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もしもし、こんばんわ。
どうしても声が聴きたくて、お電話させていただきました。
まずは、今日のデート、お誘いいただきましてありがとうございました。
とっても楽しかったです。
映画の最中、ずっと手を握っていてくださったのが嬉しかったですし、その後の食事もとても美味しくて……えぇ、口に合いましたよ。
可愛らしいお店でしたし、私、気に入りました。
確かにあのお店は初めてでしたけど……もしかして、毎日豪華なフルコースばかり食べているのでは、なんて思っていないでしょうね?
私だって、ファーストフードやスナックも食べますよ。
それに、自分で料理だってしますから……しますよ。
ですから、お弁当は毎日自分で作っていると……言ったこと、ありますよね?
あら、ありませんでしたっけ……作ってるんです。
ふふふ、見直してもらえましたか?
ふふ、なんだか、熟年夫婦の旦那様のような仰りようですね……そうですね。
そうした年齢になった時に、また。
はい、また聞かせてください……楽しみにしています。
そそ、それよりも、今日のデートのお話しですっ、こほん、お食事の後のお買い物……プレゼントをしていただきまして、誠にありがとうございます。
いただいたものは、肌身離さず持っていたいと思います。
えぇ、大事にさせてもらいますね……あなたからの最初のプレゼントですもの、一生の宝物にさせていただきます……はい♪
あなたが、私のために選んでくれたことが大事なのであって、それ以外のことは……え?
ありがとうございます、そう言っていただければ幸いです。
それと、今日はもうひとつ一生の宝物をいただきました……キス……嬉しかったです。
思い出すだけでクラクラしてきてしまいます……はぁ、はぁ、私の唇に、あなたの温もりが……。
ごくん……また、してくださいますか?
次は、驚いて腰を抜かすようなことはありませんから……あぁでも、一言声をかけてからにしてください。
でないと、痺れすぎてしまいそうで。
手も握ってくださいね……あぁ、今度は腕を絡ませてもらってもよろしいでしょうか。
いい、ですか?
ありがとうございます、嬉しいです。
あぁ、とても楽しみです……早く、絡み合いたいです。
あぁそれと、ひとつお願いがあります……今日のようなデートの際は、その、が、学校ではない時全般でも、いえいえ、学校でもいいんですけど、その……な、名前、を……ごくん。
名字に先輩付きではなくて……名前を呼んでいただければ、もっと嬉しくなると思うんです……あぁ、先輩付きなのは構わないですけど、いえ、なくてももちろん構わないのですけど。
はい……少しずつで構いませんので……わ、私も、名前で……ごくん、あなたの名前を呼ばせてもらってもよろしいですか?
……ありがとうございます、嬉しいです♪
早く呼びたいです。
特に、キスの時に……はぁはぁ、キスしてくれる時は、是非名前で……そうしたらきっと、もっと嬉しくて、嬉しくなりすぎて……はい、楽しみにしています。
それでは、お休みなさい。