Track 1
ふぅ~~、いいお湯だった……あら、兄さん。まだ起きてたの? え?
私こそこんな夜中にお風呂かって?
いいでしょう、夜の方が静かでゆっくりと入れるんだもの。
今日は髪を洗ったから、まだ寝られないし……あ、そうだ。
どうせまだ起きてるんでしょう? ドライヤーかけてぇ~?
ねぇ、お願い……くすっ、ありがとう!
ん~~、いい気持ち……え、なぁに? いい加減、パジャマをちゃんと着ろって。
いいでしょ、だって暑いんだもの。
せっかくお風呂入ったのに、また汗が出ちゃうじゃない。
胸元が見える?
なに言ってるの、兄さんだってお風呂上がりはバスタオル1枚でうろついてるじゃないの……私は女だろうって?
当たり前のこと言わないでよね。
私は生まれてこの方妹です~。弟になった覚えはないわよ?
だったら、パジャマくらい着ろって……んもう、家の中でくらい無防備でいさせてよ。
全裸でいるワケじゃないんだし。
兄さんだって別に、私の胸見てなにか思うことなんてないでしょう?
私だって、兄さんの胸板を見ても、なんとも思わないし……くすっ、そりゃそうだって?
ふふっ。だったらいいでしょう?
え……せめて下着をつけろ?
寝る時にブラなんてしないわよ、窮屈でしょう?
窮屈なのっ……ちょっと大きい方だから、した方がいいのも分かるんだけど。
あーぁ、なんでこんなに大きくなっちゃったんだろう。
子供の頃は、兄さんとかけっこだってできたのに、今はもう、走ると揺れて痛いのよね……体育の授業は仕方ないけど。
でも、体育の成績はいい方なのよ?
もちろん、他の授業だって……ふふっ、家事だって一通りできるしね。どう?
自慢の妹でしょう~。兄として喜ばしくない?
私は……こうして、ドライヤーをかけてくれる優しい兄さんを持てて嬉しいな。
だから、兄さんにも私のことを自慢に思ってもらいたいって思うよ……だから、頑張ってる。
少しでも、理想の妹に近づけたらいいなって思ってるんだけど……どうかな?
兄さんの考える、妹の理想像って?
……え? パジャマを着てる妹? んもう~~!
……そんなこと言って、兄さんがずーっと私の胸見てるの、気付いてるんだからね?
ふふっ……なんでもなーい。ありがとう、もう十分乾いたみたい。
代わりに、なにかして欲しいことある?
今のドライヤーの時間分くらいなら、なにか気持ちいいことしてあげてもいいわよ?
うん。気持ちいいこと、なんでも……ね?
くすっ……耳かき? それとも、肩揉んであげようか?
え、なぁに? 他になにか、気持ちいいことあるの?
もしかして、頭皮マッサージとか……。
兄さん、お風呂入った?
頭ちゃんと洗ってる?
私はお風呂上がりなんだから、ベタついてる頭なら触りたくないわよ?
頭皮のアブラとか、整髪料とかあるでしょ~~。
あははっ、ウソウソ。兄さんの頭はベタついたりしてないわよね~。
足の裏まで綺麗でしょう? あぁ、そうだ。足裏マッサージでもいいわよ?
私、得意だと思うな。
だって、私肩凝りすごいもの。ほら、この胸だから……大きいと、重くて肩凝るの。
だから、クラスの仲良したちといつも肩の揉み合いっことかしてるのよ……足は、たまにしかしないけど。
肩揉みは得意なのよ?
ほら、してあげるから、場所変わって……んしょ……わっ。固いっ。
兄さん、ガッチガチじゃないの~。仕方ないわねぇ……んしょ、んしょ、っと。
ねぇ、どう?
気持ちいいかな、私の……ふふっ、兄さんのってすごく固いのね。
私、すぐに参っちゃいそう。ん、んん……ほら、ねぇ?
こことか、どうかな……。気持ち良くない?
私の思い、ちゃんと伝わってる?
兄さん……あぁ、固い……兄さん……んん。ちょっと痛い……ゆ、指ね。
指が……固すぎて、んん、ふ~~っ。
あ……あはは、ごめんなさい。耳に息かかっちゃった?
だって、兄さんの肩凝りすぎてて、指が疲れちゃって……別に、わざと吹きかけたワケじゃないわよ?
まったくもう、いつもゲームばっかりしてるから、肩凝りひどいんじゃないの?
それか、テレビの見過ぎ……勉強しすぎかな?
ふふっ……とにかく、もっと体をほぐさないと。
またドライヤーしてくれたら、肩揉んであげる。もしくは……私の肩、揉んでくれる?
かわりばんこに揉み合いでもいいよ? でも、強くしすぎちゃイヤだからね?
でも、それはまた今度ね。今日はもう、遅いから寝る……私が朝弱いの知ってるでしょう?
寝不足だと、ボケーッとしちゃうの。寝ぼけクセもあるし、ね……。
それじゃあ、おやすみなさい、兄さん。あんまり夜更かししてたら駄目よ?
兄さんだって、朝に強い方じゃないんだから……いつか、寝ぼけて変なコトしちゃうかもよ……。