姫はナイトのキスで目覚める
[少女の寝室にて、明け方までゲームをしてて起きれない少女を主人公が起こしに来る]
んむー
だれだぁ、私のほっぺたをつつくのはぁ……
なんだ、お前か……
おはよ……もう朝……?
あー、もうお昼すぎなのかぁ……
ふあ~あ
お水お水……ん、ありがと……
んく、んく、んく……ぷはぁ。
うん、ちょっと目が冴えたかも……
でも、まだ眠たいな……
ふふ、ちゃんとわかってるじゃないか。
よろしい……んむ
んちゅ、ちゅ、ちゅぷ……
目覚めのキス……しばらくぶりな気がするな。
昼間にお前が家にいるのが久々なのか。
最近ずっと仕事で忙しそうだったから……
ほら……もっと、ちゅむ、ちゅる、んぷ、ちゅぱ、んちゅ、ちゅ、ちゅるる……
今日はお前とこんなにゆったりとした時間を過ごせる……
ふふ、私はとても幸せに……んちゅ……感じている。
お前もか?それはよかった。
ちゅぷ、んぷ、はぷ、あぷ、んんぅ……ふぅ。
ぶるる……
うぅ……水を飲んだから、トイレに行きたくなってきた……
「ムードが台無し」?
お前……こんなに明るいうちから何を考えてるんだ……
全く……
でもまだ動きたくないな……
うぅむ……そうだ。
すまんが、ちょっとそこのペットボトルを取ってくれ。
(呆れて軽く頭をポンと叩く)
あた!
もー、何もはたくことないじゃないかぁ……
「いつもそんなことしてるのか」?
いやいや、冗談だよ。
こんな生活はしていても、さすがにそこまで落ちぶれてはいない。
……ちょっと手が放せない時なんかは、たまにしちゃってもいいかなって思うことはあるが……
(急に少女を抱きかかえる主人公)
ひゃう!?
びっくりした……怒られるかと思った。
ちょ、ちょっと、いきなり私を抱きかかえるなぁ……
びっくりして、少し漏ってしまったじゃないか……
ん?連れてってくれるのか?
ふふ……こんな私を目の前にしても、お前は本当に優しいんだな……
それでこそ私のナイトだ。
ん?「その呼び方はやめろ」?
いつぞやに、「君のナイトになるから」と言ったのはお前だったじゃないか。
「それは昔のゲームの話」?
ふふふ、その言い訳ももう何度目だか……
それに私も、こんな風にお姫様抱っこ、されるのは嫌いじゃない。
私のナイトよ。もう一度キスをしてくれ……んぷ……
ちゅぷ、ちゅ、ちゅむ……んぷはぁ
うむ、素敵なキスだ。
お前に抱きかかえられて……ちゅぷ……キスされて……んちゅ……
こんな幸せな朝は……いや、もう昼だったか。
とにかく、私は幸せだ。
これから行く先がトイレっていうのは、なんとも情けない話だけど……な。
[トイレから戻り、ダイニングルームにて]
そういえば、昼食は?
朝作ったハムエッグが残ってるからそれで?
お昼なんだしもっとまともなものを出すべきだろ……
朝起きてこないのが悪い……まあ、それを言われると否定はできないんだが……
「文句があるなら自分で作れ」って?
それは……めんどくさいなぁ……
それに、私は料理ができない……
うーん……じゃあそれでいい……
あ、トーストはいつも通り強めに焼いてくれ。
ミルクは……ふふ、言うまでもないか。
もう準備してるなんて、いい心がけ。
さて、少し遅めの朝餉を摂ろうか。
お前は、朝、食べてないのか?
そっか、私と一緒に食べようと思って……
なんだか、かわいいな。
まるでペットみたいだ。
「君を飼ってるのは僕だけどね」って?
むぅ……そういう意味で言ったんじゃない。
それだけ私にとってのお前は、大切で、好きで、愛おしいってことなんだぞ?
それに……私は飼われてるんじゃない。
ただ今は…………そう、ちょっと休憩してるんだ!
人生において休憩することは大切なことだぞ?
……安心してくれ。もうしばらくしたら職を探すつもりだ。
いつまでもお前に迷惑はかけられないからな。
「そのセリフ、ずっと聞いてる気がする」?
ま……まあ、いいじゃないか。
私だってやる気はあるんだ。
やればできる子だぞ?私は。
んむむ……
そういえば今日は会社、休みなのか?
そうか、今日は祝日……
最近日にちや曜日の感覚が何処かに行ってしまってるようだな……
「毎日遅くまでゲームしてるから」って、
これはライフワークみたいなものだからな。
これに関しては文句を言わないお前には、いつも感謝してるんだぞ?
出会ったきっかけも、中を深めるのにも、いつも間にはゲームがあったからな。
そのことを理解してくれていること、私はとっても嬉しいんだ。
……ふふ、今日は自由なんだろ?
じゃあ、例のハンティングゲームの新作が届いてるんだ。一緒にやろう!
大丈夫、ちゃんと2本買ってある。
昨日のうちに前作のデータを引き継いでおいたから、今すぐにでも遊べるぞ!
「そういう時だけは準備がいい」?
お前と過ごす時間のためなら、労は惜しまないさ。
でも、その前にご飯を食べないとな。
せっかく焼いてもらったトーストが冷めてしまう。
今日はそうだな……このイチゴジャムにしよう。
血湧き肉躍る狩りの前にはぴったりの色じゃないか……ふふ、ふふふ……
へ?怖い?
すまんな、ちょっとテンションが変な方向に向かってるようだ。
おとなしくいただくとするよ。
はむ……ん、おいしい……
やっぱりお前の焼くトーストが一番の美味だ。
少なくとも、私にとっては、な。