01. 耳猫亭の店員さん
(ねこや):あら・・・あらあらあら、お客さんなんて珍しい
あのー・・・?いらっしゃいませ
ええ、うちはお店を営んでおります
うち・・・、うちですか?うちは耳かき屋でございます
名前も耳猫亭と言います
かわいらしいでしょ?うふふっ
ええ、こんな森の中なので人もあまり見かけませんし
なかなかお客さんがいらっしゃらないんですよね
こうして人が起こしになられたのは・・・
ああ、そうですね・・・半年ぶりくらいでしょうか?
ふふっ、長すぎますよね
だいたいここに訪れるのは道に迷われた方なんですけどね
あっ、もしかして?あなたも道に?ふふっ
まあ、立ち話もなんですから中にどうぞ
まあっ!あらあらあら、ご利用されます?
耳かきお好きなんですか?
もちろん歓迎ですが、うちちょっと変わってるって言われるんですよ
何が・・・と言われますと、いろいろとしかお答えようがないのですが
まあ、物は試しです
やってみましょうか
ちょーっとお待ちくださいね
私のほかにもいるので、ご挨拶させますね
うーん、助手・・・みたいなものでしょうか・・・
少々お待ちください
たまちゃん、お客さん来たんだけど
たーまちゃん
たーまーちゃん
(たま):お客さん?まーたまた、そんなことあるわけないじゃありませんか
こんな山奥に誰が来るっていうんですか?
そんなのは方向音痴の人間くらい・・って
あらま、いるし
(ねこや):あぁ・・・たまちゃん
その・・・こちらにいらっしゃるから、お客さんに謝ろうね?
(たま):ん?いやぁ・・・あのぉ・・・まさか本当にいるとは思わなくって
たぶんお客さんが来るのは半年ぶりくらいで
えっと、つまりその・・・すみません
(ねこや):まあまあまあ、優しい寛大なお客さんでよかった
改めましてお客さん、こちらたまです
(たま):たまちゃんと呼んでください
(ねこや):申し遅れましたが、私はねこやといいます
猫ちゃんでも、猫やんでも、猫っちでも、好きに呼んでいただいて結構ですよ
どうぞ、よろしくお願いいたします
じゃあたまちゃん、準備しましょうね
(たま):はーい
お客さん、履物はこちらに
お客さん、上着はこちらに
お客さん、お帽子はこちらに
(ねこや):注文が多くて申し訳ございません
実は・・・あまり慣れていないといいますか
えーっと・・・このマニア通りにやっているもので
あれ?えっと、マニア・・・?ああ、違う
えっと、なんだったかしら?
(たま):ねこやさん、マニュアルですよ、マニュアル
(ねこや):あぁ、そう!マニュアル
うふふっ、使い慣れていない言葉なんて言うもんじゃありませんね
そういうわけなんで
ちょーっと不慣れで申し訳ないのですが大丈夫ですよ?
ちゃーんとこの通りにやれば死にはしませんから、ふふっ
すこーし、お客さんへの注文が多いお店なだけです
あっ、もしやめるなら今のうちですよ?
ふふっ、いいんですね?
それではお客さん、お手数おかけしますが、隣の部屋に移動してください
また、後程・・・