リラックスしましょう
あ、きたきた。こんばんは~。
あなたが、今回働いてくれる人ですね。
よろしくお願いします。
あんな募集内容で来てくれるなんて、
あなた…相当…
なーんて、失礼でしたね。ごめんなさい。
それでは、アルバイトの内容を説明しますね。
とは言っても、こちらのベッドに横になって、
私のいう事を聞いてもらうだけなんですけど。
言われたことを頭に思い浮かべて、
必要でしたら指示に従ってください。それだけです。
何も難しい事はありません。
あと一つだけ、お願いがあります。
こちらのお薬を飲んで下さい。
あーっと心配なさらないでください。
ただの睡眠薬のようなものです。
お水と、お薬を用意しましたので。どうぞ
飲んだら、楽な格好になって、寝転がって下さいね。
寒くないように、毛布等もご自由にお使いください。
それじゃあ目をつむって、リラックスしていきましょう。
私の指示に従って、深呼吸してくださいね。
すって~~~~~~~~~
はいて~~~~~~~~~
ただただ、リラックスして、私の言う事を想像してください。
想像するだけでいいんです。想像しましょう。
あなたは心は今、あなたの体の中にあります。
あなたの体を通して、あなたの心で思考しています。
あなたは、あなたの体の中にいます。
あなたと、あなたの体は、別の存在です。
あなたという心を意識してみましょう。
あなたの体の中に居るあなたという心。
いつもは、自分の手足を好きなように動かしていますが、
それはあなたという心が、体を支配しているからです。
右手を動かすことが出来るあなた。
左手を動かすことが出来るあなた。
右足を動かすことが出来るあなた。
左足を動かすことが出来るあなた。
いつでも動かせるように集中しているあなたも、
今日だけは、その集中を解いてみましょう。
体への束縛を解くことで、心も自由になります。
いつも緊張していたら、疲れてしまいますからね。
体から力を抜いて行きます。
まるで自分の操縦を諦めるかのように脱力します。
手を動かそうとしても動かせない。そのように想像しましょう。
足を動かそうとしているのに動かせない。そのように想像しましょう。
ただベッドの上で脱力しているあなたは、だんだんと自分の意志では体を動かせなくなります。
そのように想像してください。
まるで、自分の体を誰かに乗っ取られたかのような感覚がします。そのように想像してください。
あなたの体とあなたの心を分離させて、体と心を繋いでいる邪魔なものを切ってしまいましょう。
ふと気が付くと、意識をしていないのに深呼吸だけをしている自分に気づきます。
その調子です。自分の心を強く意識するのと同時に、さっきまで自分の体だったモノを他人のように感じましょう。
少し混乱しているようですが、だんだんとリラックスしてきましたね。心を強く持ったまま、話を聞いてください。
あなたの心と体を、完全に分離させます。
それだけではありません。新しい体を作りましょう。
あなたの心という大きな存在から、新しい体をもう一つ作るのです。
心が形作る精神体、いつも使う肉体は置いてけぼりにしてしまいましょう。
たまには休憩してもらわないと、疲れてしまいますからね。
今からするお仕事は、あなたの心にやってもらいます。
あなたの心は、もっと自由な、もっと軽い、もっともっと心地よい新しい体を作ります。
手を意識してください。
あなたの心はまだ大きな一つの存在ですが、
大きな心という一つの存在から、新しい右手が形成されます。
想像してください。青白く光る、あなたの新しい手を。
まだうすぼんやりとしているあなたの手は、動かしづらいかもしれませんが、ただそこにあると想像してみてください。
あなたには新しい足も形成されます。足だけではありません。体も、頭も、あなたはすぐに形成できてしまいます。
ぼんやりとしたイメージで大丈夫です。あなたの新しい体を想像してみてください。
どんな形でもかまいません。元の姿のようなイメージしやすいもので大丈夫です。
体のすぐ上に出来たあなたの綺麗な新しい体。今から私が自由に使わせていただきますね。
まだ、イメージ出来ないかもしれません。それでも、その体は私からは良く見えます。
まるで幽体離脱するかのように、ベッドの上には二つの体。
あなたのぼんやりとしたイメージで形作られたそれは、あなたの心が作った新しい体です。
少年のような穢れの無い姿をしています。あなたの心が作ったその体は、あなたの思うが儘に動かすことができます。
だってそれはあなたの心だから。心の中でイメージするかのように、新しい体は自由に動かすことができます。
ですが、今回のお仕事では、あなたの体は私にゆだねてみてください。
大丈夫です。あなたの嫌がるような事はしません。
あなたの心で、聞いてくださいね。
心をゆだねて、リラックスしてください。
自由に動かせるあなたの心を、あえて動かないように努めてください。
心を静止させましょう。形作られたあなたの心は、あなたの思い通りに動きを止めます。
少しだけ、その体をお借りしますね。あなたはリラックスしたままで居てください。
私が、あなたの新しい体にふれます。右手を持ち上げます。右手が持ち上がる感覚がわかりますか?
右手をゆっくりと置き、右足を少し持ち上げます。右足が動きます。元の位置に戻します。
その調子で、心の力を抜いてください。連動して体の方に力が入ってしまうかもしれませんが、動かしているのは心です・
ゆっくりと心と体を分けていきましょう。左足を持ち上げます。左足が持ち上がる感覚。元に戻します。
左手を持ち上げます。持ち上げたまま、ひじの関節を少し曲げてみます。ゆっくりと動く新しい体はどうですか?
首を少し前に傾けます。新しい体が見えますか?青白く光る、あなたの新しい体です。とてもきれいですね。
首をもとの位置に戻します。とてもリラックスできています。その調子です。元の体の上に浮遊しているあなたの新しい体。
今から場所を変えます。私が、あなたの心を別な場所へと運びます。
あなたは、ただリラックスして居てください。目はつむったままで居てくださいね。
力は入れずに、ただリラックスしておいてください。とはいっても、まだあなたに手足を動かすだけの力はありません。
時が来たら、私が動かせるようにしてあげますからね。
体を持ち上げられる感覚がする。誰かに持ち上げられている。
どこかに運ばれている感覚がする。
心が運ばれている感覚がする。新しい体が、運ばれる衝撃でふわふわとして気持ちが良い。
ふわふわ。ふわふわする。ふわふわ…ふわふわ…