Track 4

同化

ふふっ…ごちそうさま。 とっても、美味しかったわ… お礼に、いいこと…してあげる。 ほら…おいで。 私と一緒に、お花の中に…おいで。 ほら… つま先から、ゆっくり… 私のお花の中に、入っていく。 あたたかい… 気持ちいい… ゆっくり…ゆっくり…入っていく。 すね… 膝… ふともも… 腰… おなか… ふふっ… いらっしゃい。 ほら…キスしましょ。 あま~いグラスで、あま~い蜜を、飲ませてあげる。 ん…ちゅ…くちゅ…ちゅっ。 ふふっ… あま~い味が広がって… きもちいいでしょ…? このまま、花を閉じて… 二人だけの世界で、もっともっと、気持ちよくなりましょ…? ほら… ゆっくり、ゆっくり、 花が、閉じていく。 花が閉じていくに連れて… 蜜が、全身を覆って行く。 みぞおち… 胸… 肩… 首… 全身が、とろとろの蜜に、包まれる… あたたかい…あたたかい… ほら… 花が、閉じる。 私と、あなた… 二人だけの、世界になる。 温かい蜜に満たされた世界で… ふたりきり。 とろとろの蜜が、こぽこぽと湧き出してきて…気持ちいいね。 ほら… 心地良さに、身を任せて… そうすると…ほら。 足の先から、徐々に…徐々に… 力も… 感覚も… 抜けて行く。 消えていく… ただ… ただ… 気持ちいい。 それだけを残して… 他のすべてが、消えていく。 溶けていく… 足首… とろとろ。 消える… 気持ちいい… ふくらはぎ… とろとろ。 あたたかい… 気持ちいい… 溶ける… 溶ける… 膝… とろとろ。 心地いい… 溶ける… 消える… 気持ち、いい… ふともも… とろとろ。 ゆーっくり、溶けていく。 気持ちいい… 気持ちいい… 腰… あたたかい。 疲れが… 凝りが… 消えていく。 温かい… 心地いい… とろとろ… とろとろ… とけていく。 おなか… 背中… あたたかい。 とろとろ…とろとろ。 気持ちいい。 疲れが… 凝りが…消えていく。 気持ちいい… 気持ち良さに、溶けていく… 胸… 肩… 首… 気持ちいい… 温かい… とろとろ… とろとろ… とけていく。 ん…ちゅっ…ちゅぅ… ほら… 意識も… とけていく。 心地良さに、包まれて… 頭の中まで、とけていく… 気持ちいい… 心地いい… 温かい… 温かい蜜の中で… ゆらゆら。 ゆらゆら。 お母さんのお腹の中にいるような… 安心感。 心地良さ。 ほら… どんどん… 溶けていく。 私の、声すらも… もう、遠くに聞こえる。 ほら… そのまま、溶けていいよ… 私と…ひとつになろう? ほら… ほら、ほら… あなたを構成するものが、ぜぇんぶ、溶け出して… 蜜の中を、ふわふわ、漂う。 あなたの、核を… 魂だけを、残して… 他のものは、ぜぇんぶ、溶けて… 蜜の中を、ふわふわ、ただよう。 魂が、徐々に、姿を変えて… まぁるい、まぁるい、種になる。 私の蜜が… あなたを、構成していたものが… 混ざり合って、種に、注がれる。 ゆっくり…ゆっくり… 種が、成長していく。 おおきな、お花のゆりかごの中で… すくすく、すくすく、育っていく。 ほら… もう、おやすみ…? 意識がなくなった後も… 種は、成長を続ける。 目が、覚めるときには… もう、すっかり、体は出来上がっている。 これまでより、ずぅっと、ずぅっと調子よく動く体。 生まれ変わったような感覚が、目覚める時には待ってるわ。 だから…ほら。 今は、もう…おやすみ。 寝る子は、育つ。 ほら…意識が、完全に… 蜜の中に、溶ける。 すぅっと、溶けて… 消えていく…