Track 3

03 プレイパート(製品版)_Blessing

「さあ……今のあなたなら、彼女の声を聞くことができるはず。……ええ、そうです、彼女の声。すでにハッキリと聞き取れるなら、それは、ちゃんと集中できているということ。やがて、彼女の存在も、シッカリ感じ取れるようになっていくことでしょう。だから、ほら、耳を澄ませて? 聞こえてくるよ、清らかな女神様の声が、あなたの近くから……ほら……(フェードアウト)」 「ワタシの声が聞こえますか? そう、この声……わたしのこの声に耳を澄ませて? さあ……あなたの魂の穢れ〈けがれ〉がどれほどのものか、これから確かめて差し上げます。これは『魂の計量』と呼ばれる儀式。この儀式によって善なる魂であると認められた者は楽園の道へ、そうでない者は浄化の道へと進むことになるでしょう」 「人の罪は魂に宿り、魂は心臓に宿るモノ……ゆえに、魂の善悪は、心臓の重さを計ることによって自ずと明らかになるモノなのです。ほら……あなたにも、罪の意識にさいなまれて胸が重くなったり、息苦しさを感じたりした経験があるでしょう? つまり、あなたは“罪の重さ”という感覚をすでに知っている。ふふ……その“重さ”はね、人間だけが感じることのできる特別な感覚なんですよ? それは、忘れることはできても、人の意思だけで消し去ることはできないモノ。そう、その重さは、意識できなくなったあともシッカリと魂に蓄積され、この神聖な儀式のために厳重に保管され続けるモノなのです」 「この審判の儀において心臓の重さを計るのに用いるのは……金の天秤と、地上を走る大きな鳥の羽根が一枚。あなたたちはその鳥のことを“ナ・アーマ”、もしくはオストリッチ、あるいは、ダチョウなどとも呼ぶそうですね? そうした呼び名はともかくとして、その鳥の羽根の一枚分の重さが人の善悪の境目を定めるモノであることは、古今東西を問わず、人の世において古〈いにしえ〉より変わらぬ確かな理〈ことわり〉……悪なる魂は羽根よりも重いモノとなり、善なるそれは軽いモノとなるのです。どうしてそう言い切れるのか……それを人の理屈で考えるのは無意味なこと。だって、人も、魂も、鳥の羽根も……善も、悪も、罪の重さも……すべては、ワタシたちが『そうあるべし』と作ったモノ。だから、その基準を疑う余地など、どこにもありはしないのです」 「さあ、あなたの魂は何れなるものか……それを確かめるために、ほら、あなたの胸の上に天秤を置いて差し上げます。この、金色に輝く太陽の天秤。この天秤を、あなたの胸の上に置く。けれど……ほら……その重みや存在を感じたとしても、決して息苦しくなったりはしないことがすぐに分かる。そう、その重みを感じることが出来なくても構わない。ただ、あなたの胸が鼓動し続けていれば、それでいい。けれど、あなたがそうしたいのなら、自分の胸の鼓動に意識を向けてみるというのも良いでしょう」 「胸の鼓動……そのリズムの奥深く……胸の中心のずーっと深くには、あなたの記憶のすべてが眠っている。天秤はそれを吸い上げて、左の秤に乗せていく。……右の秤には、羽根が一枚。あなたの胸がリズムをいくつか刻むごとに、天秤は、その左右の何れかにカタリと傾く。善なる者は右へ、そうでないものは左へ……ほら、右へ……カタリ……左へ……カタリ。ただ身を任せているだけで、あなたの胸の上に乗っているその天秤は、ウソ偽りなく、あなたの価値を計ってくれる」 「眠っている記憶、その奥深くに沈んでいるものまで……生まれてから今までのあいだに、あなたが感じた罪の重さの記録を、全て、スーッと掬いあげていく。心臓が何度か脈打つたび、天秤の秤〈はかり〉はどちらかに傾く。右か、左か……それは、人によって様々……だけど、(クスクスと笑って)あなたは、もう分かっているのではないですか? それとも、自分のことを善人であるとお考えなのでしょうか? ふふ……それはそれで面白いお話ではありますが……しかし……もしもあなたが“快楽”を求めていて、それを得たいがために『自分は善人である』と思い込もうとしているなら、それは誤った考えであると言えるでしょう」 「善なるものと認められ、楽園の道に至ること――確かに、それは最上の“祝福”に違いありません。しかし、それは最上の“悦び”ではないのです。だって……考えてもごらんなさい。快楽という欲に溺れた人の姿と、それから解放された人の姿……いったいそのどちらが“善なる者”に見えるでしょうか? ふふ……そう……言うまでも無く、快楽〈けらく〉とは、まったき悪。欲望とは不浄なる物……そうであるからこそ、人はそれを吐き出す行為に強く惹かれ、その瞬間には最高の悦びを感じるのです」 「だから、カタリと……ほら、また左に天秤が傾いたけれど、あなたはそれを喜んでも構わないのですよ? 天秤が左に、魂を乗せた秤の方に傾けば傾くほど、あなたは悪しき者であると認められたことになる。そうなると、もう楽園の道へは進めない。ふふ……けれど、その悪を……欲望という悪を、外へと放ち、清めること……それは、とてもとても素晴らしい感覚なのですよ?」 「人は、絶頂に達することを“昇天する”と言ったりもするそうですね? ……面白い話です。だって、あなたがこれから登り詰める先にあるのは本物の楽園ではないのですから。言うなればそれは、イメージだけで作られた“人の楽園”……文字通りのユートピア。……ふふ、本物の楽園に快楽なんて不浄なものは存在しない。それが満ち満ちているのは、悪しき者の道……そう……絶頂とは、偽りの楽園にスーッと入っていく感覚のこと……」 「だから……天秤が左へ傾けば傾くほど、あなたがこの計量ののちに与えられる快感は強いものになっていく。自分の魂の重さ、罪深さを自覚すればするほど、それだけ深く、悦びは蓄積されていく。そう、天秤が左へ傾けば傾くほど……キリキリと引き絞った弓から空に向かって放つ矢のように、のちに齎される〈もたらされる〉浄化の快感は高まっていく」 「ほら、あなたの胸の上に置かれた天秤が、今どちらに、どれぐらい傾いているか……分かりますか? ふふ……感じようとしてみても構いませんよ? 自分の体の左側と右側、そのどちらの感覚がよりハッキリしているかで、自ずと、だんだん分かってくるでしょう。金の天秤……右には鳥の羽根、左には胸の鼓動。さあ、しばらくのあいだ、その秤〈はかり〉の傾きを意識しながら、そのときが来るのを待っていましょうね?」 「ああ、ところで……『魂の浄化』とはどのようなものなのかというお話は、もうしましたっけ? どうやってあなたから“穢れ”を抜き出すのか。……そうですね、ひとつ、良いことを教えて差し上げましょう。……あなたの穢れは、もっとも清き存在によって抜き出されるの。もっとも清き者……それは誰だか分かりますか? ン~? ふふ……そう……あなたを清めるのは、このワタシ。ワタシのこの永遠の純潔の中で……(『ンン……ッ』と短く喘ぎと笑みを零して)……ねぇ? ……この清らかな内側に、空っぽになるまで、罪と欲望をたっぷりと……ふふ……そう……そうやって想像すると、ほら、また左に、カタリ……天秤が傾いてしまいましたね? ン~? いったいどんな想像をしたのですか? (微笑んで、囁き声でからかうように)……いいんですよ、たくさん期待しても」 「いいえ……むしろ、その不敬な想いや感情こそ、ここでしっかり出し切ってしまわないといけません。だって、それが穢れの元ですものね? あなたの魂に染み付いたその悪を……そう、その欲望という悪を、一滴残らず、徹底的に……ふふ……ほら、穢れを全て出し切るために、ここで、あなたの中にある欲望をシッカリと浮き上がらせておきましょう?」 「耳の穴から溢れ出るぐらい、頭の中を淫らな思いでいっぱいにする。うーん……それには、どうすれば良いのでしょうね? 例えば……ふふ……このお耳をネットリ愛撫して差し上げれば、そうなりますか? ……ねぇ? このお耳(囁き声で)……試してみますね? ほら、こうして……よられをいっふぁいためてからァ〈涎をいっぱいためてからぁ〉……ンッ、(耳ちゅぱ)」 「ん、ぷぅ……ふふ……わたしの純潔との交わりは、これよりも、もっともっと幸せを感じることができますからね? 純潔……交わり……幸せ。ふふ、いいえ……穢れたあなたの魂に合わせて言い換えて差し上げましょう。ほら……聞いて? いい? 女神のトロットロのオマンコにズッポリ包まれて、汚れた欲望をぴゅくぴゅく搾り出されるのはァ、ンン、こうひてェ……(耳チュパしながら)ンン、耳をネトネトにされるよりも、もっと、もーっと幸せでェ……ンン……幸せで、幸せで、幸せ過ぎて……幸せが止まんなくって……ンン、ぱぁ……(耳チュパを止めて)ふふ……うんとたくさん、いーっぱい、この頭の奥で、『気持ちいい、気持ちいい……ッ』って、なっちゃうんですよ?」 「だから……期待しちゃっても構いませんよ? ほら……お耳……気持ちいいですか? 声だけでもゾクゾクしちゃう? ねぇ? (眠っている相手に囁きかけるような声色で)……もうすぐですよ? ほら、もうすぐ……ふふ……あと三回左に傾けば、それで魂の計量はお終い。そこから先は、ずーっと……真っ白な状態になるまで、たっぷり浄化して差し上げますね。だから……それまでに、いーっぱい欲望を浮き上がらせて、グチュグチュにふやけさせておきましょう? ほら……」 「(耳たぶを噛んだような状態で)……あと二回。もうすぐ、もうすぐ……ふふ……ンン……ッ」 「ンン……ぱぁ……(耳チュパを止めて)ふふ……あと一回。さあ……次に天秤が傾くと、あなたの頭の中で何かが弾け、肉体から押し出されたあなたの魂は、深い場所へ、ゆっくり落ち始めるよ? 最初はとても緩やかで、落ちていることに気が付かず、ただ、ちょっと空気が重たくなったような感覚がするだけかもしれない。だけど、だんだん分かってくる。加速し、やがて一気に、スーッと落ちる。落ちて、深く、深く、入っていく。快楽の海に、欲望の砂漠に……ワタシの内側に……深く、深く、沈み、入っていく。ふふ……これから始まるのは魂の浄化。女神の純潔との交わり……」 「あなたは全てを委ねてもいいし、最後まで抵抗してみてもいい。そう……感情の高ぶりに身悶えしてもいいし、涙を流してだらしなく喘いでもいい。どういう風に振舞っても、ワタシは、その全てを受け入れる。もしもあなたがそう望むなら……深く、魂の奥底まで。そう……あなたがそれを望むのなら、ワタシはあなたの全てを受け入れる。ワタシは、あなたの本当の姿を知っている。あなたの真の価値を知っている。だから……ワタシはあなたに、あらゆる種類のYESをあげたいの。さあ……もうすぐですよ。もうすぐ……最後の一回……あなたの胸の上にある金の天秤が傾く。その音が……ほら、カタリ」 「その瞬間――パチンッ! と何かが弾け、広がっていく。広がったその音は反響し、あなたの元へと戻ってくる。……戻ってきたその音が、あなたの頭の中にある何かと弾け合い、またスーッと広がって行くの。ほら、振り子が別の振り子にぶつかって弾け合うように、戻ってきた音が、あなたの頭の中にある何かを強く弾き出す。スーッと、遠くから戻ってきた音が、ほら、あなたの頭の中にある何かに――」 「――パチンッ! とブツかり、また広がる。弾き出された何かも一緒に、ほら、スーッとどこまでも広がっていく。音が広がる。広がった音は反響し……そう、時間をかけて、あなたの元に戻ってくる。そうして戻ってきた音が、また、あなたの頭の中にある別の何か押し出すよ? ほら……音がスーッと戻ってくる。戻ってきたその音が、あなたの頭の中にある何かに――」 「――パチンッ! とブツかり、弾け合う。弾け合った音はスーッと広がり、反響する。広がり、反響し、戻り、弾け合う。寄せては返す細波〈さざなみ〉のように、何度も何度も繰り返す。音が広がり、反響し、戻り、また弾け合う。スーッと広がる。そう……そうです……広がっていく音を耳にしていると、あなたの無意識は、ワタシの存在を捉えることができるようになる。まるでコウモリのように、音の波を通じてワタシの存在を感じ取ることができる」 「ほら……また、パチンッ! と弾けて広がっていく音の波……それは、あなたの魂が肉体から離れる音。でも、肉体の感覚が消えないと苦心する必要はありませんよ? 肉体の感覚はそのままに、魂が音に釣られて抜け落ちる感覚を意識できるようになれば良いのです。魂が離れるという感覚は人によって様々……例えば、幽体離脱するように肉体がスーッと遠くへ離れていく感じなのかもしれないし、半透明の別の体が重なっていて、肉体がダブッて感じられるのかもしれません。すぐに感じるのか、だんだん感じ始めるのか、それも、ワタシには分からない」 「ただ……あの音がするたびに、あなたの魂は、徐々に、徐々に、肉体から弾き出されていく。ほら、音が、パチンッ! と弾け、辺りにスーッと広がり、反響する。その音の波……あなたの魂の音色が、ワタシの体の輪郭をフッと浮かび上がらせる。一瞬だけ夢の中に深く入って、心地よいまどろみの世界を垣間見るように……だんだん、少しずつ、無意識から意識へとワタシの存在が伝わっていく」 「ほら、パチンッ! と、音が弾けて広がる。魂がスーッと抜け落ちていく。音が弾け、魂が抜け落ちる。それを繰り返していると、あなたは、自分の肉体に何か変わった感覚を覚えるかもしれません。例えば、全身がズーンと重くなっていく感覚。あるいは、フーッと力が抜けて、深く、深く、沈んでいく感覚。もしくは、自分の肉体の輪郭が曖昧になっていく感覚なのかもしれません。感じ方は様々……だけど、どのような感じ方であれ、パチンッ! と音が弾けて広がり、魂がスーッと抜け落ちるにつれて、あなたはワタシの存在が近くにあるということを理解できるようになる。時間をかければかけるほど、肉体の感覚は変化し、ワタシの存在を確信できるようになっていく」 「だけど……ふふ……そうですね、まずは少し曖昧なぐらいにしておきましょうか? 時間をかけて、ゆっくり感じていけばいいですからね? さあ……あなたの硬く屹立〈きつりつ〉したその欲望を、ワタシの純潔の中に招き入れて差し上げましょう。ほら、こうして跨って……ンン……いいですか? いきますよ? ゆっくりと腰を落として……ワタシの中に……ほら、ズブズブズブ~っと(幸せそうな吐息と微笑み)」 「深く……深く……入っていく。温かな湯船に沈んでいくような感覚。懐かしい感覚。そう、深くて温かな沼地に入っていくみたいに……ズブズブ、ズブズブ……沈んでいく。……深く深く、繋がっていく。ふふ……ようやくたどり着きましたね? これまで、よく頑張りました。……いいえ、この数十分のことだけを言っているのではありません。あなたの魂が、今、こうしてワタシと深く繋がり合っているのは、もっと以前に端を発する“運命”……ですが、もしもあなたが“因果”だとか“運命”という言葉がお嫌いなのでしたら……これからあなたに分け与える愛と安楽のひと時は、女神のちょっとした気まぐれによるものだとお考えになってもいいんです。そのほうが受け入れ易いのなら、それでも構いません。必ずしも盲目的に追従したり、身も心も服従したりしなくちゃいけないわけではないの。そう……あなたはワタシとの関係や、自身の置かれた状況を、自分の受け入れ易い形にして捉えることができる。もちろん、ワタシに全てを任せてしまっても構いません。すべては、あなたの望みのままに……ふふ……」 「さあ……難しい話はこれぐらいにして……ほら、宴を再開しましょうね? せっかくのお祭なのですから、もっと酔いを楽しむと良いですよ? 祭の活気と共に杯〈さかずき〉を傾ければ、ほどよいその堕落の風味に、身も心も柔らかくなっていくことでしょう。肉欲に流されるのは悪いことではありません。それを習慣にしない限りは……ね(クスクスと、ちょっと意味深な微笑み)」 「そう……今宵は、まさに打ってつけの日。あなたの穢れを浄化するのに、これほど良い機会はまたとないでしょう。さあ……喧騒に耳を澄ませてごらんなさい。そうすれば、あなたはだんだん思い出せるようになっていく。自分の周りには、何人もの美しい女たちが寄り添っているのだということを……」 「ほら、彼女たちはワタシとの交わりを、より良いものにしてくれるようですよ? あなたはワタシの純潔の中に穢れを吐き出すことにだけ専念すれば良い……どれだけ敬虔な心をもって望むのかは、あなた自身が決めて構わない。繋がった幸福を堪能するだけで満足しても構わないし、人の品性を忘れ、得られる限りの快感を夢中になって求めても構わない」 「ふふ……遠慮は要りません。永久〈とわ〉に処女であり続けるワタシの身は、あなたにどれほどの穢れが溜まっていようとも、その全てを、最後の一滴まで絞り尽くすことができるのです。だから、あなたはあなたの心が望むままにしていいの。ワタシの前では子供のように振舞っても構わない……あなたがそう望むなら、ワタシは、その全てを受け入れて差し上げます」 「さあ……女たちがあなたに語りかけてきますよ? 気になるのでしたら、そちらに耳を澄ませて聞いてみても構いません。(冗談っぽく、スネた調子で)でも……あんまり彼女たちのほうにばかり意識を向けていたら、ちょっぴり嫉妬しちゃうかも知れませんけど……(クスクスと笑う)」 「女神との交わり……深い深い、精神と肉体の繋がり。その温かな内側の感触に、あなたは興奮しているの? それとも、不敬なことだと萎縮しちゃってる?」 「ただジッとしているだけで、気持ち良くなっていく。この心地よさの先にある絶頂の瞬間を想像するだけで、あなたは深く深く、幸せを感じることができる」 「さあ、もっともっと酔いしれましょう? だって、この祝い事の名は『酩酊祭』……酔って楽しむのが正しい姿。ほら、こうして……私が飲ませてあげる。テーベのワインは、女神をも酔わせる血のイミテーション。酔えば誰しもが同一の存在になり、神との境目さえ消える……」 「顎の力を抜いて? ふふ……私たちはあなたの無意識に語りかけている。だから、あなたの意識は不思議な感覚を覚えるかもしれない。そう、例えば、自然と顔が上向きになり、口がポカーンと開いてしまう……そんな感覚」 「あなたの頭の近くに私が居て、その私に、お酒を口移しで呑まされている。ふふ……しばらくすると、そんな感覚に気がつくことができるかも知れないね? さあ、顔を少し上向きに、お口を軽く開けて? ……ほら、ンッ――(唇を重ねる)」 「気がつかなくても構わない。ブドウ酒がスーッと喉を通り、胃に落ちていく。ジワーッと温かさが胸に広がる。その熱は、だんだん、あなたの意思を麻痺させていく。麻痺しちゃうんだから、気がつかなくても仕方がない……そうでしょう?」 「(重ねていた口を離し)ン……ふふ……もっともっと酔わせてあげる。気持ちいいだけになっちゃおうね? ほらぁ……今度は女神様が、特別なお酒を与えて下さいますよ? 体をフニャフニャにして、閉じ込められている魂を解放する……そんな、神様たちのステキなお酒……」 「それは、太陽神の頭痛を癒した鎮痛剤。ケシの実を混ぜ合わせた特製のエール。さあ、分かち合いましょう? ……その苦味は、酒の泡〈あぶく〉に紛れて分からない。たった一口で、あなたは最高の瞬間まで、ずーっと酔い痴れていることができる。ほら、杯に注がれた液体の半分を、まずは女神様が――」 「(こくこくとお酒を呑んで)――ふぅ。ふふ……残りの半分は、あなたに。ほら、ワタシが呑ませて差し上げます。さあ……口を開けて? ンッ……(と、杯の残りを口に含む)」 「口を開け、顔を少し上向きに。すると、女神様のお顔がスーッと近づいてくるのが分かる。あなたの胸に豊かな乳房が押し付けられて、全身が密着した状態……さあ、豊満な肉体に包まれながら、キスの愛撫と共に、その美しい唇から溢れ出す特別な酒の雫を授かりましょう?」 「自然と流れ落ちてくる。スーッと、酒の熱さが胸のほうへ……そこで胃液と混ざり、それは全身へ瞬時に広がっていく。あなたが呼吸するたびに、熱は広がる。それは、不思議な感覚に変わるかもしれません。魂が膨らむような、自分の存在が膨張するような、とてもとても素晴らしい感覚に。ほら、体の内側から何かがフーッと膨らんで、外へ、外へと……だんだん、だんだん」 「(キスを終えて)……ぷぅ。ふふ……可愛いお顔。もうちょっとこのまま、抱きついていても構いませんか? ンン……こうして、あなたの胸に耳を当てて……ふふ……トクトク、トクトク……この鼓動を聞いていると、何だかとてもホッとします」 「とても清々しい気分……深い深い幸福感。全身の肌がだんだん火照ってポカポカしてくるかもしれませんね? 何だか温かくて、幸せな気分……ほら、女神様も、あなたを取り囲んでいる私たちも、皆、幸せそうにクスクス笑ってる……ふふ……ねぇ、分かりますか?」 「ふふ……幸せで、体がムズムズしたり、つられて笑っちゃいそうになったり……そんなときは無理にジッとしようとせずに反応してもいいんだよ? あなたがそうしたいなら……身悶えしたり、笑みを零したりしても構わないの」 「幸せを表現するということ、表に出して見せるということ。自分が幸せであると周りにアピールすることは、排泄欲を満たす行為に等しいもの。だから、それはとっても気持ちがいい。気持ちがいいんだから、そうしたくなるのは当たり前。そうしないと、心が幸せで膨らんだままだから、何だかムズムズしてしまう」 「そう……だから……ほら、皆に合わせて表情を緩めてもいいんですよ?  あなたがそうしたいなら、そうしても構わない。幸せ、幸せ……女神様の愛を感じて、全身が幸せ……」 「あったかい♪ ぽかぽか……幸せ、(幸せそうな吐息をついて)ンン……ふふ、幸せ……」 「幸せ、幸せ……女神様があなたの上に跨っていて、周りには、あなたのことを理解してくれる者だけがいる。あなたを愛し、あなたの愛を受け入れてくれる。それが幸せなことだって、ひょっとしたらもう気がついているのかもしれないし……ふふ……まだ胸がぽかぽかと温かくなる感じがするだけなのかもしれないね?」 「じゃあ……そろそろ、動かしていきますね? ふふ……あなたも一緒に動いてもいいし、ジッとしたままでも構いませんよ。ほら、まずはこうして、腰を少しだけあげて……それから、フッと力を抜く。すると、ほら……重力に引かれるままに腰が落ちて……ンンッ……ふふ……また、ワタシの純潔の奥深くへ沈んでいく。さあ、繰り返すよ? ほら……1、こうして腰をあげてから……2、フッと力を抜いて……ンンッ……ふふ……あなたをワタシの奥深くへと沈めていく。そう……1で腰をあげて、2で力を抜くからね? ほら、はじめるよ? ンンッ、いーち……にーい……いーち……にーい……ふふ……1……2……1……2……」 「無数の微笑みと愛情に包まれて、ポカポカ、ふわふわ……幸せな気分。ジワーッと熱が広がっていく感覚。熱いスープを飲み込んだように、胃の辺りから全身へ。幸せ、幸福……そんな温かな感情が、ゆっくりと積もり、大きくなる。膨らんでいく。だんだん息が荒くなったり、興奮しはじめたりするかもしれないね? ほら……まだ大丈夫? それとも、もう弾けてしまいそう?」 「ふふ……はじめの快感は、小さめに……ゆっくりゆっくり、楽しみましょう?」 「弾けちゃう? どこが? 何が? ふふ、分からない……そう、分からなくても構わない。何かが弾けそうになっても、あなたはそのことに気がつかないかも知れないし、この言葉の意味さえ曖昧なものに感じているのかも知れない。でもね……それでいいんですよ? ねぇ……それでいいんだもんね? こんなに幸せなら……言葉の意味なんてどうでもいい。……そんな感覚」 「どうでもいい。もしかすると、何か冷たいものが背筋を走りぬけていくような感覚を覚えるかも知れません。旋毛のあたりから、冷たい霧のような白くてモヤモヤしたものが、勢い良くフーッと噴出す感覚……だけど、そんなのはどうでもいいこと。……ここまで深く沈むことのできたあなたにとって、ひとつの変化を感じ取れるかどうかは重要なことではないんです。何をどうしようと、あなたはちゃんと幸福感に満たされていくし、その“幸せ”はまだまだずーっと続くのだということも、ハッキリと理解することができるから……」 「そう……幸せ。『幸せが続く』という幸せ。ふふ……さあ、そのまま……スッキリ、綺麗に、搾り出してもらいましょうね? ほら、もうすぐ、もうすぐ……」 「ふふ……あなたの無意識は分かってる。だから弾ける音がすると、反射的に体がビクンっと反応しちゃうかもしれないね?」 「(絶頂が迫りつつあるのを隠しながら、穏やかに話し続けようと努めている感じで)さあ、こっちへいらっしゃい? ほんのちょっと頭の中がふわっとするかも知れないけれど、驚かないで? このまま、ンン……ッ、ワタシと一緒に……ッ、ほらぁ……おいでぇ……?」 「胸がドキドキして、もうすぐ来ちゃう……」 「いっぱい来ちゃう? それとも、少しだけ? ふふ……ほら、もうすぐ……」 「もうすぐ、もうすぐ、ほら……だんだん早くなる。早くなって、あ、あ……ほら、ほらほら……ッ!」 「幸せ、幸せ、幸せ……イく。イっちゃう。イくイくイく……ッ! ンン……ッ!」 「(思わず口にしてしまったように、小声で)――イく……ッ、(堪えようとするが溢れ出てしまったという感じで)んッ! ン、ン、ン……ンッ! あ、ダメ……イく、イくイくイく……ッ、あ、あ、あ……ンンンッ!! (最高潮に高まり、一瞬だけ息が詰まる感じ。その後、フッと弛緩して息を抜き、少しずつ呼吸と整えて)――ン、はぁ……んん……っ♪ ……ふふ♪ (と、『まだ物足りない』と言うように両目を細め、微笑を浮かべる)」 「――さあ、幸せの波は一度で終わったりはしませんよ? 水を湛えたグラスを揺らし続けたように、その波は徐々に徐々に高くなっていく。ほら、何かがリズムを刻んでる。ちゃぷちゃぷ、ちゃぷちゃぷ……あなたの精神を揺らしている。音を聞くと、その正体が分かるかも……」 「ふふ……きっとあなたは、最高に幸せな感覚に気がつくことができるでしょう。すでに彼女の中をだらしなく汚して〈けがして〉しまっているのなら……その不敬な行いへの罪悪感と共に、トロトロと温かさが広がる感覚を見つけ出すことができますよ? その感覚は、回数を重ねる度にハッキリ感じられるようになる。より素晴らしく、身悶えするほどあま~い快感になっていく……」 「欲望を女神の胎内に放つ度に、あなたの魂が宿る心臓の鼓動は穏やかになる。一瞬の高まりを見せてから、だんだん穏やかに、清らかに……鼓動と意識が同調するのが分かるかも知れませんね? 頭が冴えわたり、全身が敏感になっていくような感覚。永遠の処女との交わり……それを楽しむ自分はとても幸福なのだと自覚することができるようになっていく……」 「異性に魅力を感じる男にとって、自分だけの清らかな女性の中に欲望のすべてを解き放つ行為は快感に他ならない。それが女神との交わりにおけるモノともなれば、深い深い幸福を感じてしまうのは当たり前のこと。だってそれは、人の行う『肉体だけの交わり』ではなく、魂と魂の親密な繋がりをも含む特別なものなのだから……」 「そう……異性の胎内に性器を深く挿入すること、そうしたいと思う強い欲望……それは、人間同士では決して叶えることのできない『精神の同化』への渇望なの。人間同士では決して叶えられない欲求……人は、女の胎内から切り離されて外へと生まれ出た瞬間から、その帰巣本能の欲求に駆られ、生涯、それを背負い続ける。それが、人生の大半において、人間が性欲を抱え続ける理由なの」 「それは、誰しもが永久〈とわ〉に抱え続ける宿命。だけど、今のあなたなら……そう、今、女神の純潔と繋がり合っているあなたなら、その欲求を真に〈しんに〉解消することができる。あなたはもう、その術〈すべ〉を手に入れているの」 「最初のうちはうまく感じ取れなくてもいいし、すぐに感じ取ろうとしなくてもいいの。これから本格的に始まる女神との交わりは、あなたの欲望を全て吸い尽くすまで続けられるモノ。だから、ゆっくり待っていればいいんです。次第に強まり、現実味を帯びてくる刺激……その感覚を、あなたは楽しむことができる。あなたの無意識は、その準備がすでに整っていることを知っている……」 「まだハッキリとイメージできていなくても構わない。自然に、勝手に……それは、だんだん、あなたの意識に染み込んでくる。女神と交わる感覚は、人同士のそれとは少し違う独特のモノ。だけど、イメージしようと努力しなくても、あなたは勝手に理解しちゃうの。ふふ……そう……あなたの無意識が、あなたの意識に、少しずつその感覚を伝えてくれますからね?」 「ふふ……ドキドキしちゃう? 女神様も、少し興奮しているみたい。どうやら、あなたのことを、とてもお気に召したようですよ? ほら、ジッとしているだけで火傷しちゃいそうなほど、女神様の中はトロットロに熟していて……ふふ……何となーく、中のヒダヒダが蠢いているような感じがするかも知れないね? はじめはムズムズ……それが、だんだん気持ちよくなってくる。徐々に、徐々に伝わり始める」 「乳房の先端はツンッと硬く、繋がり合っている下半身は熱に蕩けたように柔らかい。その下半身の重みと、なめらかな肌の感触が、あなたの下腹部の輪郭に沿ってネットリ吸い付いている。だんだん感じ始める……彼女の肉体。彼女の存在。……ミルクティー色の肌。胸とお尻の母性的な丸み。汗ばんだ香りと、欲情を秘めた甘い吐息……その吐息をからめとるように、シットリと濡れた肉厚の舌が口内でゆっくり蠢くかすかな気配がする……」 「女神様の表情を感じ取ることはできますか? ン~? ふふ……彼女のその目を思い浮かべれば、感じ取れるかもしれませんね。……黒いアイラインに縁取られた両の目。そのアーモンド型の両目はスッと細められていて、睫毛の奥に隠れた瞳が、ヌラヌラとした妖しい輝きを見せている」 「あなたと彼女の精神は融合し始めているから、あなたの感情は彼女に伝わり、影響する。あなたが淫らな波長を発すれば、その分だけ、彼女も淫らな存在になっていく。そう……互いが互いを写す鏡となり、あなたたちの世界はどこまでも広がっていく。合わせ鏡……ハウリング。スーッと世界が広がっていく。それは、少し不思議な感覚かも知れませんね? 彼女の表情をイメージすれば、自分自身の内側に潜む感情を感じ取ることができる……その不思議な感覚を、あなたはどんな風に捉えるのでしょうか。自分に見つめられているような感覚? それとも、彼女の存在を自分の内側に……古く、懐かしい記憶の中に見つけたような、閃き〈ひらめき〉に近い感覚?」 「ねぇ、とっても興奮しちゃうよね? 純潔の象徴である女神が卑猥な言葉を発しながら、あなたと一緒に乱れてくれるとしたら。ふふ……互いの興奮が、互いの興奮を高め合う。そのことに気がつけば、あとは流れに身を任せるだけ。ほら、女神様があなたにぎゅっと抱きついてくるよ? その温かい抱擁であなたを包み込み、囁いてくれる……柔らかな言葉」 「その豊かな肉体からは、母や恋人、あらゆる女の象徴である“優しさ”が溢れて出している。あなたの首筋のあたりに、女神の神聖な息吹が……ふふ……ほら……彼女が言葉を発するたびに溢れてくるその熱い吐息が感じられるかもしれませんね。言葉の意味が分からなくても、気にする必要はありません。今はただ、その声の響きを耳に感じていればいい。ほら……聞こえますよね? 女神様のステキな声……」 「そう、それでいいんだよ? あなたはそのままで居て大丈夫……幸せを感じているあなた、不安を感じているあなた、喜びを感じているあなた、焦りを感じているあなた……人とは、常に相反〈あいはん〉する願いや感情を抱えているもの。だから、自分の思いをどちらか一方に決める必要なんてないの。人の感情や思考は、どちらか一方だけという状態には絶対にならない物。悲しみには喜びが、怒りには安らぎが潜んでいる。そう、意識と無意識は、光と影やコインの表と裏のように、簡単には切り離せない物……」 「この世には『対になる存在』をもたない不変なるモノはたったひとつしか存在しない。それは、あなたにとっての“あなた自身”……そう、あなたにとって、あなたの魂は永久〈とわ〉に変わらぬ確かな物。ふふ……よく分からないかもしれませんね? うんうん……今は、このお話が理解できなくても構いません。答えや内容は重要ではなく、ただそれを求めて思考するということ……今はそれが重要なこと」 「ワタシのこの言葉があなたに届き、あなたがこの言葉の存在を捉え、この言葉の存在からワタシの存在を捉えること……それだけが、重要なこと。ふふ……さあ……あなたには言葉を介して伝わっているのでしょうか? こうしてあなたを抱きしめ、深く深く繋がり合うことは、ワタシにとって、とてもとても幸せなことなのだということ。そう……ワタシは今、とても幸せ……とってもとっても幸せなの」 「でも、それと同時に、『あなたも同じ気持ちでいてくれているのかしら』って……ほんの少し心配してもいる。そんな気持ち……あなたに伝わっているのかな? あなたと同じ気持ちでいたい、あなたを同じ気持ちにしてあげたい。だから……もっとずっと、さらに深く、濃密な幸せの中をあなたと一緒に漂い続けたい……そんなことを考えていると、ほら……まるで太陽に照らされた砂漠の砂か、炎天下にある大理石のように、ワタシは、ワタシの全身がじんわり熱くなっていくことに気がつくの」 「意識が陽炎のように揺れて、頭が、だんだんボーっとして(熱っぽい吐息をこぼして)何だかとてもいい気分。あなたとこうして抱き合っていると、胸いっぱいに幸せが満ちてくるのが分かる。もしも今、わたしのこの声が甘えた響きになっているなら、それは(甘えた調子で)……ふふ、それはね? あなたを抱きしめていることに、深い深い幸せを感じているからなんですよ……?」 「ンン……ポカポカして良い気持ち。このステキな感覚を、あなたと共有できていればいいのだけれど……ワタシの体の重さや温かさ、ふんわりしたベッドに沈んでいくような深い安らぎ……それらが伝わったとしても、この気持ちまでしっかり伝わるのかどうか……ワタシにはよく分からない」 「でも、もっともっと密着すれば……そう……もっともっと深く繋がり合えば分かるかも。今よりも深く繋がって、もっともっと密着すれば……ふふ……ちょっと試してみましょうか? 熱を測るときのように額同士を引っ付けるの。ほら……こうして引っ付けて……(と、額を引っ付け、声を少し小さくし)ふふ……それから……この引っ付いている額の感触を互いに意識し合う感じ」 「そうすると……あなたはワタシの頭の重さを感じたり、ワタシの肌の温さを感じたりするかも知れません。あるいは、額がぼんやりとした光に照らされている感覚や、目の前でロウソクに火を灯したような感覚……そんな『光の存在』を感じることが多いようですが……ねぇ? あなたの場合はどうですか? ほら……少し額に意識を向けて、どんな感じがするか確かめてみて?」 「ん~、ワタシは……ふふ……温かさや光の感覚に混じって、あなたの感情や思考が流れ込んでくるのが、何となーく、分かる気がします。あなたも同じように感じているとすると、たぶん、ワタシのふわふわしたこの気持ちや……ンッ、そうですね……きっと今なら、この淫らな思考の断片も一緒に感じ取られてしまうかも知れませんね。それとも、この興奮は、あなたの方から染み込んできているものなのでしょうか? ふふ……そう……そういう可能性もありますね? 互いの思考や感情が入り混じり、ひとつになっていく……ええ、そうです……これは、そんな感覚です」 「あなたは次第に、ワタシがあなたと同じ気持ちでいるということを、まるで自分のことのように確信できる状態になっていくし、やがてはそれが、とても幸せなことなのだとも理解することができるようになっていく。あなたの幸せはワタシの幸せ、ワタシの幸せはあなたの幸せ。もしも“幸福”というものに共鳴周波数があるとしたら……それはきっと、ワタシとあなたとを繋いでいるこの魂の波長に、とてもよく似たものなのでしょうね? ふふ……そう……幸せの音色。それは多分、こんな音。ほら……だんだん聞こえてくる……魂の波長、幸福の元素……」 「耳を澄ませる必要はないかも知れません。なぜなら、その音は、あなたとワタシの心が震え合って奏でられているものだから。そう……それは、ワタシの心が愛しいあなたに感応し、音叉のように凛と震えて奏でられる音。ハァ……こんなにもワタシの胸が熱くなって……ほら、そこに宿る魂と思考の脈動が、あなたを……ううん、あなたを通じて、ワタシ自身を気持ちよくする。自分自身に向ける愛のこもった慈悲の心……“ジアイ”の境目は、とっても曖昧……」 「そう……あなたはワタシを愛しても構わないし、あなた自身を愛しても構わない。それはもう、どちらも同じ意味だから。だから……ねぇ? もっともっと、感じ合いましょう? “ワタシ”と“あなた”は、もう、ほとんど同じ意味の言葉……だから、気兼ねすることなんかないんですよ? ワタシとまぐわい、果てるのは、自分の手でするのと同じこと。自分の肺をコントロールできるように、あなたは、ワタシの体と心をコントロールすることができる。そう……それは、呼吸するのと同じぐらい簡単で、当たり前のこと。意識していないときは、ワタシが勝手に動いて気持ちよくして差し上げます。それは、眠っているときにも呼吸が繰り返されるのと同じ、当たり前のこと。ほら……こうして勝手に、ゆっくり動いて……(徐々に興奮を露にし、ところどころで短く喘いで言葉を途切れさせながら)ンッ……柔らかくて、温かくて、ネトネトしている内側の感触を伝えていく。これは呼吸と同じ、当たり前のこと……ンッ……だから、ほら……ンンッ……勝手に、動いてあげるね……こうしてぇ……ンンッ……ほらぁ……ア、ン、ンン……ッ」 「(ほんのり艶っぽい口調で)――しばらくのあいだ、繋がったまま動かさずにいたから……何だか蕩けてしまったみたいに、ちょっと感覚が痺れている感じ。あなたもそう? それとも、ネットリした感触を楽しんでくれている? ふふ……もしそうなら、とっても嬉しい。ワタシと同じで、まだ曖昧な感覚なら……それは、もっともっと嬉しい。……だって、同じ感覚でいるってことだもの。心が繋がりあっている証拠。心と体が、深く深く、すっかり蕩けてひとつになっているってことだもの」 「でも……ほら、こうして動き続けていれば、血の巡りがだんだん良くなって……すぐにまた、あなたを包み込んでいるワタシの感触が分かるようになりますからね? ……心の繋がりと、体の繋がり。どちらの感覚を先に深めていくか……その判断は無意識に任せてもいいし、あなたが自由に決めても構いません」 「さあ……どうしたいですか? トロトロォ~って、長く、ゆっくりとお漏らしし続けたい? それとも一気に、ちゅぽちゅぽ、吸い尽くされたいの? ふふ……慌てて決める必要はありません。あなたが決められないなら、無意識が……無意識でも決められないならこのワタシが、あなたの代わりに選んで差し上げます。あなたはただ、王様のように堂々としていればいいんです」 「今のあなたにとって、望んだ物が手に入るのは当たり前のこと。だってあなたは、女神と交わることのできる選ばれた存在だから。……女神と交わることができるのは、二つの国を統べる王のような、誰よりも尊き存在だけ。運命、因果……どう呼んでも構わない。大事なのは、あなたが今ここにいて、ワタシのこの声を聞いているということ。そう、あなたはワタシに選ばれた存在。だから……ほら、特別な交わりの中で、しっかりとその魂を洗い清めて差し上げます。快感という温かな波に揉み洗われ、穢れを、欲望を、深い深い沼の底に吐き捨てていく。そう……あなたが望むなら、枯れ果てるまでこうしていたって構わない……」 「あなたの欲望が流れ出ると、それはワタシの中に沈殿する。でも、それでいいの。ワタシはあなたのその心を、存在を、深く深く、愛し続けてあげたいから。人の欲望とは、延々と、眩しい太陽のように尽きることなく心の底から生まれ続ける厄介なモノ。だから、海が“沈む夕日”を受け入れ続けるように、ただ綿々〈めんめん〉と絶えることなく、何度も何度もあなたをワタシの中に受け入れてあげたいの。そう……それがワタシの望み。柔らかく、穏やかに……この抱擁の中で、ワタシの愛と祝福を……」 「ねぇ……受け取って頂けますか? (悪戯に微笑み、耳元で甘えるように)――ねぇ? 愛してもいいんですよね? あなたのこと……ン~? ……いい? ……ダメ? ふふ……あなたの体にも聞いてみますね? ほら……こっちのお耳さんに。……ねぇ? あなたのこと――(ほとんどかすれた囁き声になって「――愛してもいいよね?」)」 「ふふ……(『ちゅ……っ』と耳に軽くキスをひとつしてから)じゃ~あ……この頭の中で、『うん』とか『ハイ』とか、『愛してもいいよ』とか、いーっぱい言って欲しいなァ? ダメぇ? ……ねぇ? ワタシのお願い、叶えて下さいますか? いっぱい求められると、ワタシはとても幸せなんです。だから、ほらぁ……(「はむっ」と耳を食み、愛撫しながら)このままぁ、真っ白になるまれぇ、愛してもいいれすかぁ? ン~? ふふ……(耳チュパ)――ん、ぱぁ(と、口を離し)ねぇ……搾ってもいいんですよねぇ? ……ふふ」 「ほら、反対側も(「はむっ」と耳を食んで、耳チュパ)――ぱぁ……っ、(と、口を離し)ふふ、いいんですね? ン~? ……本当にぃ? いーっぱい愛しちゃうんですよ? ワタシのこと以外考えられなくなって、幸せいっぱいで、だらしのないお顔になっちゃっても……いいの? いいんですね? ……ふふ♪ うんうん、分かりました。あなたの声、いっぱい伝わって幸せです……」 「じゃあ、よく聞いて? あなたは顔を少し上向きにすると、ちょうど鼻先の近くに、あのペンダントの存在を感じることができるようになっているの。この先、もしも快感と幸福に溺れそうになって困るようなことがあったら、ただ、そのペンダントの揺れから意識をそらせばいいですからね? 穢れの浄化は止まる〈とどまる〉ことなく続くモノ。だから……ほら、最後にここで、しっかりと答えて見せて下さい。さあ……これからずーっと、あなたの穢れを搾り出して、ワタシの愛を注ぎ続けたいと思います。……本当に、いいんですね? ……ふふ♪ ハイ、分かりました。(可愛さに思わず抱きついてしまったような、嬉しそうな声をあげて)ンンッ♪ はーむッ、(と、耳を食む。耳チュパ)――ぷ、はぁ……ッ。(口を離してクスクス笑い、親しげな口調で)じゃあ……また動き始めますね? まずはゆっくりと……ほら……」 「ゆっくり上下に動き始める……女神様の体が、ほら……オッパイが、タプタプ揺れている。だんだん動きは速くなる。最初の祝福はすぐに、あっという間にやってくるかもしれませんね。祝福の絶頂を迎えた瞬間、何かが弾ける。そう……あなたの頭の中でパチンッと弾ける。それは、快楽の園へと登る第一歩」 「溶けたチョコレートがからみついたような粘っこい音。この音……ほら、聞いて? ねぇ? だんだん熱くなってきたみたい。内側の感触が密着して、くぷくぷ、ねとねと……粘っこい音。熱いかも知れないし、痺れた感覚があるかも知れない。その高まりが最高潮に達すると、あなたは清らかな世界へと登りはじめる」 「ふふ……もうイきそう? まだ? もうイっちゃう? 女神様はもうイっちゃいそう……ほら、清らかなお顔がいやらしく歪んでる。聞こえる? 淫らな息遣い……中がビクビク震えてる。(だんだん興奮して、相手を追い詰めるように早口になって)あなたにぎゅっと抱きついて、さあ、もうすぐイくみたい……ほら、もうイっちゃう、イく、イっちゃう、ほら、ほらほらほらぁ……ッ、ンンッ!」 「気持ち良さそうですね? ふふ……どう? 気持ちいい? 気持ちいいの? ンン、ほら、だんだん良くなってくるよ? 女神様の声が高まっていく。あなたの穢れを吸い上げて、どんどん高く、高く、高く、(だんだん興奮して、相手を追い詰めるように早口になって)ほら、女神様と一緒にイったら気持ちいいよ? 一緒にイく? イっちゃう? イっちゃおっか? ね? ほら……ほらほら、イくよ、イく、イっちゃう、あッ、あッ、あ……ッ!」 「(体を動かしながら、艶かしく笑みを浮かべて)ンン、いけない子……ほらぁ、感じて? 熱くて、トロトロで、だんだんスムーズに……ンン、ハァ、ン……ねぇ? 聞こえる? ほらァ……もっと聞いて……あ、あ……ッ、ねぇ、一緒に、一緒に……ほら、こっちきて、もっと感じさせて……抱きついちゃうね? ぎゅってするよ? ン、ン……ッ、ふふ……イくとこ見たい? それとも、このまま一緒にイっちゃう? いいよ、好きにしていいの、好きにして、好きに、ほら、もうイくね? イく、ンン、もうイく、イっちゃう……イく、あ、あ、あ……ッ! ンッ!! ほら、イくよ、イく、イくイくイく――(絶頂に、幸せそうに息を荒げて)ンン、ハァ、ン、あッ、あッ、あッ、あ、んんんん……ッ!!」 「(追い立てるように)――弾ける、登る、登っていく。体が浮き上がり、スーッと登る、スーッと、高く、高く、高く、幸せ、幸せ、幸せ……ほら、スーッと登る、登り続ける、そう……まだまだ続く。女神様は動き続ける、まだまだ、まだまだ……止め処なく続く」 「(追い立てるように)弾ける、輝く、目が眩む、白い、真っ白、登る、浮き上がる、スーッと。……落ち着く、安らぐ、穏やかになる。幸せ、幸福、温かい。どんどん登る、真っ白になる、つかえていた何かが抜け落ちて、フーッと頭が軽くなる。そう……まだ終わらない。もっと、もっともっともっと」 「あなたの魂は悪い魂。だから、全てを吐き出すまで、女神様は動きを止めてはくれないの。あなたの心の奥底から、穢れを、欲望を、ずっとずっと絞り続ける。ほら、動きはどんどん速くなる、激しくなる。抗えない。……抗えるわけない。そうでしょう? ン~? ふふ……」 「ほら――(少しサディスティックな口調になって)よーく聞いてね? 今、あなたはわたしたちに犯されてるの。だけど、イヤじゃないよね? 嬉しいでしょ? だって、気持ちいいから……気持ちいいって感じるようにされちゃったから……優しくレイプされて、喜んじゃうの。あなたは男の子だから、本気になった女には絶対に敵わない。そうでしょう? そうだよね? ……ン~?」 「急所を外部にさらした生き物が、その弱点を知られている相手に敵わないのは当たり前。ましてや、その急所を作りたもうた存在が相手ともなれば……ふふ……そう、女神様には敵うはずがない。……納得できた? ……できない? できた? ……分かんない?」 「ふふ……納得できても、分からなくても……ほら、これから女神様が、『絶対に敵わない』ってことを、しっかり教えて下さいますからね? さっきよりも激しく、ハッキリと、豊かなお尻を上下させて……」 「気持ちいい。幸せ。……ねぇ? (粘っこい口調になって、なるべく色っぽく)あなたがピクンっと震えるたびに、周りから笑い声が聞こえてくるの……気が付いてる? そう……あなたは思い出すかもしれないね。お酒の香りと、祭の喧騒を――」 「――そう。神殿の広間で、酒乱に興じていたのだということを。ほら、あなたの周りには、興奮に酔いしれた女が何人もいる。一人、二人、三人、四人……ふふ……わたしたちと女神様を入れると、全部で十四人。ねぇ……想像できますか? 自分に群がるその全員の体を同時に認識できたなら、きっと、とっても楽しいでしょうね?」 「ふふ……十四人に弄ばれる〈もてあそばれる〉ってことは、十四の舌先が全身を巡り、それと同じ数の柔らかな唇から無数の口付けを受けて、絶え間なく愛され続けるってこと。もしも、そのひとつひとつを感じ分けることができたとしたら、どんな感覚か(囁き声で「――イメージできる?」)」 「十四種類の吐息と喘ぎが混ざり合い、二十八本の腕と百四十本の指が蠢いて、熱く火照ったあなたの体を、ねっとり、じっくり、愛撫し続ける。ほら……女神様とあなたの交わりから熱がだんだん移り巡り、わたしたちのあいだに興奮が広がっていくのが分かりますか? ふふ……何人もの手と指、唇と舌の愛撫は次第に淫らに、執拗に……やがてあなたは、自分がオモチャのように扱われていることに気がつくかもしれませんね?」 「ふふ……そう……これから女神様とわたしたちが、あなたの脳と魂に、最高の絶頂の記憶を刻み込んでいく。あなたがそれを心の底から楽しめるように、ここでハッキリ伝えておくね? ――あなたの無意識には、自分の精神を守る機能が備わっている。だから、ここまでや、この先、あなたが言葉を何か聞き逃していたとしても問題ないの。高まり過ぎても、ちゃんと頭のブレーカーが働いて、あなたは穏やかに睡眠状態へと移行していくだけですからね」 「たとえ眠ってしまっても暗示が残ることは絶対にない。だから、自分がどこまで登ることができるか、思いっきり試してみても構いませんよ? ふふ……さあ、あなたの魂に快感と幸福を刻み付けてあげる。幸せの波は、1から10へと数字をカウントする度に打ち寄せる」 「1から10へと数字が増えて行くにつれて、打ち寄せる波は高く高くなっていく。あなたの感覚はかき乱されて、様々な思いが駆け巡るかも知れません」 「嬉しさに涙が溢れたり、胸がドキドキ脈打ったり、射精したいという強い衝動に駆られたり……」 「あるいは、お尻を無理やり犯して欲しい、射精して欲しい、虐げられたいという欲求の反転を感じて戸惑うこともあるかも知れない。けれどそれは、あなたの無意識が多義的な暗示の言葉をそういう形で受け取っていたというだけのこと。ちゃんと上手に出来てるから、そのまま身を任せていいの。ひょっとすると、思いもよらない感覚から、パッと頂上に抜けて出るかも知れないよ?」 「そう……それは、高いお山に登るのと同じこと。絶頂へと至る道筋はいくつもあるけれど、どの道を通っても、最後は必ず同じ場所に行き着くの。どこから登りはじめても、最後には同じ頂上へスーッと抜け出る。だから、あなたはどんな反応を示しても構わない。ただ感じたままに反応すれば、それでいい」 「そう、それでいい。そのままでいいの。ほら……女神様と、私たちと……いっぱい、いーっぱい愛し合いましょう? さあ……」 「ほら……いくよ?」 「全身の筋肉が緩んでいく。熱した〈ねっした〉チーズのように、とろーんと。砂漠のオアシス、その暖かい水の中で抱き合い、交わっている……そんな気分」 「雲ひとつない青空を望む。腰が上下するたびに穢れが流れ出し、オアシスの清らかな水に溶け込んでいく。ちゃぷちゃぷ、くちゅくちゅ、音がする」 「そこは、あなたとわたしたちだけの世界。だから、あなたは心の底から楽しむことができる。女神の肉体と精神を、わたしたちからの愛撫を……」 「上へと目指す。黄金色〈こがねいろ〉に輝く突端へ。額の中心から巡る金色の渦の中心へ……」 「ぐるぐる、ぐるぐる……登る、登る、登っていく」 「女神様の声が、あなたの頭の中を満たしていく。伝わり、影響する……真っ白な愛情が、あなたの中に流れ込む。思考が木霊〈こだま〉する……」 「イく、イっちゃう……幸せ、幸せ……」 「ほら、『出したい、イきたい、空っぽになりたい……っ』――ふふ、そうだね、早くイきたいね? イきたい、イきたい……ねぇ? イきたいでしょう? うんうん、いいんだよ……そのまま……そのまま……」 「ほら、もうすぐ来るね? もうすぐ、もうすぐ……ンンッ、早く10まで数えて欲しい?」 「『早く、早く、早く……ッ』――ふふ……イきたいよね? そう、もうすぐだよ、もうすぐ……」 「長くまっすぐな階段を駆け上る、天辺が近づく……何かを振り切るように加速する。どんどん早まる、高くなる。ほら、頭の中に言葉が流れ込む……ぐるぐる巡る、音が、声が、体が、ぐるぐるぐるぐる、渦巻いて……気持ちいい、気持ちいい、幸せ、幸せ……ッ」 「イく、イっちゃう、もうすぐ幸せの波が溢れ出す。渦巻く遠心力で、頭の天辺から……ほら、もうすぐ、もうすぐ……幸せ、幸せ、幸せ……ッ」 「次の数字と共にパチンっと音が鳴ると、頭の中で光が弾け、あなたの魂は、高く高く、太陽へと向かって加速する。お顔に眩しいライトをパッと当てられたような感覚がして、幸せと快感でいっぱいになる。……絶頂する。ふふ……ほら、もうすぐ、もうすぐ……」 「そう、もっと頭の中を言葉でいっぱいにして……イく、イっちゃう、イくイくイく……ッ」 「イくよ、イっちゃうよ、ハァ……幸せ幸せ幸せ、もっと、もっと、おねだりして?」 「もっともっともっと、幸せ、幸せ、幸せ……ほら、イきたいの? イきたい? オマンコで無理やり犯されながら、みんなに幸せなお顔を見てもらいたい? いいよ、ほら、頭の中を言葉でいっぱいにしてごらん? 『見て……ッ?』って……」 「そう、『イくとこ見てぇ?』って……」 「ほら、来るよ、来ちゃうよ? イく、イっちゃう……ッ」 「一気に駆け上る。スーッと高まる、ほら、気持ちいいのが来る、来ちゃう」 「スーッと登る。気持ちいい。幸せ。好き。愛してる。大好き、好き、好き好き好き……ッ!!」 「ンン……ッ! イくよ、きちゃうよ、イく、イっちゃう、ほら、ほらほらほら……っ!!」 「大好き? 愛してる? イくの? イっちゃう? 一緒にイく? 一緒にイこう? 一緒に、ほら、イくよ、来る、来ちゃう、ン、ンンッ! あ、あ、あッ、イく、イくイくッ、ほら、ほらほらほら……ッ!!」 「(早口で)――のぼる、のぼっていく、全身が浮き上がり、スーッと吸い込まれていく。真っ白になる。喜びが伝わる、流れ込む。重なる、溶け合う、ひとつになる。(ゆっくりと、穏やかな口調に変化して)……好き、大好き、愛してる。ンンッ、幸せ……幸せ……幸せ……ッ♪」 「(早口で)――スーッとのぼる、真っ白になる。震える、感じる……ほら、ほらほらほらッ! 幸せ幸せ、最高に幸せ。気持ちいい、気持ちいい、とっても気持ちいい。……トロットロで、あったかくて……ハァ……(と、幸せそうな吐息をひとつ付いてから、ゆっくりと穏やかな口調に変化して)ほら、ぎゅっと抱き合って、心も体もひとつになる。感情が流れ込んでくる。……大好き、大好き、好き好き、大好き……愛してる、愛してる……愛してるよ?」 「ふわふわ、ぽかぽか……温かくって、とっても幸せ……ふふ……いい子、いい子……ほら、ワタシと彼女たちの声が薄れていくのを感じても、あなたは悲しくならないの。あなたは、ワタシといつでもまた会えるってことを知っているから。そう……ワタシとあなたは、いつも一緒。“ワタシ”と“あなた”は同じ意味の言葉……それを忘れずにいることができれば、いつだって、また会うことができる。だから、ほら……快感の波が引いて、気持ちは穏やかになっても、あなたはしばらくのあいだ、幸せなまま……」 「さあ、そのまま……すっかり清められたあなたの魂は、スーッと、肉体へ戻っていくよ? この声が遠のくにつれてワタシの存在が薄れ、あなたは暗くて深いところへと落ちていくような感覚を覚えるかもしれない……けれど、大丈夫。……大丈夫だからね? さあ……そのまま、体をリラックスさせて……そう、そのまま……そのまま……聞こえてくる音色に耳を澄ませて? ほら、どこかで聞いたことのある音……懐かしい音色……宴の終わりを告げる鐘の音〈ね〉が……」 「(優しい口調で囁くように)……またね?」