Track 6
……これ?
これ?
そなた、いつまで呆けておる気じゃ?
……おやおや、ようやく目を覚ましたようじゃな。
このまま、いつまでも眠り続けるのではないかと不安になったぞ?
んん?
どうした、まだ呆けておるようじゃな。
未だに心は夢と現の境界線におるようじゃのう……これ、シャンとせぬか。
誠にこのまま眠り続けるつもりか?
邪魔でかなわぬぞ?
儂はもう十分に楽しませてもらったからのぅ。
これ以上は面倒じゃ……まだ留まるというのなら、邪魔にならぬ格好をしていてもらわねばならぬが……んん?
どういう格好か、と?
そうさなぁ……雀の姿などはどうじゃ?
それならばまた、別の楽しみもあるじゃろうなぁ。
空腹を満たす楽しみが……ククッ、戯れじゃ。
一時とは言え、儂を楽しませてくれたそなたをその様な姿にしたりはせぬよ。
……じゃが、それをも厭わぬと言うのであれば、儂としても……ん?
おやおや、そう急かしたつもりもないが、まぁよい。
慌てて出て、また道に迷うでないぞ?
うむ、目の前の道を社を背にして進むがよい。
何があっても振り返ってはならぬぞ?
誰に呼び止められようとも、誰に誘われようとも……足を止めたが最後、どうなるかは……ククッ。
特に、鳥居の合間を覗くでないぞ?
その先に、そなたの求むるモノがあろうとも、足を踏み入れてはならぬぞ……ただひたすらに、ただがむしゃらに、駆けてゆくがよい……。
さぁ、それではな。
そなたとの時間、楽しきものであったぞ?
……なんじゃ、まだ何か?
ふむ……そうじゃな。
現に戻れば、ここでのことは忘れよう。
夢であったのだと、自分を騙すこととなろう。
もちろん、儂のことも……どうした?
名残惜しいか。
ならばもう一度、儂に食われるか?
……雀となって、我が腹を満たすか?
……ククッ、ならばもう振り返るでないぞ。
まっすぐに、まっすぐに駆けてゆくのじゃ……決して振り返らず、決して鳥居の合間を覗き込まず……でなければ、そなたがどうなってしまうのか……儂にも、わかりかねるでなぁ♪