妖狐さんとの遭遇
ふわ~あ…
退屈じゃなあ…この前人間の町で買ってきたゲームも飽きてしもうた…
なんぞ面白いことでもないかのう…
む…?
これ、そこの人間。こそこそとワシの社(やしろ)の入り口で何をしておる。
気配を消してもバレバレじゃ。さっさと出て参れ。
ふむ?何やら変わった格好の若造じゃな…
それにここは普通の人間が入り込めぬよう結界を貼っておる筈…
お主、何者じゃ?
…妖怪を退治する退魔士(たいまし)じゃと?
はあ…こりゃまた随分と時代遅れな商売をしておるのう…
で、その退魔士がこんなとこまで何しに来おったんじゃ?
ん?ワシか?
ああ…くくく♪いかにも♪
このワシこそが700年間この地を縄張りとしておる妖怪…
7尾(しちび)の妖狐(ようこ)様じゃ♪
ほれ、狐耳もちゃんとついとるぞ♪
ほう♪いぶかしげな表情じゃな♪
ならばほれ、見るがよい♪
このお尻から伸びた美しく煌びやかな7本の尻尾を♪
狐の妖怪は妖力に比例して尻尾の数が増えていく。
7本もあるということは、ワシが力のある妖怪だという証じゃ♪
…ふん、信じる気になったか♪見かけで妖怪を判断するとは、
どうやらとんだ未熟者の退魔士様のようじゃのう♪ひっひっひ♪
それで?その未熟者がこのワシに何の用じゃ?
…なに?町内会からの依頼?
町でイタズラを繰り返している狐をこらしめに来たじゃと?
ひょっひょっひょ♪
何を言い出すかと思えば、これはまたおかしなことを♪
なんでワシがこらしめられないといけないんじゃ。
ここ数年悪事など働いとりゃせんぞ?
せいぜい油揚げを盗み食いしたり、目の保養に銭湯を覗いたり…
え?それが原因で苦情が出とる?
なんじゃ、ワシは700年間もこの土地に住んどるんじゃぞ!
それくらい多めにみんかい!
ふん…とにかくイタズラをやめて大人しくすればよし、
さもなければ痛い目にあわすぞっちゅうわけじゃな?
ふん…貴様のような若造に脅しをかけられるとは…
このワシも随分甘く見られたものじゃのう…
答えは…当然、ノーじゃ!
くくく…ならば仕方ない、という顔じゃな♪
よかろう♪ワシも少々退屈しておったところじゃ♪
久しぶりに運動するのも悪く無いわい♪
言っておくが…ワシは強いぞ?
心してかかってまいれ、若造!