同化
ふふっ…ごちそうさま。
とっても、美味しかったわ…
お礼に、いいこと…してあげる。
ほら…おいで。
私と一緒に、お花の中に…おいで。
ほら…
つま先から、ゆっくり…
私のお花の中に、入っていく。
あたたかい…
気持ちいい…
ゆっくり…ゆっくり…入っていく。
すね…
膝…
ふともも…
腰…
おなか…
ふふっ…
いらっしゃい。
ほら…キスしましょ。
あま~いグラスで、あま~い蜜を、飲ませてあげる。
ん…ちゅ…くちゅ…ちゅっ。
ふふっ…
あま~い味が広がって…
きもちいいでしょ…?
このまま、花を閉じて…
二人だけの世界で、もっともっと、気持ちよくなりましょ…?
ほら…
ゆっくり、ゆっくり、
花が、閉じていく。
花が閉じていくに連れて…
蜜が、全身を覆って行く。
みぞおち…
胸…
肩…
首…
全身が、とろとろの蜜に、包まれる…
あたたかい…あたたかい…
ほら…
花が、閉じる。
私と、あなた…
二人だけの、世界になる。
温かい蜜に満たされた世界で…
ふたりきり。
とろとろの蜜が、こぽこぽと湧き出してきて…気持ちいいね。
ほら…
心地良さに、身を任せて…
そうすると…ほら。
足の先から、徐々に…徐々に…
力も…
感覚も…
抜けて行く。
消えていく…
ただ…
ただ…
気持ちいい。
それだけを残して…
他のすべてが、消えていく。
溶けていく…
足首…
とろとろ。
消える…
気持ちいい…
ふくらはぎ…
とろとろ。
あたたかい…
気持ちいい…
溶ける…
溶ける…
膝…
とろとろ。
心地いい…
溶ける…
消える…
気持ち、いい…
ふともも…
とろとろ。
ゆーっくり、溶けていく。
気持ちいい…
気持ちいい…
腰…
あたたかい。
疲れが…
凝りが…
消えていく。
温かい…
心地いい…
とろとろ…
とろとろ…
とけていく。
おなか…
背中…
あたたかい。
とろとろ…とろとろ。
気持ちいい。
疲れが…
凝りが…消えていく。
気持ちいい…
気持ち良さに、溶けていく…
胸…
肩…
首…
気持ちいい…
温かい…
とろとろ…
とろとろ…
とけていく。
ん…ちゅっ…ちゅぅ…
ほら…
意識も…
とけていく。
心地良さに、包まれて…
頭の中まで、とけていく…
気持ちいい…
心地いい…
温かい…
温かい蜜の中で…
ゆらゆら。
ゆらゆら。
お母さんのお腹の中にいるような…
安心感。
心地良さ。
ほら…
どんどん…
溶けていく。
私の、声すらも…
もう、遠くに聞こえる。
ほら…
そのまま、溶けていいよ…
私と…ひとつになろう?
ほら…
ほら、ほら…
あなたを構成するものが、ぜぇんぶ、溶け出して…
蜜の中を、ふわふわ、漂う。
あなたの、核を…
魂だけを、残して…
他のものは、ぜぇんぶ、溶けて…
蜜の中を、ふわふわ、ただよう。
魂が、徐々に、姿を変えて…
まぁるい、まぁるい、種になる。
私の蜜が…
あなたを、構成していたものが…
混ざり合って、種に、注がれる。
ゆっくり…ゆっくり…
種が、成長していく。
おおきな、お花のゆりかごの中で…
すくすく、すくすく、育っていく。
ほら…
もう、おやすみ…?
意識がなくなった後も…
種は、成長を続ける。
目が、覚めるときには…
もう、すっかり、体は出来上がっている。
これまでより、ずぅっと、ずぅっと調子よく動く体。
生まれ変わったような感覚が、目覚める時には待ってるわ。
だから…ほら。
今は、もう…おやすみ。
寝る子は、育つ。
ほら…意識が、完全に…
蜜の中に、溶ける。
すぅっと、溶けて…
消えていく…