プロローグ
こんにちは兄様、久し振りね
な、何驚いた顔してるのよ?
今日遊びに来るってこの前電話した時に伝えておいたはずだけど?
その顔…忘れてたんでしょう
まったくもう…これで兄様と都合が合わなかったらどうする気?
むー…本当に反省してる?
これだから兄様は…今度から大事な事はカレンダーにでも書いておくこと…いい?
いつもの絢で安心したって…誰のせいなのよ、もう…
んっ、ううん!…という訳で、明日まで兄様の所に泊まらせて貰うんだけど、いいのよね?
ええ、ちゃんと着替えとか持ってきてるから大丈夫よ
それじゃ、失礼するわね
お邪魔します…
へぇ…意外と綺麗にしてるじゃない?
ふふ、分かってるわよ
これ、全部姉様の仕業なんでしょ?
先月大掃除をしたって聞いてたけど、本当に兄様は姉様に甘えてばっかり
これくらい、一人暮らしをするのなら、最低限出来なきゃダメじゃない
何よ…私は姉様と違って甘やかしたりしないだけですっ
まったくもう…外ではしっかり者とかよく言われてるけど、自宅での生活ぶりを見たら皆失神するんじゃないかしら
そういえば、兄様…
先月、亜凛姉様が遊びに来た時、何をしていったの?
大掃除…じゃなくて、それ以外のことっ
え?耳掃除…?
身の回りのお世話をしてきたって言ってたけど、そんな事まで…
姉様…抜け目ないわね
う…兄様も兄様で思い出しながらニヤニヤしてぇ…!
そんなに気持ち良かったのかしら?
ふぇ、即答!?
うぅ~…兄様の…兄様の…バカぁ!
私だって姉様が抜け駆けしなければ、一番に耳掃除してあげてたんだから…
それに実家にいた時、兄様の疲れを癒していたのは私の役
なのに、兄様は姉様を選ぶなんて…
こうなったら、兄様っ!
いい機会だし、私の方が兄様を癒す事が出来るってこと…分からせてあげる