Track 2

心の安全地帯

[リビングルームのソファーの上、主人公のひざの間にいる少女と一緒にゲームをしている] ぬぅ~、こいつぅ、ちょこまかと避けよって……! えい!えい!とぉっ! ふぇ?なんでヘイトがこっちに向いてるんだ!? ああぁ~~来るな来るな来るな………… だぁー!やられたーー! ……んぅ~~~ なんだか今作、ものすごく難易度上がってないか? 特にこの新骨格のモンスター、完全に接近殺しだぞ。 まったく、ゲームデザイナーは何を考えているんだ…… こういう多人数協力型のゲームは各々にストレスを感じさせない設計にするのが第一だというのに、これじゃ超重量級のストレッサーじゃないか。 (「僕が不甲斐ないばかりに」と主人公) ……いや、お前が謝るところじゃない。 今回の敗因はこの妙な動きのモンスターにお互いが慣れていなかったからだ。 しかし前情報なしにやるのは、なんとも面白いな。 その分ストレスも溜まるが…… こうやってお前の膝の上で抱きかかえられながらじゃないと、今頃このゲーム機を壁か何処かに投げつけてしまってるだろう。 すまないな……迷惑じゃないか? プレイの邪魔にはなっていないか? うん、それならいいんだ。 ゲームしてる時の私はかっこいい? ば、ばか……急に何を言い出すんだ! ……それに、それじゃゲームをしていない時の私はダメダメみたいな言い方じゃないか。 いつもの私はかわいいって? こんな毎日ゲームばっかりして、それ意外にはたいして何もできない私が? ふ…ふん、お前の目は節穴か? 第一、私は社会的に見ればただの引きこもりのニートで、真っ先に唾棄されておかしくないような存在なんだぞ? あ、こら、抱きしめるな……画面が見えないじゃないか…… んちゅ、ちゅぷ…… ……そうだったな。 最初から、そんな私が好きだと言ってくれていたな、お前は。 すまない、お前がどれだけ愛してくれていても、私は私が、この何もできない自分が嫌いなんだ。 だから……んぷぅ、ちゅ、ちゅる、んちゅ…… ふふふ、言葉は不要か。 わかってる。 だからこそ、こんな私を愛してくれるお前のことを、私は精一杯愛したい、そう思ったんだ。 ……だから抱きしめるなと言ってるだろ? 頭も撫でるな……もう、仕方のないやつだ。 狩りの邪魔だけはするなよ? 今?今はまだ村にいるから、ちょっとだけなら……構わない。 んぷ、んちゅ、ちゅ、ちゅる、ちゅ、ちゅぷ ふふ、どうした?今日はいつもよりも甘えん坊だなぁ。 ちゅる、ちゅむ、んぷ、ちゅるる、んちゅ たしかに、こうやって密着して……んぷ、ちゅぷ、ちゅる……一緒の時間を過ごせるのも……ぁむ、はぷ……今日みたいな休日くらいだしな。 ちゅ、ちゅる、んちゅ、ちゅぷ、ちゅぴ、んぷぇ それとも私のストレスケアのつもりか? はぷ、んぷ、ちゅっぷ、んむ、んぷ…… ああ、とっても癒される。さっきまでのイライラが嘘みたいに思えるな。 これならさっきのあいつにリベンジしに行けそうだ。 ひゃん!? こ……こら、キスはいいけど……耳を舐めるなぁ…… ぁふ、ん、んぅぅ…… 気持ちいい……けど……これは……んぁ…… …集中……でき…ない…… やめないと……ふみゅ……腕を噛むぞ……! ん、んふ、ん、ん、ふぁ、あ、ぁっ、ぁ……がぶっ はぁ……はぁ…… お前、興奮しすぎだ…… 今は……ゲームをする……時間なんだぞ…… そういうのはあとで……しっかり相手してあげるから、今は狩りに集中しろ…… はぁ……はぁ…… あ……歯型をつけてしまったな……すまない。 れろ、ぺろれろ……ぺろ、れりゅ……れる……ちゅ…… 「痛くないから大丈夫」? そうか、それならいいんだが…… ……第一、お前がやめろと言うのに耳を舐めるから悪いんだぞ? 私はお前と違って、耳が敏感なのは知ってるだろう? え?私がビクビクしてるのがかわいいからつい……? …………バカ。 えと……それじゃあ、もう一度挑もうか。 その前にもう一回だけ…… んちゅ、ちゅぷ、ちゅ。 ふふふ。 では次の作戦だ。 お前は、今度は遠距離攻撃ができる武器でついて来てくれ。 私は隙を見て近接でねじ伏せる。 まずは見つかる前にトラップを使って動きを封じて、奴の両の翼を無力化してみよう。 それで動きがにぶればこっちのもの。 それでだめだったら、今度はお前が動き回る奴に毒を浴びせてくれ。 そこまですれば流石のやつも弱って来るだろう。 やつの骨格といい動きといい、ゲームバランスを鑑みるにああ言ったタイプは体力や状態異常耐性が低いものが多い。 きっと大丈夫だ。私とお前のコンビなら、造作もないさ。