Track 1
お帰りなさいませ、ご主人様
今日もお仕事お疲れ様でした
今日はもうお休みになるのですよね?
敷布団を敷いて既に用意できてますので、どうぞこちらへ…
んぅ?どうしたのですか、ご主人様…?
口をパクパクさせて何を驚かれているのです?
え?私…?
あっ、自己紹介がまだでしたね
私はお布団の精の木綿と申します
日頃から私のコトを大事にして貰っているので、こうして姿を現すことが出来ました
あっ、ちょ…足早に部屋を出て行かないでー!
これは夢じゃなくて現実ですよ?
ドアを閉めたらさっきのは幻覚だった…なんて事はありませんから
え?不審者!?
ど、どこですか?
ご主人様の神聖なるお部屋を汚そうとする不届き者は…!
さっき布団を敷いてる時にはそんな輩はいなかったのに…
さては屋根裏からこっそり侵入して…?
むむむ~…
…へ?私、ですか?
な、何言ってるんですか!
私はご主人様のお布団の精なんですよ?
もう5年もずっとご主人様と一緒に寝てるのに、不審者扱いなんて酷い…ぐすっ
うー…あんまり信じてもらえてないようですね
私が布団の精だっていう証拠ですか?
ふふふ…それならありますよ
私がご主人様のお布団の精だという立派な証拠が!
ほら、押入れの中を見てください?
どうです?何か気付く事がありません?
ふふ、そうです!
ご主人様がいつも使っている掛け布団がないですよね
それはつまり…私がご主人様の掛け布団であるという何よりの証拠なのです
え?私がどこかに隠したなんて、そんな人聞きの悪いこと言わないでくださいよ~!
大体、このお部屋のどこにあんな大きい掛け布団を隠すんですか?
ご主人様がいない間にゴミとして捨てたとでも?
というか、掛け布団だけ隠すとか地味な嫌がらせですね…
それにそんな事をしても私に何の得もありませんよ、もう…
そんなに信じてもらえないのなら、実力行使しかありませんね…
お布団の精である私がやる事と言えば、ひとつ!
ご主人様に気持ち良くお休み頂くしかないわ!
何をするのかって…もちろん、私はお布団なのですから、ご主人様とぴったりくっ付いて添い寝してあげるんです♪
これで本当に私が貴方のお布団なら、すぐにそうだって気付くはず
だから…ね?一緒にお休みしましょうよ
ほらほら、善は急げと言いますしっ
ご主人様はこちらで横になってください?