イントロダクション
①~イントロダクション~
初めまして。まずは、貴方の元に私の声を届けられたことに、感謝を…。
私はこの夢幻図書館の司書・ソフィエル。当図書館の責任者を相つとめております。
私の仕事は、館内に収められた膨大な数のストーリーの管理。
それと、貴方のようなスペシャルゲストに、貴方だけの特別なストーリーを紡ぎ、提供すること…。
この図書館はね、ヒトの愛情と欲望を糧に維持され、そして成長する空間なの。
私の誘(いざな)うストーリーに身を任せ、愛欲のままにふるまうこと。
それがこの図書館の存在と発展に繋がる…そういう仕組みね。
あらあら?貴方の心が一瞬、さざ波立つのを感じたわ。
「愛欲のまま」という言葉に反応しちゃったの?
これからどんなことが自分の身に起きるのか、本能で感じ取ったのかしら…?
それは貴方のご想像にお任せするけれど、きっとご期待に添えるハズよ。ふふふふ…
あ…それからね、一つ覚えておいて欲しいことがあるわ。
私の提供するストーリーには、結末が書かれていないの。
だからどんなエンディングを迎えるのかは、私にも分からない…
結末は貴方の選択と、欲望の深さ次第…いえ、業(ごう)の深さに委ねられているという訳ね。
貴方の心が揺れて、動いて、乱れて、解放されて、
その果てにどんな感情が生まれるのか…
そして最後にどんな結末を選ぶのか…とても、楽しみね。
それじゃあそろそろ、館内に案内…あっと、いけないわ。準備がまだだったわね。
まずは、声に没頭できる環境を整えましょうか。
部屋の扉を閉めて、静かで落ち着ける、プライベートな空間を作りましょう。
ヘッドホンやイヤホンがあれば使って頂戴。臨場感が増すはずよ。
トイレはもう済んだ?室温は、適温に調節すること。
それから照明はできるだけ落として、ぼんやりと暗くするほうがいいと思うわ。
それと今回は、お花の香りを用意できるなら、好きなアロマを香りの届く距離に置いておくといいかもね。
準備が済むまで、少し待つわ。必要なら一旦音声を止めて、ゆっくり準備して…
<5秒空白を入れてください>
それじゃあ、お入りなさい。門は開けてあるから。
エントランスホールを抜けて、天井の高い廊下を進めば、メインホールよ。
私はそこで待っているわ…