあ、始める……。