Track 1

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発覚

「……まさか、見つかっちゃうなんてね」 「予想外よ。困ったわ」 「ここで何をしているかって? そんなこと、聞かないでよ」 「私の正体くらい、見当はついてるんでしょう?」 「こんな生足の見えるはしたない格好……どう考えたって、家出したお嬢様になんて見えないわ」 「この真夜中に、こんな装束に身を包んだ女が何者かだなんて、馬鹿でも分かるわよ」 「ええそうよ。私は女忍。くの一って言った方が分かりやすいかしら?」 「この屋敷の主を亡き者にしろって任務を受けたから、侵入して、ここに隠れていたのよ」 「……ふふ、あっさり白状したことが、そんなに不思議?」 「何だったら、スリーサイズも教えてあげるわよ。抱かれた男の数だってね」 「ふふ、冗談が過ぎたわね。でも、見つかってしまったんだからしょうがないでしょう?」 「私のことだったら何でも教えてあげるわ。あなたの気を悪くしたくなんかないもの」 「……どういう意味かって?」 「見つけてくれたのがあなたで良かったって言ってるのよ」 「そんなの、すぐに分かるわ」 「すぐにね。ちゅ……ん……」 「……どう? 私の唇の味は?」 「ほら、そんなに驚いた顔しないで」 「もっと私のコト、感じ取って……?」 「流れに身をまかせるの……」 「そう、もっと舌を絡めて……吸い取るように……」 「くちゅ、ん……れろぺちょ……ちゅ、む、ん……ぁ、はぁん、ちゅ……ん、はぁ……」 「ふふ、上手よ。やっぱりあなたで良かったわ」 「……ねえ、取引しない?」 「別に自分の身が惜しくて言ってるワケじゃないのよ」 「あなたのことを心配して言ってるの」 「だって、考えてみて?」 「私のコト、誰かに報告したとして、あなたに一体どんなメリットがあるって言うの?」 「ここの主人……あんな金に目のくらんだ、ケチなタヌキオヤジが、感謝の気持ちなんか持つわけがないわよ」 「どうせいいことなんかない。任務を受けた私はそのことを誰よりも知っているわ」 「だから、ね? 私と楽しいことしたほうがずっといいと思わない?」 「ちゅ……ほら、こうやってキスをして、舌を絡めて……でも、これだけで終わらせる気なんて可哀相なこと、私はしないわ」 「あなただって知っているでしょう?」 「忍びの仕事は主に諜報と暗殺……」 「腕力に劣る私たちくの一が、存在する意義は何かってコト……」 「ほら、だからあとはあなたが決めて?」 「タヌキオヤジに報告するか、それとも――」 「……ふふ。契約成立ね」 「じゃあ、あなたの部屋に案内してくれない?」 「この屋敷の中にあるんでしょう? あなただったらバレないように出来るはず」 「そして、誰の邪魔も入らないところで、一緒に気持ちよくなりましょう?」

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