06
お兄さん……お兄さん?
私の声が聞こえるでしょう?
そう、お兄さんはまだ、私の上げた快楽の中にいる。
ずっとずっと、そこにいたい。
ずっとずっと、そこにいていい……だけど。
もうそろそろ、起きなくちゃいけないみたいよ?
そうね、とっても残念。
だけどいいの。
お兄さんとはまたすぐ会えるわ。
えぇ、お兄さんが望んでさえくれれば、すぐにでも……ね♪
だから、今はもう起きましょうか。
さぁ、私の声を聞いて?
お兄さんを目覚めさせる、私の声を聞いて?
私の声に従って、体と、心を目覚めさせていくのよ……まずは、呼吸から。
少しずつ、少しずつ、息をたくさん吸い込んでいく……少しずつ、少しずつ、息をたくさん吐いていく……意識して吸うのよ?
たくさんたくさん吸って……意識して吐いてちょうだい。
たくさんたくさん吐いて……頭に、体に、空気をたくさん送り込む、送り込む……いいわよ。
それじゃ、呼吸はお兄さんのしやすいようにね。
次は、体を動かしていくわよ?
まずは、手。
手の指を意識して?
人差し指、中指、薬指、小指、そして親指……ぜ~んぶ動くわよね?
だったら、まずはピアノでも弾くように、指を動かしましょう。
指を上下に動かして、動かして。
最初はゆっくり、指を意識して、そして次第に早く、早く……強く、強く……指をモゾモゾと、ユラユラと、フラフラと、ヒクヒクと……早く、早く……強く、強く……そして、握るっ。
指先だけじゃなくて、手の全部を使って握るのよ。
きゅっきゅ、きゅっきゅ……きゅっきゅ、きゅっきゅ……きゅーっ、きゅーっ……きゅーっ、きゅーっ……腕に力が入ってきたわね?
その力が、肩に伝わって、胸に伝わって、お腹に伝わっていく……吸い込んだ空気と混じり合った力が、股間に、太ももに、そして足先にまで伝わっていく……全身に力がみなぎるのよ。
さぁ、お兄さん。
そろそろ目覚めましょうか。
お兄さんの体は、もう力を蓄えてるわ。
後は起き上がろうとする意思だけ。
目覚めようとする、お兄さんの意思……え、起きたくないの?
ふふっ、駄目なお兄さん♪
だけど、もう起きなくちゃね。
ほら、駄々をこねないの。
無理矢理にでも起こしちゃうわよ?
ほーら、あと五つ数えたら、体が勝手に起き上がっちゃうわ。
それが一番気持ちいい目覚め方なの。
だからお兄さんは、私の声に従っていればいいのよ?
それじゃいくわよ?
ご~ぉ……ふふっ、もう駄々をこねても駄目だってば。
聞きなさい。
よ~ん……手の先に、足の先に、お兄さん自身後からがみなぎって行くのがわかるでしょ?
さ~ん……吸い込んだ空気が全身に巡って、頭を、そして心をスッキリとさせていくわ。
に~ぃ……さぁ、お腹にぐっと力を入れて?
起き上がる準備を整えましょう……ぐーーっ
い~ち……息を吸って、吸って、起き上がるための最後の力をもらって……行くわよ~!?
ゼ~ロ!
はい、起きたーっ!
お兄さんの体も、心も、いま完全に目覚めたわ。
おはよう、とっても清々しいわね。
私も楽しかったわ……きっとまた、遊びに来てね?
お、兄、さん♪